こんにちは、はるぼぼ(@harubobo_nikki)です。
ドイツの冬の風物詩といえば、近年日本でもすっかり有名になったクリスマスマーケット。
ニュルンベルク、ドレスデン、シュトゥットガルトのクリスマスマーケットは「ドイツ3大クリスマスマーケット」と呼ばれ特に有名ですが、アドベント(待降節:クリスマス前の約4週間)の時期になると、大きいものから小さいものまで、ドイツ各地で2500以上ものクリスマスマーケットが開催されるといわれています。
見るほどハマるドイツのクリスマスマーケット
実を言うと、以前の私はクリスマスマーケットにさほど興味がありませんでした。寒いのも人混みも苦手なうえ、「クリスマスマーケットはどこも同じようなもので2つ3つ見ると飽きる」と思っていたからです。
実際、以前の私のように「クリスマスマーケットは3つも周ればおなかいっぱい」という人は少なくありません。でも、今年だけで15ほどのクリスマスマーケットをめぐってみて、「ドイツのクリスマスマーケットは見れば見るほど面白い」ということに気づきました。
確かに、クリスマスマーケットの会場をなんとなく歩いてさらっと景色を見るだけなら3つも周れば飽きてしまうかもしれません。
でも、細かく見てみると、ドイツのクリスマスマーケットには町によって、会場によってまったく違う表情があることがわかるので、飽きることがないのです。
そこで、本場ドイツのクリスマスマーケットにハマるための、ちょっと通なクリスマスマーケットの楽しみ方をご紹介します。
屋台の飾りつけを細部まで鑑賞
ドイツのクリスマスマーケットは、出店している屋台の飾りつけがとても凝っています。サンタやくるみ割り人形が座っていたり、動くトナカイの顔がついていたり・・・
なんとなく会場を歩くだけで屋台の装飾を細部まで見なかったとしたらとてももったいない!
ドイツ各地のクリスマスマーケットで屋台の装飾を観察していると、町によって、そして屋台によってそれぞれの個性が表れていることがわかります。なかには「子どものお絵かき」のように見える屋台飾りもあって、それはそれで味があります。
私がいままでに訪れたなかで一番屋台の飾りつけが豪華だったのは、シュトゥットガルトのクリスマスマーケット。
「世界最大のクリスマスマーケット」ともいわれるシュトゥットガルトのクリスマスマーケットは、最も美しい屋台を決めるコンテストがあるため、趣向を凝らした屋台の数々に出会えるのです。思い思いに飾られた屋台を見ながら歩いているだけで一日が過ごせてしまいそうです。
中世のクリスマスマーケットを訪問
普通のクリスマスマーケットとまったく違う趣が感じられるのが、中世のクリスマスマーケット。屋台やスタッフの衣装などすべてが中世風でタイムスリップしたような感覚が味わえるため、近年ドイツでどんどん人気が高まってきています。
ドレスデンやライプツィヒ、ケルンのクリスマスマーケットのように市内にいくつかあるクリスマスマーケットの会場を中世風にしている町もあれば、シュトゥットガルト近郊のエスリンゲンのように中世のクリスマスマーケットで有名な町もあります。
定番のグリューワイン(ホットワイン)も、中世のクリスマスマーケットでは素焼きのマグカップでいただきます。
窯焼きパンや肉のグリルなどシンプルな屋台グルメが楽しめるほか、雑貨も革製品や素焼きの陶器、水牛の角のカップ、フラスコのような瓶に入ったリキュールなど、普通のクリスマスマーケットにはない珍しい商品が揃っていて、見ているだけで楽しくなります。
日本では知られていないクリスマスマーケットに行ってみる
日本でドイツのクリスマスマーケットといえば、とりわけ「ドイツ3大クリスマスマーケット」と呼ばれる、ニュルンベルク、ドレスデン、シュトゥットガルトのクリスマスマーケットが有名ですね。
加えて、空の玄関口であるフランクフルトやミュンヘン、定番観光スポットのケルンやローテンブルクのクリスマスマーケットも人気があります。
しかし、冒頭でもお伝えした通り、ドイツには全部で2500以上ものクリスマスマーケットがあるといわれています。それはつまり、ドイツでおよそ「町」と呼べるような場所ならたいていクリスマスマーケットが開催されているということ。
日本では有名でなくても、実際に行ってみると素敵なクリスマスマーケットがたくさんあります。
日本ではあまり知られていないにもかかわらず、「これは素晴らしい!」と思ったクリスマスマーケットのひとつが、テューリンゲン州の州都・エアフルトのクリスマスマーケット。
バックに大聖堂とセヴェリ教会がそびえ、息を呑むほど美しく荘厳なエアフルトのクリスマスマーケットの風景は忘れられません。観光客が比較的少なく、アットホームであたたかい雰囲気に包まれているところもポイント。
ドイツでクリスマスマーケットめぐりをするなら、有名どころばかりに行くのではなく、日本ではあまり知名度が高くない町のクリスマスマーケットにもぜひ足を運んでみてください。きっと思わぬ発見があるはずです。
グリューワイン飲み比べ
ドイツのクリスマスマーケットの定番といえば、なんといっても「グリューワイン(Glühwein)」。
「グリューワイン」とはオレンジピールやシナモンなどのスパイスを混ぜた甘いホットワインのことで、普通のワインをただ温めただけのものではなく、独自のレシピに基づいて作られます。
大規模なクリスマスマーケットともなれば、グリューワインが飲める店だけでも10以上の屋台があることもあるほど、定番中の定番。しかし、一口に「グリューワイン」といっても、その味や種類はさまざまなのです。
ドイツでグリューワインといえば赤ワインベースのものが基本ですが、白ワインベースのものも存在しますし、りんごやさくらんぼ、キイチゴ、ラムを混ぜたものやウォッカを混ぜたもの、はちみつを混ぜたものなど、さまざまなバリエーションが用意されています。
おまけに、スタンダードな赤のグリューワインひとつとっても、それぞれ異なるレシピで作られているのでお店によって味にかなり差があります。
ドイツのクリスマスマーケットではお約束のグリューワインですが、実は結構奥が深いんですよ。ちなみに私が気に入っているのはりんごのグリューワインです。
ちなみに、ワインやアルコールが苦手でも、ノンアルコールのホットジュース「Kinderpunsch」があるので大丈夫。「Kinder(子ども)」という名が付いている通り、もともと子ども向けの飲み物なので、「Kinderpunschください」と言うとちょっと笑われることもありますが、それもご愛嬌ということで。
グリューワインのカップ集め
グリューワインを語るうえで欠かせないのが、マグカップ。ドイツのクリスマスマーケットでグリューワインを購入するときは、原則として最初にデポジット(マグカップの代金)も含めた金額を払います。
例えばワインの代金が3ユーロで、マグカップの代金が3ユーロなら、まずそれらを合わせた6ユーロを払います。ワインを飲み終わった後、マグカップを返却すればもちろん3ユーロは戻ってきます。
でも、そのマグカップが気に入った場合は返さずに持って帰るのもあり。カップ代がいくらなのか知りたいときは「デポジット」を意味する「Pfand」という単語を探してください。私が見てきた限り、ドイツのクリスマスマーケットでは2.5~3ユーロが多いですね。
ドレスデンやフランクフルトなど、規模の大きなクリスマスマーケットでは、公式マグカップが用意されていて、これがなかなか可愛いんです。
私が特に素敵だなと思ったのはドレスデンの公式マグカップ。ドレスデンのクリスマスマーケットの風景がプリントされているのみならず、その裏側には凹凸で模様が表現され、さらに持ち手のところにはミトンがデザインされていました。
規模の小さいクリスマスマーケットでは、お店がそれぞれオリジナルのカップを用意していて、これまた個性的。
さらに、中世のクリスマスマーケットでは素焼きのカップがあり、また違った趣が楽しめます。グリューワインを飲んだ後、マグカップを持って帰りたい人はビニール袋を持参することをおすすめします。
ローカルB級グルメをはしご
今年あちこちのクリスマスマーケットをめぐってみて、「クリスマスマーケットは会場で食べたり飲んだりしてなんぼ」だと思いました。
クリスマスマーケットの屋台の食べ物は、決して安くはありませんが、やはり冬の寒空の下、あえてクリスマスマーケットの会場で楽しむからこそ味わえる特別な雰囲気があるのです。
焼きソーセージなどどこのクリスマスマーケットにもあるようなものもあれば、テューリンゲン風クヌーデル(じゃがいも団子)や、南西ドイツ名物のケーゼシュペッツレ(パスタの一種)や、ドレスデン風手作りパンなど、地域色の強いご当地グルメ的な屋台にも出会えます。さらには、スイスのチーズフォンデュやハンガリー風の揚げパン「ランゴス」など、近隣国からやってきた食べ物も。
ドイツ各地のクリスマスマーケットをめぐっていると、町によって存在感の大きい食べ物が違うことがよくわかり、「この町ではどんなB級グルメがあるかな」という楽しみがあります。
クリスマスマーケットの乗り物に乗る
ある程度の規模のクリスマスマーケットになれば、クリスマスマーケット会場に観覧車やメリーゴーランドなどの乗り物が登場します。
せっかく本場ドイツのクリスマスマーケットに行ったなら、こうした乗り物に乗ってみては?「乗り物なんて飾り」あるいは「子ども用」と思われるかもしれませんが、ドイツのクリスマスマーケットでは案外大人もレトロな観覧車やメリーゴーランドに乗って楽しんでいます。
私自身、フランクフルトのクリスマスマーケットで勧められ「恥ずかしい」と思いつつ20年以上ぶりにメリーゴーランドに乗ってみたら、これがなかなか楽しい!
この年になって日本でメリーゴーランドに乗るなんて考えられませんが、ドイツのクリスマスマーケットはみんなが童心に帰って楽しむところ。一種の非日常なので普段しないことをしても大丈夫なんですね。メリーゴーランドから見下ろすクリスマスマーケットの風景は最高ですし、乗って損はないはずです。
同じように見える屋台の違いを見つける
ドイツのクリスマスマーケットをいくつか見ていると、同じような屋台を何度も目にすることになると思います。グリューワインはもちろんのこと、ワッフルやクレープ、ホットドッグ、レープクーヘン、アーモンドの屋台などはほとんどどの町にもあります。
「またこれね」と思ってしまうかもしれませんが、ただ通りすぎるだけでなく、何を売っているのか細かく見てみたら意外な発見があるはずです。
たとえば、フランクフルトのクリスマスマーケットに出店しているアーモンド屋台「M.Eiserloh」は、ザクロ味、ドラゴンフルーツ味、ユニコーン味など、50種類ものフレーバーのアーモンドが自慢。一粒3ユーロの金のアーモンドまであります。
ドイツ各地のクリスマスマーケットで見かけるチョコレートでコーティングされたフルーツの屋台も、よく見ればネズミの姿をしていたり、ブタの形をしていたりお店によってさまざまな工夫が凝らされていることがわかります。そんななかで自分好みの一品を探すのは楽しいものですよ。
あえて「かわいくない」ものを探す
ドイツのクリスマスマーケットには、もちろんかわいいものがたくさんあります。
でも、ドイツでは日本に比べ「かわいい」という概念の価値が低いからか、「かわいい」の感覚が違うからか(おそらく両方だと思いますが)、日本人の目から見ると、あまりかわいくないもの、微妙なものも案外少なくありません。(国によって感覚は色々なので、日本的「かわいい」が正解というわけではないと思いますが・・・)
ある意味、クリスマスマーケットは「かわいい」が当たり前なので、だからこそちょっと惜しい感じがしてしまうものを見つけるのが楽しいんですよね。
そうやって、ドイツ人と日本人の「かわいい」に対する感覚の違いやセンスの違いを肌で感じるのはなかなか興味深いものです。
クリスマスマーケット訪問におすすめの時間帯
ここからはより実用的な情報をシェアします。
クリスマスマーケット訪問におすすめの時間帯は、平日の15時ごろから18時ごろ。というのも、この時間帯に訪れれば混雑を極力回避しつつ、日中と夜のクリスマスマーケットの景色を両方楽しめるからです。
クリスマスマーケットが特に混み合うのは、暗くなってから。平日なら、仕事や学校が終わった地元客が増える18時ごろから混雑がピークに達します。そのため、人混みが苦手なら混雑のピークがやって来る前に見終わってしまえばいいのです。
クリスマスマーケットを見るのに必要な時間は、マーケットの規模にもよりますが、食べたり飲んだりする時間も考えると、シュトゥットガルトやドレスデン、フランクフルトなどの大規模なマーケットならメイン会場だけでも2時間程度は見ておきたいところです。
クリスマスマーケット開催中のドイツの日没時間はだいたい16時半ごろ。個人的には、クリスマスマーケットが最も美しいのは、日は落ちているものの、まだ空に青さが残っている17時から17時半ぐらいのあいだだと思っています。その時間帯は極力クリスマスマーケットにいられるようにしたいですね。
一日に一度で済ませる必要がないのなら、クリスマスマーケットがはじまる10時ごろ(町によって開始時間は異なります)に一度行って、その後はクリスマスマーケット以外の観光スポットを楽しみ、暗くなってから再度クリスマスマーケットに行くというのもあり。
クリスマスマーケットで買い物をしたり、屋台の装飾をじっくり見たりするには、あまり混雑していない日中がぴったりです。
しかし、これはあくまでも平日の話で、土日ともなれば有名クリスマスマーケットは日中でも大混雑します。また、仕事を早く切り上げる人が多い金曜日も、午後の早い時間から混雑がはじまります。
スケジュール上可能であれば、クリスマスマーケットめぐりは月~木曜日にして、週末は美術館などクリスマスマーケット以外の観光スポットを訪れるとよいのではないかと思います。
クリスマスマーケットの寒さ対策
外にいる時間が長くなるクリスマスマーケットを楽しむには、寒さ対策が肝要。実際にクリスマスマーケットめぐりをしてみて、「これくらいの防寒対策をしておけばおおむね大丈夫」と感じたラインをご紹介します。
トップはユニクロのヒートテック(極暖)に冬用のセーター、ユニクロのウルトラライトダウン(長袖)の上に、さらに厚手のロング丈のダウンコートを着ます。もし動いているあいでに暑くなったら、ウルトラライトダウンを脱ばいいので、このダウン2枚重ねはなかなかおすすめ。
そしてボトムは、ユニクロのヒートテック(極暖)のレギンスに、冬用のズボン。スカートはあまりお勧めはしませんが、100デニール以上の厚手のタイツ+極暖のレギンスがあればなんとか乗り切れるはずです。加えて足が冷えやすくなるので、靴下に貼るカイロがあるとさらに安心。
あと、防寒用の帽子や手袋もお忘れなく!
おわりに
正直いって自分がこれほどクリスマスマーケットが好きになるとは思っていませんでしたが、いまではすっかりドイツのクリスマスマーケットにハマっています。
日本でも各地でクリスマスマーケットが開催されるようになりましたが、だからこそ一度は本場のクリスマスマーケットを訪れてみてはいかがでしょうか。
ドイツのクリスマスマーケットならこの一冊!
主要都市はもちろん、日本ではあまり知られていない小さな町のおすすめクリスマスマーケットも紹介されています。ドイツのみならず、スイスやフランス、チェコなど周辺国のクリスマスマーケット情報も。