ルーマニアの治安って実際どうなの?トランシルヴァニアは平和

こんにちは、はるぼぼ(@harubobo_nikki)です。

私は2017年8月にルーマニアを女一人で旅し、トランシルヴェニア地方を周遊しました。

結局、「大丈夫」と判断したから旅に出たわけですが、ルーマニア旅行を決めるにあたって気になったのは治安。「ルーマニアは治安が悪い」というイメージがあるうえ、ネット上を探しても情報が少ないうえに、古い情報が多いのです。

そこで、これからルーマニア旅行を考えている人に向けて、「実際のところルーマニアの治安はどうなのか」をお伝えしたいと思います。

「治安が悪い」というイメージのあるルーマニア

日本人のあいだでは、ルーマニアは「ヨーロッパのなかでも特に治安の悪い国のひとつ」というイメージが定着しています。

その理由として、首都ブカレストの治安があまりよろしくないことが挙げられます。

やはり海外旅行となると、まずは旅の起点としてその国の首都を訪れる人が多く、ルーマニアのような発展途上国ともなると尚更。首都の治安に対する印象が国全体の治安の印象につながりやすいので、「ブカレストは治安が悪い=ルーマニアは治安が悪い」というイメージがつくられやすいのです。

日本人にとっては、2012年に起きた事件のインパクトも大きかったといえます。日本人女子大生が、ブカレストのヘンリ・コアンダ国際空港でルーマニア人男性に声をかけられ、その男性と一緒にタクシーに乗ったところ、命を奪われたという事件。

もともと「東欧=治安がよくない」というイメージがあったところに、あのような悲惨な事件が起きれば、「ルーマニアは治安が悪いんだ」というイメージがさらに強化されてしまいます。

「ルーマニアは治安が悪い」はイメージ先行?

ルーマニアでの私自身の体験や印象をお話する前に、まずは客観的な統計からお伝えしておこうと思います。

以下は、外務省海外安全ホームページからの引用です。(2017年10月付情報)

ルーマニア警察庁の発表によると,2016年の犯罪発生件数は,2015年比7.6%減少の約58万件となり,5年連続での減少となりました。ルーマニアの治安は改善されつつありますが,依然としてスリやひったくり,置き引き,車上ねらい,自動車盗難等の他人の財産窃取を目的とした路上犯罪が目立っています。
また,国連薬物・犯罪事務所の最新の犯罪調査統計(2014年)によると,人口10万人あたりの重要犯罪認知件数は,ヨーロッパ各国と比較して中程度,あるいはそれよりも少ない件数となっています。

ここからわかることは、「ルーマニアの治安状況は改善傾向にある」「犯罪の種類として多いのはスリやひったくりなどの軽犯罪である」「ルーマニアにおける犯罪認知件数は、ほかのヨーロッパと同程度かむしろ低いくらいである」ということです。

つまり、「ルーマニアは治安が悪い」というのは、事実というよりもむしろイメージ先行といえるのではないでしょうか。

ルーマニアの治安が改善傾向にあるのは、2007年にルーマニアがEUに加盟したことが一因ではないかと思います。特に2014年からはルーマニア人がほかのEU加盟国で自由に働くことができるようになり、自国では仕事がなかったルーマニア人がより豊かな国に職を求められるようになりました。

こうした出稼ぎ労働によって、貧しかったルーマニアの家でも新しい家が建つようになりつつあるといいます。

トランシルヴァニア地方の治安は?

今回のルーマニア旅行で、私は旅行者の評判があまり良くないブカレストをスルーし、「ルーマニア旅行のハイライト」ともいわれるトランシルヴァニア地方を旅しました

色々とルーマニアの治安情報を収集しているうちに、「トランシルヴァニアなら大丈夫だろう」という結論に達したからです。

「大丈夫」と判断したからこそ旅行を決めたものの、やはりルーマニアの治安に対する不安感は拭えないまま到着したところ、トランシルヴァニアは拍子抜けしてしまうくらい平和でした。

建物の外壁が剥がれている箇所が多いなど、ルーマニアがまだまだ貧しい国であることを感じさせる場面は多々ありましたが、だからといって怖いと思ったり、身の危険を感じるようなことはまったくありませんでした

また、少し前の情報では「ルーマニアは野犬が多い」という報告もあったのですが、今回のルーマニア旅行中に野犬を目にすることもありませんでした。

クルージュ・ナポカ(クルージ・ナポカ)

トランシルヴァニアのほぼ中央に位置するクルージュ・ナポカ(クルージ・ナポカ)は、観光都市ではありませんが、トランシルヴァニアの交通の拠点となる町。

私はクルージュ・ナポカの空港に降り立ち、ルーマニアの旅をスタートさせました。天気が悪かったので、あまり出歩きませんでしたが、日中外出するぶんにはまったく危険を感じるようなことはなく、いたって普通という印象です。

シビウ

中世の時代から、東西の交通の要衝として栄えた古都シビウは、オレンジ屋根とパステルカラーの建物が並ぶ美しい町。

シビウはルーマニア旅行の序盤で訪れた町だったので、そんな風景を見て「貧しいというイメージがあるルーマニアにこんなに華やかな町があるのか」と驚いたのを覚えています。

町のメインストリートに、カフェやレストランのテラス席が並び、人々がお茶や食事を楽しむ光景は、ヨーロッパの先進国となんら変わりません。雰囲気も健全そのもので、とても安全な印象を受けました。

ブラショフ

12世紀にドイツ商人によって築かれたブラショフは、トランシルヴァニア地方のなかでは都会の雰囲気が漂う交通の要衝です。パステルカラーを基調とした中世の面影が残る町並みが美しく、清潔で、いたってのんびりとした平和な空気が漂っていました

「ドラキュラ城」として知られるブラン城や、高原リゾート、ポヤナ・ブラショフへの拠点として多くの観光客が訪れます。

シギショアラ

中世の町並みをそのままに残す世界遺産の要塞都市、シギショアラ。ルーマニアで訪れた町のなかでは一番のお気に入りで、ぜひ訪れることをおすすめしたい町です。要塞都市だからこそ、数百年前の風景がほとんどそのままに残っていて、ルーマニアが先進国ではないからこそ、リアルな中世感があります。

数年前にシギショアラを旅行された方のブログでは「とにかく物乞いが多かった」との情報もありましたが、私が訪れたときにはまったくそのようなことはなく、のんびりと観光できました

一見してロマ(いわゆるジプシー)とわかる人々もいましたが、外国人観光客に寄っていってお金をせびるわけでもなく、彼らは彼らだけで日常を完結しているようにみえました。

シナイア

「カルパチアの真珠」といわれるシナイアは、夏は避暑地、冬はスキーリゾートとして人気の高い景勝地。日本でいえば軽井沢のような雰囲気があります。

カルパチア山脈に囲まれた自然豊かなリゾート地だけあって、とにかく平和でのどか。念のため、夜遅くにむやみに歩き回るなどは避けたほうがいいと思いますが、治安の心配は皆無でした。

「ルーマニアで最も壮麗な城」といわれるペレシュ城や、神秘的なシナイア僧院は必見ですよ。

ブカレスト北駅と周辺の治安

今回のルーマニア旅行では、色んな意味で評判のよくないブカレストはスルーしました。しかし、シナイアからブルガリアのルセに移動する途中、ブカレストで列車を乗り換える必要があったので、ブカレストの北駅とその周辺には立ち寄っています。

まず、ブカレスト北駅(ブカレスト・ノルド駅)の状況。「ブカレストは駅からして怖い」という情報もありましたが、私の印象では持ち物の管理に気を付けていれば、特に問題はなさそうでした

乗り換え時間が3時間もあったので、駅の周辺も少し歩きましたが、雰囲気がよくはなかったとはいえ、日中外を歩いていて、急に強盗に遭うとかそういうレベルでの危険は感じませんでした

むしろ気をつけるべきは、スリや置き引き、ひったくりなどの窃盗や、タクシーのぼったくりなどです

ブカレストのタクシーはぼったくりが多いことで知られていて、流しのタクシーを使うのは避けたほうが無難。北駅には正面ゲート(南東側出入口)手前に、登録業者のタクシーを呼び出す機械があるので、それを使って必ず正規のタクシーを利用するようにしましょう。

また、ブカレストでの移動や観光は、できるだけ明るいうちに。

ルーマニアといえば気になる?ロマの話

ルーマニアといえば、「ロマによる被害が心配」という人もいるかもしれません。ロマはいわゆる「ジプシー」のことですが、差別語にあたるので、ここでは「ロマ」と呼びます。

インドのラジャスターン地方から放浪の旅に出て、ヨーロッパなどへやってきたといわれるロマ。

ルーマニアは特にロマが多く住む国として有名で、150万人とも200万人ともいわれるロマがルーマニアに暮らしています。(差別を避けるためロマであることを隠している人も多いとみられ、正確な数字は定かではありません)

今回のルーマニア旅行では、私でもロマとわかる人をたくさん見かけましたが、ロマにお金をせびられるとか、ましてや取り囲まれるといったことは一切ありませんでした

ロマによる窃盗などの被害があるのは事実ですが、「ロマ=物乞い、物盗り」というのはかなり一方的な見方だと感じます。

旅作家のたかのてるこさんが、ロマの人々と交流

ルーマニアは西欧の大都市よりむしろ安全?

ルーマニアといっても地域によって色々ですが、少なくともトランシルヴァニア地方に限っていえば、ドイツやフランスなどの西ヨーロッパの大都市よりもよほど安全ではないかと感じました。

西ヨーロッパの先進国には、移民や難民などが多数なだれ込んでいて、そのなかには「移民」や「難民」を装って犯罪やテロ目的で入り込んでくる人もいます。しかし、ルーマニアは犯罪者にとってもテロリストにとっても「おいしい」場所ではないので、そういう人がほとんどいません。

イスラム過激派によるテロのリスクもきわめて低いですし、考えようによってはルーマニアは意外と安全といえるかもしれません。

その反面、近年ドイツなどではルーマニア人による犯罪が増えつつあるとか。ルーマニア人犯罪者にとっては、自国よりもより豊かな西欧諸国で活動したほうがずっと「稼ぎ」がいいわけで、外に出ていく犯罪者も増えているのかもしれませんね。

ブカレストをスルーするルーマニア旅行

ルーマニアを安全に楽しむには、今回の私のようにブカレストをスルーするというのも選択肢のひとつです。

今回私は自宅の最寄り空港であるバーゼル空港から、クルージュ・ナポカに飛び、シナイアから鉄道でブルガリア入りしました。(途中ブカレストで乗り換え)

日本からブルガリアを訪れる場合は、まず空路でブカレストに到着するというルートが一般的だと思いますが、ブカレストをスルーするなら、まずヨーロッパの他の国に飛び、そこからLCCなどでルーマニアの目的地を目指すという方法もとれます。

たとえば、トランシルヴァニア地方のクルージュ・ナポカへは、パリ、ベルリン、ブリュッセル、ブタペストをはじめ、ヨーロッパの各都市からLCC「Wizz Air」の便があります。

最終目的地がルーマニアでも、必ずしもブカレスト行きの航空券を買う必要はありません。こんな選択肢を知っていれば、プランニングの自由度も広がるのではないでしょうか。

おわりに

ひと昔前ならいざ知らず、現在のルーマニアは日本人が思っているほど危険な国ではありません。ましてやトランシルヴァニアは平和で、「見方によってはドイツやフランスよりも安全かもしれない」と思ったほどです。

もちろん、所持品の管理に気をつけるとか、夜遅くにむやみに出歩かないといったことを忘れてはいけませんが、「ルーマニアは危険」というイメージはかなり「つくられたもの」であると感じます。

日本人の私からみて、「ルーマニアの治安は良い」とはいいませんが、工夫しだいで危険を回避することがじゅうぶん可能だと思っています。