2023年11月、第一子となる女の子を出産しました。この記事のアップ作業をしているのは2025年3月。娘は早くも1歳3カ月です(どんだけ放置してたんだよ……)。
産後、入院中にカタカタと出産レポートを綴っていたのですが、育児と仕事を言い訳に、下書きのままずっと放置してしまっていました。予定日より4週間早かった私の出産は、とっさのときに取った夫の行動も含めて予想外の連続! 出産の兆候から分娩に至るまでを、時系列で振り返ります。
35週で産兆(出産の予兆)
35週4日、予定日まで5週間を切ったタイミングで少量の出血がありました。「これが噂のおしるし(出産前の準備段階で起こる出血)?」と思いながらも「まだ早いしなぁ……違ったらいいなぁ」と、「おしるし」だとは思いたくない自分がいました。一方で、私は早産率が高くなる子宮形態異常(子宮奇形)があり、切迫早産の症状も出ていたので、いつ出産になってもおかしくないことは理解していました。
「35週過ぎたら自発呼吸はできるだろうから、いますぐ出産になっても大きな問題はないだろうけど、37週の正産期まで1日でも長くもってほしい」と、ドキドキしながら1日を過ごしていました。
36週で前期破水
36週2日、6:20頃、股のあいだから何かが出る感覚で目が覚めました。「おりものかな」と、一瞬そのまま寝ようかなと思いましたが、「量が多い気がするし、出血かもしれないし」とトイレに行ってチェックすることに。
「なんか水っぽいな」と思ったものの、最初は破水とは思いませんでした。ところが、その後少し歩いただけで、またドバっと水が出てくる感覚が……初産でも「これは破水に違いない!」と確信しました。
早産になる覚悟ができていなかったわけではありませんが、まさかの前期破水(※)。切迫早産でほとんど動けなくなっていたこともあり、前日、マタニティーブルーのようになり「いつまでこんな状態が続くの……」と泣いていたのがウソのようです。
※前期破水:陣痛が来る前に破水すること。前期破水は全分娩の5~10%の少数派。
妻が破水、そのときドイツ人夫が取った行動は
できるだけ羊水が漏れないよう、ソファに横たわってすぐに産院に電話しました。いくつか質問をされて「破水だと思うので今から来てください」と言われたので、寝ていた夫を起こすことに。
私「ダーリン、起きて~!!」
夫「あ、ぇえ~?」(寝ぼけてる)
私「起きて~!破水した!!」
夫「…まじか!!」
「破水したからにはとにかくできるだけ動いてはいけない」と思っていたので、着替えた後ベッドに横になって夫の支度を待つことに。ところが、肝心の夫は洗面所にこもって出てこない。
私「なにしてるの~?」
……寝室に現れた夫の顔にはシェービングフォーム。
私「ヒゲなんてそらなくていいから早くして!!」
妻が破水した後真っ先に取った夫の行動が「ヒゲをそること」……これは予想外すぎてびっくりしました。1分ぐらいで顔をサッと洗って着替えるもんだと思ってたのに。どうやら寝ぼけていたところに気が動転してしまった末の行動だったようです。
入院準備はあらかじめほとんど済ませていたので、あとは直近で使っていたものを追加で詰めるだけ。自分はあまり動かないほうがいいと思っていたので、夫に「○○と○○をそのキャリーに入れて」と指示。9割方用意が整ったところで、事前に登録していた陣痛タクシーにTEL。
「10分ほどで伺います」と言われましたが、実際には5分くらいで来ました。が、いざ出ようとしたタイミングで夫が「自分のスマホが見つからない」とパニックに。
「落ち着いて。慌てて探したら見つかるものも見つからないよ」と、終始慌てていた夫に比べて、私は我ながら本当に落ち着いていました。結局私が横たわっていたソファの上にあったというオチでしたが、出産のとき、破水した本人(妻)は落ち着いていて、夫がパニックになるというのは「あるある」なのかもしれません。
祈るような気持ちで陣痛タクシーで産院へ
下半身にバスタオルを巻いてタクシーに乗車。羊水ができるだけ漏れないよう、横になって移動しました。移動中は心なしか胎動が弱い気がして、「赤ちゃん大丈夫かな。どうか無事でいて」と祈るような気持ちでした。
自宅から産院までは結構距離があるのですが、日曜の朝ということで、45分ほどで到着。このとき時刻は8時頃になっていました。
産院に到着すると、総合受付まで助産師さんが迎えに来てくれたので、車いすで分娩予備室へ。pH検査を受けて「破水ですね」と言われ、赤ちゃんの感染予防のための点滴を受けたり、赤ちゃんの心音をチェックしたりと、色々な処置を受けます。「赤ちゃん元気ですよ」と言われてひと安心。「赤ちゃん元気ですよ」ってきっと、妊産婦さんが一番聞きたい言葉ですよね。
噂の内診グリグリはやっぱり痛かった!
そうこうしているあいだに、9時頃陣痛が始まりました。無痛分娩だったので、硬膜外麻酔のチューブも入れましたが、ある程度子宮口が開くまでは麻酔はしません。
麻酔が効く前に受けた「内診グリグリ」、噂通り痛かった~!1回目の内診では子宮口の開き具合は2cm。直近の妊婦検診のときと同じで、破水したからすぐ子宮口が開くというものでもないようです。
最初は軽い生理痛くらいだった陣痛は、時間を追うごとにだんだん強くなっていきます。麻酔なしの自然分娩で出産した方からすると「序の口」レベルの痛みだとは思うのですが、それでも「イタイイタイ、ん~ぁ~ん~」とうなるレベルの痛み。
助産師さんから、休憩のためにも1度麻酔を入れましょうか」と提案があり、13:20麻酔注入。痛みは徐々に和らいでいき、15分くらいで消えました。その後短時間で麻酔を外しましたが、麻酔を外しても2時間くらいは効果が残るので、しばらくまったり。「寝られそうなら今のうちに寝ておくといいですよ」と言われましたが、なかなか寝られるものではありません。
子宮口開大3.5センチで一時休戦
その後1度痛みが復活して、しばらく耐えた後、夕方また麻酔を注入。20時すぎの診察では、少しずつお産が進んでいるものの、まだ子宮口の開きは3.5センチという状態でした。子宮口全開(10センチ)まではまだまだ。
21時前にまた痛みが強くなってきて、「またしばらく痛みに耐えるのか」と思ったのですが、「夜は明日に備えて休むことを優先してもらいたいので、麻酔入れましょう。無理しなくていいですよ」と言われて、少量の麻酔を流したまま寝ることになりました。
麻酔をすると陣痛が弱くなるので、お産の進みは遅れます。「翌朝になってもお産が進まなければ、陣痛促進剤を入れて翌日中に産む」という方針になっていたので、「また明日しばらく陣痛に耐えてから出産になるんだろうな」と思っていました。このときは。
出産という特異な状況下だったことに加え、夜間もちょこちょこと色々な処置があったので「ぐっすり」とまではいきませんでしたが、睡眠導入剤の効果もあってそれなりに眠れました。寝ている途中、痛みが強くなる局面があったので、そのときは一時的に少し麻酔を足してもらいました。
翌早朝、まさかの急展開
寝ては起きてを何回か繰り返した後、ふと気づけば股の間から何かが出てきそうな感覚があるではないですか。
「股の間から何かが出てきそうな感覚があって…気のせいかもしれないんですけど」と伝えて助産師さんに診てもらったら、「お産になります(キリッ)」と一言。「ご主人呼んでください」と言われて「まじか~」と思いながら、夫を呼び出しました。
このとき朝5時。前日に「初産婦さんは子宮口全開になってもすぐには生まれませんから」と言われていましたが、帰宅するか産院近くのホテルに泊まるか話し合った結果、「もしも」に備えて「夫は産院近くのホテルに泊まる」という選択をしていたのが功を奏しました。
無痛分娩、産む瞬間は痛みゼロ
私はすぐに分娩室に移動し、15~20分ほどで夫も到着。麻酔がよく効いている状態だったので、「もう生まれる」というタイミングにもかかわらず、まったく痛みはありません。麻酔の影響で陣痛の感覚が長くなっているので、陣痛を待って、陣痛に合わせていきみました。
まさか寝ているあいだに生まれる準備が整うとは思っていなかったので、心の準備は全然できていませんでした。
・「2回深呼吸をした後、1回できるだけ長くいきみ続ける」
・「いきむときは目を閉じない」
・「お腹を押されたら、お腹を押す手を押し返すようにお腹に力を入れる」
・「いきむときは頭を上に起こすようにする」
それでも、痛みがなかったおかげで、落ち着いて助産師さんのこれらのアドバイスに従うことができました。むしろ「無痛分娩じゃなかったら、こんなアドバイス、頭に入る!?」っていう感じですよね……
痛みはないのに脚の感覚はちゃんとあって、お腹に力を入れていきむこともできて、本当に感動しました。心底、無痛分娩にして良かった!!
途中、「陣痛待ち」の時間もありましたが、分娩室に入ってから40分ほどで出産。準備も含めての40分なので、「産む」のにかかった時間は20~30分程度でしょうか。破水から23時間が経ていましたが、最後は自分でもびっくりの急展開でした。
喜びよりも安堵が勝ったわが子との初対面
「赤ちゃん出ますよ~」と言われ、全身が出てきた瞬間産声があがりました。早産で赤ちゃんが元気か心配だったので、「よかった、泣いてる」と気づいたら自分も涙していました。
一瞬だけお腹の上で抱っこしたとき「あったかい」と言ったのは覚えていますが、気の利いたことは言えずじまい。可愛いとかなんとか思うよりも、産声をあげてくれたことに対する安堵の気持ちが大きかったです。私よりも、夫のほうが「○○ちゃん、wie geht’s パパだよ」としっかり挨拶していましたね(笑)
生まれた娘は、低血糖のための点滴を受けることになりましたが、保育器に入る必要もなく、「元気」と言われてひと安心。低体重だったので、経過観察のため退院が私より1日遅れたものの、その後は健康そのものです。
おわりに
とっさのときの夫の行動も含め、予想外の連続だった出産劇。出産って本当に1人ひとり違うし、予想ができないものですね。「37週の正産期までもってほしかったな~」という気持ちもありましたが、元気に生まれてきてくれたのが何よりです。子宮形態異常(子宮奇形)についてはこの記事では詳しく触れませんでしたが、別記事で詳しくお話するので、同じような不安や悩みを抱えている方の助けになれば幸いです。