1.弱者にやさしい
ドイツでは、子ども連れや高齢者や障がい者など、社会的弱者に優しい空気があります。
電車やトラムなどの交通機関の乗り降りの際は必ず誰かが当然のように出助けをするし、彼らが乗り降りするのを待っている人たちも、ごく当たり前のように待っていて、「早くしろよ」というような空気はありません。
巨大なベビーカーを引いているお母さんたちも、「こんなに場所をとって申し訳ない」なんていうそぶりは一切なく、当然の権利と考えているようで実に堂々とした様子。
ホロコーストという過去の罪への戒めとして、戦後一貫して「人道主義」を掲げてきたドイツは、国家として「倫理」を大切にするところがあります。
「まるで過去の過ちはあくまでも過ぎ去った昔のことであり、現在のドイツ人は良心ある善良な民族である」ことを証明しようとしているかのごとく。
理屈はさておき、一人ひとりが尊重され、弱者も安心して生きられる社会というのは素敵だと思います。
弱者に優しい姿勢でいることは、弱者じゃない人にとっても無用なストレスを溜めることなく気持ちよく過ごせることになるのでは、とドイツ社会を見ていて感じます。
2.どんな場面でも「個人」を尊重
ドイツでは、お店やレストランなどでサービスされる側も挨拶をするのが当たり前です。
日本のように、サービスする側が一方的に「いらっしゃいませ」と挨拶し、お客さんは無言なんてことはありません。
レジで世間話が始まる光景もよく目にします。
誤解のないように言っておくと、サービスの水準そのものは日本のほうがはるかに高いです。
スーパーで店員さんが、客である私がどいて当然といわんばかりに”Entschuldigung(すみません)”もなく巨大な台車で突進してきたりします。
「すみませんぐらい言ったらどうなのよ」とイラッするのですが、「日本と同じ感覚でいてはいけない」と諦めます。
決して「良い」とは言えないドイツのサービスですが、サービスする側もされる側もお互い”Hallo”で始まり、”Danke.Tschüss!(ありがとう。バーイ) “で終わるやりとりというのは、人間的でいいなぁと思います。
日本のサービスは素晴らしいけど、サービスする側に過剰な負担がかかっていることも多々あるのではと感じます。
「お客様は偉い」と勘違いしているような人がいるのも気になります。
サービスする側がいい意味でもっとリラックスして対応できれば、日本のサービスはさらに臨機応変で素晴らしいものになるのではないでしょうか。
3.物質主義じゃない
倹約を美徳とするドイツ人の生活はとてもシンプルです。
日本と同様「経済大国」と呼ばれるドイツですが、ドイツ人のライフスタイルは案外地味なもの。
ブランド品の服やバックなど、必要以上に高いものを買うことはほとんどないし、日本人ほど外食やレジャーにもお金を遣いません。
休日、特にほとんどのお店が閉まる日曜日の定番の過ごし方は散歩。
ドイツ人は、家族との団らんや自然とのふれあいなど、実に原始的なことに喜びを見出し、物質的な豊かさにさほど価値を置いているようには見えません。
それと比べると、日本にはいつも新しいモノやサービスが溢れているものすごい消費社会。
モノやサービスが豊かなこと自体は悪いとは思いませんが、私たち日本人は本当は必要のないものを「欲しがらされている」気がしてならないのです。
ブランドのバッグなんてなくても、幸せはそこにあるのに。
私は祖国・日本を愛しているからこそ、もっと幸福な国であってほしいと思います。
そして、未来の幸せな日本社会の姿を考えるうえで、こういった「ドイツのいいところ」に学べることがあるような気がするのです。