春本番に向けて一進一退を繰り返すドイツから、はるぼぼ(@harubobo_nikki)です。
色んなことがある人生、誰だって辛いときはありますよね。
「辛いときでもポジティブに頑張る」のがいいことだと思われがちですが、必ずしもそうではありません。
「本当に辛いときはむしろちゃんと落ち込んだほうがいい」ということを改めて実感したので、今日はそれについてお話したいと思います。
心の悲鳴を無視しちゃダメ
先日、結婚手続きのためドイツの市庁舎に行き、過去のことを色々と尋ねられた話をしました。
(関連:「ドイツ人ダーリンとの結婚への道、vol.2 ~書類翻訳、そして市庁舎へ~」)
実はその後2、3日ちょっと具合が悪くなったのです。
「今の私はとっても幸せなんだから落ち込んだり悲しんだりする理由がないんだ」と自分に言い聞かせていたのですが…
みぞおちの下あたりがチリチリする感覚、得体の知れない不安感、それによる胃の重さ…
過去の苦しい結婚生活の中でしょっちゅう感じていたのと同じ感覚です。
ネガティブなことや悲しいことを考えているわけではないにもかかわらず、そうやって体への反応として現れるのです。
「またあの感覚がやってきた…いったいこれはいつまで続くんだろう。すぐに消えてくれるのかなぁ」と不安に思っていました。
自分自身は落ち込んでいるつもりもなく、頭では恐怖を感じる理由なんてないとわかっていても、そんな反応がある以上は心に何らかの問題があるということです。
それにそんな状態では仕事にも身が入りません。
自分の感情と素直に向き合うことが大事
「どうせ今ははかどらないんだからちょっと自分を甘やかしてみよう」と、少し休むことにしました。
そして自分でも正体のわからないこの感覚を解明してみる必要があると思ったのです。
まずはその時の自分の状態をちゃんと把握するために、体調や考えていることを紙に書き出してみました。
「みぞおちの下がチリチリする」とか、「落ち着かないけどなぜなのか理由がわからない」など。
そして次に、頭の中で「もう一人の自分」を作って自分自身に話しかけてみることにしました。
こう言うと「危ない人」に聞こえるかもしれませんが、なかなか普通には自分の弱さと向き合えない人には意外に有効です。
そんなことを意識的にやってみるのは私自身初めてでしたが、頭の中での「もう一人の自分」は自分自身より一つ上の次元にいて、優しく包み込んでくれるように感じました。
「もう一人の自分」が私に「傷口に塩を塗られるようなことをされて辛かったよね」と声をかけます。
それに対して私は「うん、辛かった」と返事をします。
そしてもう一人の自分が「でもよく頑張ったね」と言ってくれます。
自然と涙がでできて、苦しいけどなんだか癒されている、そんな感覚を味わいました。
今は最高のパートナーを得て幸せに暮らしている私ですが、それでもやっぱり辛いものは辛いんだって、そのときわかりました。
そして「今幸せなんだから辛いなんて思ってはいけない」と自分に言い聞かせていたんじゃないかということにも気づいたのです。
幸せなはずの自分が「辛い」と思うことが「悪」で、そうすることが今の幸せを否定することになるような気がしていたのですね。
でもいくら幸せでも「辛い」と思う瞬間があるのはいけないことでもなんでもないし、それによって今の幸せが減ることなんてないんだと思います。
そういう人としての自然な感情を抑圧してしまうとどこかにひずみが生じるものなのですね。
自分のありのままの感情を認め、受け入れることの大切さを実感しました。
本当に辛いときは落ちるところまで落ちる
その日以降、みぞおちの下がチリチリする感覚や得体の知れない恐怖感は消え去りました。
今考えると、市庁舎から帰ってきてすぐに「嫌だったー!辛かった!」って泣いていたら、そもそもそんな感覚は襲ってこなかったのではないかと思います。
「人生のどん底だった結婚生活から私が学んだ人生の5つのレッスン」でも書いたように、辛いときにいつまでも不幸モードに陥っていては道は開けません。
やはりどこかしらのタイミングで気持ちと思考を切り替えることは不可欠です。
とはいえ、切り替えられるようになるまでの一定期間、落ち込めるだけ落ち込むことも必要だと思います。
辛いのにそれを見て見ぬフリをして、無理やりポジティブになろうとするのは自分の感情を抑圧する危険な行為。トラウマを心の奥底に沈めることになりかねません。
しっかり落ち込んでおかないと、そのトラウマがいつまた頭をもたげてくるかわからず、いつまでも癒されないということになるかもしれません。
無理して「不感症」になる必要なんてまったくありません。一時は「悲劇のヒロイン」になってもいいんです。
泣くこと自体もセラピーになりますし、涙はいつか枯れますから、辛いとき、苦しいときはちゃんと泣きましょう。
思いっきり泣いたり、笑ったり、そんな人間らしい感情を素直に表現して生きている人って素敵だと思いませんか?