思いがけず国際結婚をして気付いたこと。それは国際結婚においては、ことのほか食の好みが合うことが重要だということです。
もちろん日本人同士の夫婦であっても食の好みが合うことは大事ですが、国際結婚となると相手の国の食文化が日本とまったく違う場合、食の好みや食に対する価値観に極端なギャップが生まれやすいからです。
いなくはないのかもしれませんが、日本人で「日本食がダメ」という人は聞いたことがありません。でも、外国人ならば「日本食が苦手」という人はざらにいます。
ヨーロッパ料理よりアジア料理が好きなドイツ人ダーリン
ダーリンはドイツ人。そして、ドイツはほとんど正反対といってもいいほど、日本とは大きく異なる食文化をもつ国です。出会った当初のダーリンはわりと食に無頓着で、「お腹が満たされればいい」という感じでした。
しかし、ワーホリ期間中に日本で色々とおいしいものを食べたためなのか、すっかりグルメに。日本を離れてドイツに帰国するまで、しばらくアジアの国々を一緒に旅した経験もあってか、「自分はヨーロッパ料理よりもアジア料理のほうが好きだ」と気付いたようなのです。
それまではヨーロッパ料理(ドイツ料理)以外のものを食べる機会が少なかったので、気付くことはありませんでしたが、色々と食べてみてアジア料理のほうがしっくりくるとわかったそうです。
ドイツでも日々の食卓に白ご飯は欠かせない
そんなダーリンとの生活なので、ドイツで暮らしているにも関わらず、日々の食卓に白ご飯は欠かせません。日本から持ってきた炊飯器で、毎日のようにご飯を炊いています。しかもダーリンは「炊飯器買って本当に良かったね」と、時々炊飯器に愛おしげな視線を送っています。
白ご飯を食べる以上、おかずも日本っぽいものや中華っぽいものなど、アジア料理が中心です。ダーリンはそうした食生活を嫌がるどころか、とても喜んでくれるので、「ダーリンがアジア料理が好きな人で良かった!」と心底思っています。
(関連:「ドイツ在住日独カップルの食生活って?―私たちの一週間の夕食を公開」)
食事は体調にも影響する大問題
「ドイツで暮らすなら、現地で一般的なものを食べればいいじゃない」と思う人もいるかもしれません。確かに、人によってはそれも可能かもしれませんが、私にはどう頑張っても無理です。
というのも、私はグルテンに弱い体質であるうえに、ヨーロッパ料理を続けて食べるとすぐに胃の調子が悪くなるからです。
実際、旅行中など普段と同じような食生活ができないときは、心身ともに疲弊していくのがわかります。人によっては大丈夫かもしれませんが、やはり日本人とヨーロッパ人ではそもそも体質が違うので、日本人がヨーロッパ人と同じ食生活をすると、身体に負担がかかりやすいと思います。
日本で生活しているとあまり意識しませんが、食事って、好き嫌いや慣れの問題で済まない、体調さえも左右する大問題なのです。
食の不一致が離婚問題に発展!?
私たちは国際カップルでありながら、食の好みが合うラッキーな例ですが、もちろんそうではないケースもあります。
「彼が日本食がダメなので、頑張って色々な料理を作っています」という日本人女性や、「米を買っても自分以外の家族は食べない」なんていう日本人女性もいます。そうした話を見聞きするたびに、「大変そうだなぁ」とおののいてしまいます。
私がふと、国際カップルの食問題に関してツイートしたところ、とあるドイツ在住の方が「日本食が苦手なドイツ人夫が、日本人妻が日本食品にお金を遣うことに耐えられず離婚した例もある」と教えてくれました。
もちろん夫婦には色んな問題があるでしょうから、それだけが離婚事由ではないかもしれません。しかし、食に関する問題が時に夫婦の間に大きな亀裂を生むことがあるのは確かなようです。
一般に、ドイツ人は日本人に比べて食にこだわりの少ない人が多いので、「なぜドイツで買うと高価な日本食品をわざわざドイツで買うんだ!?」と思われてしまうこともあるということですね。
確かに、日本人妻が日本に帰国するたびに大量の日本食品を持って帰ってくることに不満を募らせるヨーロッパ人夫の話は、以前にも聞いたことがあります。
おわりに
私たちはたまたま食の好みが合うラッキーなパターンでしたが、「もしそうでなかったらどうしていただろう」と考えてしまいます。体質的に私がドイツ人の食事に合わせることはできないので、別々のものを食べることになるのでしょうか・・・
日本食品を購入する必要性に関しては、それが自分の心身の健康維持にとっていかに大切かを説明し、お金には代えられないことなのだとわかってもらうように努力するしかないと思います。
食生活の重要性という言い方で理解してもらえなかったら、「リラックスの時間」など、相手が生活のなかで一番大切にしていることを引き合いに出せばいいのかもしれません。
多くの日本人にとっては、食生活は日常のなかでとても重要な位置を占めていますが、異文化で育った人にとっては必ずしもそうではなく、もっと大切にしていることが他にあったりするからです。
私たち2人は好きなものがだいたい一致しているので、実際には、そんなすり合わせをする必要性がないのはなんともありがたいことです。
国際恋愛・結婚となると、言葉の壁や(食以外の)文化の壁が取り沙汰されることが多いですが、実際には食の一致は見過ごせない大問題なのです。