日本では、よく「ドイツ(ドイツ人)は日本(日本人)と似てる」なんて言われますが、実際にドイツで暮らしてみると、似ているところよりも違うところのほうがはるかに目につきます。
「えっ、ほんと!?…」とびっくりすることもしばしば…
今回は私がドイツ生活のなかで驚いた12のことをまとめてご紹介したいと思います。
日曜日はスーパーさえ休業
ドイツでは、日曜日や祝日にはほとんどの商店が休業します。移住前にも旅行でドイツを訪れたことはあったので、なんとなくそういう習慣があると知ってはいましたが、スーパーさえも休みになるとわかって本当にびっくりしました。
しかもドイツでは日本のコンビニにあたるものがないので、なにか買い忘れがあると大変。(大都市の駅やガソリンスタンドにはミニスーパーのようなものがあったりしますが、普通のスーパーに比べるとかなり割高です。)
そのため、週末が近くなってくると「マズイ、買い物に行かないと!」となります。日曜日が休業なので土曜日のスーパーは大混雑。極力土曜日のスーパーには行きたくないので、私たちは金曜日や木曜日に週末の食料品の買い出しに出かけています。
24時間365日営業のスーパーやコンビニがあちこちにある日本とは大違いですね。
温かい食事は一日一回!?「冷たい食事」文化
「日本とドイツの食文化は悲劇的に違う」でも書きましたが、一般的にドイツ人は普段の食事に手間暇をかけません。
スーパーに行ってドイツ人のカゴの中を見ても、新鮮な食材を使ってまともに料理をしているような感じの人はほとんど見たことがありません。チーズやハムなどの加工食品をたくさん買う人が圧倒的に多く、野菜といえばじゃがいもやサラダ菜、トマト、マッシュルームくらいです。
それもそのはずで、ドイツでは伝統的に温かい食事は一日一回なのです。たとえば、昼食に調理された肉料理などの温かい食事を摂るとすれば、朝と夜は冷たい食事。つまり、フレークやパン、ハムとチーズをはさんだ簡単なサンドイッチなどで済ませます。(もちろん家庭や個人によって差があり、ドイツ人みながそうというわけではありません。)
ドイツでは、特別な機会を除いて普段の食事は「必要だから摂る」という感覚の人が多いように見受けられます。日本人のように日頃から「おいしいものを食べたい!」という食への飽くなき欲求はあまり感じられません。
日本人からすれば、夕食がチーズとハムを挟んだだけのサンドイッチだなんてわびしい限りですが、ドイツ人は「温かい食事は高カロリーで不健康」と考えていたり、「夜にたくさん食べると寝られない」と考えていたりするので、普段は冷たい食事で軽く済ませる人が多いのです。
散歩とハイキングが好きすぎる
自然を愛し、質素倹約を美徳とするドイツ人は、自然に触れられるうえ、お金もかからない散歩やハイキングなどのアクティビティが大好き。週末、ドイツ人のダーリンに「明日何する?」って聞くと、「散歩はどう?」という答えが返ってきます。
ドイツは日曜日にあらゆるお店が閉まることもあり、日曜日の過ごし方の定番はズバリ散歩やハイキング。サイクリングも人気です。
ただしサイクリングといっても、ドイツ人が好むのはマウンテンバイクにまたがって森や山を走る本格的なもの。ダーリンの両親は、週末天気が良いと3~4時間かけてよく山へ走りに行っています。健康的ですごいと思いますが、私にはとてもついていけません。
お金を使う娯楽施設が少ないドイツでは、それ以外あまりやることがないという事情もあるとはいえ、娯楽だらけの日本から来ると、「ドイツの週末は刺激がないなぁ」と感じてしまったりします。
男女のファッションに差がない
「ドイツと日本の女性のファッションは激しく違う」でも書いた通り、ドイツのファッションは男女問わず機能性第一主義。
特に私が暮らしているような地方都市では、男女ともセーターやトレーナーにジーンズ、足元はスニーカーなどのヒールの低い靴というのが超定番スタイルなので、男女の服装にあまり差がありません。男女差だけでなく世代間の差もあまりないので、みんな同じ格好に見えてきます・・・
ドイツ在住日本人女性でも、「ドイツに移住してからファッションに構わなくなった」という人は少なくありません。
家がインテリア雑誌から飛び出してきたみたい
衣と食にはあまりこだわりのないドイツ人ですが、そのぶんの情熱とエネルギーをまとめて住まい(家)に注いでいるような感じがします。
単に掃除が行き届いている、整理整頓ができているというレベルではなく、プラスアルファのインテリアに趣向を凝らす家が多いのがドイツ。
日本人の感覚からすると、インテリア雑誌から飛び出してきたかのような生活感のない家がたくさんあります。ちなみにダーリンの実家もそう。(写真はダーリンの実家のダイニング)
インテリアに大して興味のなかった私ですが、ドイツに来て素敵なおうちの数々を目の当たりにすると、私も将来は和洋を融合させたオシャレな空間をつくりたいと思うようになりました。海外キッチンの素敵なデザインをネットで見てみたのですが、自分だけのオリジナル空間が実現できるなんて、夢が広がりますね。
どこに行っても外国人がいる
私が住んでいるのは地方の小さな町なのですが、それでも外国人がたくさん暮らしています。東欧系、中東系、アフリカ系、中国系、インド系・・・などなど。
ドイツが移民大国であるというのはドイツに移住する前から知ってはいましたが、地方の田舎町にもこんなに大勢の外国人がいるとは思いませんでした。日本なら観光地ではない地方の小さな町に外国人がいることなどそうそうありませんが、ドイツではいつでもどこでも外国人を見かけるといっても過言ではありません。
そもそも、ここでは「もともとドイツにバックグラウンドをもたない人」をまとめて「外国人」と呼びましたが、明らかに本人または子孫がドイツ人ではない見た目の人であったとしても、実はドイツ国籍を有する「ドイツ人」かもしれません。
日本では、見た目が日本人で日本語を話していれば自動的に「日本人」と判断されますが、「ドイツ人」が多様化しているドイツでは見た目だけで「ドイツ人」と「外国人」の区別がつきません。そんなドイツで暮らすと「〇〇人」ということに対する価値観も変わります。
速度制限なしのアウトバーンが恐ろしい
ドイツのアウトバーン(自動車専用道路)は日本でもけっこう有名ですね。「アウトバーン」とは、日本でいう高速道路なのですが、普通自動車は完全無料。ドイツ全土にアウトバーンの道路網が張り巡らされているので、ドイツでのドライブはなかなか快適です。
このアウトバーン、何がびっくりなのかというと速度制限がないんです。(ただし、部分的に速度制限を設けている区間はあります。)
だいたい時速140~150キロぐらいで走る人が多いですが、なかには時速200キロ以上でぶっとばす人もいて、見ているだけで恐くなります。私は140キロぐらいなら普通に感じられるようになりましたが(私は助手席専門ですが)、それを超えるとなんだかドキドキ・・・
何かにつけルールを決めたがるドイツ人が、なぜアウトバーンには速度制限を設けていないのか、ものすごく不思議です。
生鮮食品が安い
ドイツの物価は、ならして考えれば日本と同水準ですが、生鮮食品はドイツのほうが安いものが多いです。
たとえば、たまねぎは1キロ70セント(約100円)から買えますし(特売ならもっと安いことも)、にんじんも1キロ1ユーロ(約130円)程度。遠い国からの輸入品でない限り、野菜や果物、肉、乳製品などは日本より明らかに安いです。
私自身は食べないので買ったことはありませんが、ドイツで出会った日本人の方によると、牛肉は日本の半額ぐらいだとか。
自炊中心なら、日本で暮らすよりドイツで暮らしたほうがずっと安上がりです。ただし、高額な日本食をあまり買わないという条件つきですが・・・
ジュースやワインに炭酸水を混ぜる
ドイツ人はフルーツジュースが大好きなのですが、ドイツ人のジュースの飲み方は日本人から見ると少々変わっています。
ドイツでは、フルーツジュースを炭酸水で割って飲むのがポピュラーで、炭酸割は「ショーレ」と呼ばれます。なかでもドイツの国民的飲料がリンゴジュースを炭酸で割った「アプフェルショーレ」。自分たちで混ぜることもありますが、すでにジュース炭酸水が混ざったショーレがスーパーで手に入りますし、レストランやカフェのメニューにもあります。
さらには、ワインと炭酸水を混ぜた「ワインショーレ」も存在し、特に夏の爽やかなドリンクとして人気があります。日本人からすれば「ワインに水!?」と思ってしまうところですが、これが慣れてみれば意外と悪くないんです。
レストランで、「普通の水じゃつまらないけれど、しっかりアルコールという気分でもないし、かといった甘ったるいジュースも嫌だなぁ」というとき、私はワインショーレかアプフェルショーレなどのジュースのショーレを注文します。
チョコレートの存在感が半端ではない
チョコレートといえばスイスやベルギーを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実はドイツは隠れたチョコレート大国。なんと一人当たりの年間チョコレート消費量は世界第2位で、11.3キロ(日本の5倍以上)にものぼります。(出典:インフォグラフィック)
それだけに、スーパーやドラッグストアに行けば、棚に何列もずらりとチョコレートが並ぶ光景が繰り広げられていてなかなか壮観。日本ではバレンタイン催事の会場くらいでしか見られない風景で、初めてみたときは言葉を失いました。
ドイツ人はチョコレートを普段のおやつとして食べるだけでなく、ちょっとしたプレゼントやお土産にも多用します。子どもにクリスマスプレゼントとしてチョコレートと現金、友人への誕生日祝いにカードとチョコレート、などなど・・・ドイツでは年中バレンタイン状態(日本でいえば)なのです。
ミルカやリッタースポーツなどのチョコレートはドイツ土産にもぴったりです。
寒い中わざわざ長時間外ですごす
ドイツの冬といえば、クリスマスマーケット。冬空の下でグリューワイン(ホットワイン)を飲んだり、フラムクーヘン(ピザのようなもの)を食べたり・・・それはまぁわかります。
でも、ドイツ人はそれだけでは飽き足らず、寒い中雪山にハイキングに行ったり、わざわざ外でパーティーをしたりするんです。ダーリンの実家で暮らしていたころ、ご近所の人が集まってガレージパーティーをしたことがありました。雨をしのげる屋根があることを除けば、完全に外。その時は11月下旬でしたが、ドイツではもう真冬です。
そんな中、外で夜に5時間も飲み食い(しかも温かい食べ物はない)しているのを目の当たりにして、「この人たちとはDNAがまったく違う」と悟りました。
私もその場に招かれたわけですが、もちろん私は5時間も耐えられるはずがなく、一時間半ほどで限界が来て早々と退散しました。私が日本人なので、こういうとき「寒さに耐えられない」と言って先に帰っても「しょうがない」と思ってくれるので、ある意味便利ではありますが。
パーティーが長すぎる
先ほどの寒空パーティーもそうでしたが、ドイツのパーティーはなにかと長い!ダーリンのお父さんの会社主催のクリスマスディナーに招かれたときもやはりそうでした。
夜18時半からスタートして、終わったのは23時すぎ。コース料理だったのですが、次の料理が運ばれてくるまでに異様に間隔が空くため、メインの肉料理が運ばれてきたのは22時近くになっていました。
もう「この時間に今から肉を食えというのか・・・!」という心境ですよね。重い食事に慣れているドイツ人の胃ならなんてことないのかもしれませんが、時間をかけてダラダラ食べるのは私にはかなりツラかったです。
私はボリュームたっぷりのコース料理を半分も食べられなかったように記憶していますが、ドイツ人は女性も含めほとんどの人が完食していたのにまた驚きました。
おわりに
こうやって挙げてみると、日本とドイツって全く別世界のような感じがしませんか?
日本に住んでいたころは「日本とドイツは似ている」と聞いて、「そうなんだ」と思っていましたが、実際にドイツに住んでみると「日本とドイツは全然違う」と思うようになりました。
日本(日本人)とドイツ(ドイツ人)には確かに類似点もありますが、あくまでも「遠く離れたアジアとヨーロッパの国にしては共通点がある」というレベルの話だと思います。
同じ人間社会なのに国によってこんなに文化や習慣が違なんて面白い。海外生活は日々奮闘!ですね。