私はこれまでに60ヵ国ほどを旅してきましたが、そのうち35ヵ国以上で一人旅をした経験があります。
以前、「一人旅は好き?あなたも一人旅をしたほうがいいかもしれない5つの理由」で一人旅の魅力について書きましたが、女一人旅となると、特に海外では安全面を心配される方も多いのではないでしょうか。
冒険心もありますが、私はあくまでも安全第一主義。それもあってか、幸い今まで危険な目に遭ったことは一度もありません。
そこで女一人で無事に35ヵ国以上を旅した経験のある私が、海外一人旅の際に気をつけている8つのポイントをお伝えしたいと思います。
一人旅の移動は明るいうちに済ませる
身の安全を第一に考えるなら、女一人旅の移動は極力明るいうちに済ませるのが鉄則です。
時間効率だけを考えるなら、どうせまともに観光ができない夜のあいだに移動するほうが好都合ですが、外が暗い時間帯に一人で移動することはあまりおすすめできません。
そもそも現地に到着したばかりのときや、都市間移動をするときは大きな荷物を持っているので目立ちますし、旅行者というのがバレバレなので危険度が高まるタイミング。それを夜に女一人で行うなんて、なおさら危険です。
女一人旅ではありませんが、日本人男性がモロッコで陽が昇る前の早朝に移動しようとして強盗に遭った話という話を聞いたことがあります。私自身はモロッコで身の危険を感じたことはありませんが、同じ国・都市でも外が明るいかどうかによって危険度は大きく変わってくるのです。
そのため、海外で移動をするときは、日が昇った後に移動を開始し、日が沈むまでには次の目的地にたどり着くことを原則としています。季節によっては難しいこともありますが、極力19時くらいまでには到着できるようにしています。
夏のヨーロッパは日が長く、21時、22時くらいまで明るいのでとてもありがたいです。日没時間は目的地や季節によって異なるので、旅行する時期の現地の日没時間を調べ、それを踏まえたうえで移動スケジュールを考えるといいですね。
一人旅の宿は治安のいい場所を選ぶ
世界の多くの国では、ある程度の規模の街になると治安がよくないエリアというのが存在します。
そして、治安のよくないエリアの宿泊費は、たいてい同じ街の他のエリアより安くなっています。「治安の悪い場所」というのがあまりない国で暮らす日本人にはピンときにくいですが、現地の治安状況を知らずに値段だけで宿を決めてしまうと、トラブルに巻き込まれてしまうリスクが高まります。
「治安がよくない」といわれているエリアに泊まったからといって、実際に犯罪に遭う確率は低いかもしれません。でも、宿をとるということは、そのエリアを何度も行き来(時に荷物を持って)することになりますし、宿にだどり着くまでに迷ってしまう可能性も十分あります。
宿を探す際は、滞在予定の街のどのあたりが治安がよくないのかをあらかじめ調べ、そのエリアを避けるようにしましょう。
ヨーロッパの場合は、大都市の主要駅周辺はあまり治安がよくないとされていることが多いです。
宿を予約する際には、その宿の口コミページで「安全な場所にあった」「周囲にいかがわしい店が多く、夜は怖かった」など周辺環境に関する書き込みをチェックすることをおすすめします。
また、ガイドブック等でもその都市の治安の悪いエリアに関する情報などが書かれている場合がありますので、治安情報やトラブル事例などは宿を決める前にチェックするのが賢明です。
一人旅の安全はお金で買う
「できるだけたくさんの場所を見てみたい」という思いがあるので、最近の私の旅のスタイルは節約旅行。といえど、必要な場合には出費をケチらず、お金で安全を買います。
少しでも節約しようとして安すぎる宿に泊まった結果、盗難に遭ったり、宿のスタッフにセクハラに遭ったりしたという体験談を聞いたことがありますし、交通費を抑えようと夜遅くに公共交通機関と徒歩で移動したり、白タク(非正規のタクシー)を利用したりした結果、事件に巻き込まれてしまったという例もあります。
海外一人旅を考えている女性のみなさんに特に気を付けて欲しいのが、日本から現地に到着した日の移動手段です。
現地での国内移動は明るい時間帯を選べばいいわけですが、日本から現地へのフライトが夜遅くに到着するということもままあります。到着地の空港に、信頼できる正規の送迎サービスや正規のタクシースタンドがあればいいのですが、特に発展途上国の小都市の空港はそういった設備がないことも珍しくありません。
夜遅く現地の空港に到着したはいいけれど、正規のタクシー乗り場はなく、胡散臭いドライバーが「TAXI」と声をかけてくる・・・この状況、結構不安ですよね。
正規の送迎サービスやタクシースタンドがない(あるかどうかわからない)空港に夜遅く到着する場合、その日の宿は空港シャトルサービスのあるホテルを選び、ホテルでアレンジしてもらうのがおすすめです。
地元のタクシー会社にピックアップを依頼するホテル、自前のドライバーを寄越すホテルなど、スタイルはいろいろですが、多かれ少なかれドライバーの身元が分かっているという点で、空港で声をかけてきたドライバーの車に乗るよりは間違いなく安全です。
私がいつも海外ホテルの予約に使っている「Booking.com」では、「空港シャトル」ありの条件で宿泊施設を絞り込むことができるので、簡単に空港シャトルがある宿を見つけることができますよ。
流しのタクシーは極力避ける
気軽に使っている人も多いかもしれませんが、タクシーというのはドライバーに悪意があったら何をされてもおかしくない密室です。そのため、私はシンガポールのように安心してタクシーを利用できる国を除き、原則流しのタクシーは使わないようにしています。
危害を加えられるようなことはなくても、外国人とみるとふっかけてくるドライバーがいる国も少なくないので、タクシーを利用する場合は、できるだけ宿やレストランなどで呼んでもらうようにしましょう。
どうしても流しのタクシーを拾う必要がある場合は、メインの駅やバスターミナル付近は避け、少し離れた道で拾うようにしています。(メインの駅やバスターミナルで客待ちしているタクシーはぼったくり率がきわめて高いからです。)
知らない人と密室状態になるのは避ける
国やエリアにもよりますが、女一人で海外を旅していると、色々と声をかけられることがあります。特に男女交際が気軽にできないイスラム圏やインドのように文化的に保守的な国はそれが顕著です。
私個人は現地で出会った人とのコミュニケーションも旅の醍醐味だと思っているので、旅先で知り合った人とお茶や食事を楽しんだこともあります。
ただし、絶対に避けるべきは、どんなに親切そうに見えてもよく知らない相手と密室状態になること。相手の家はもちろん、車、土産物屋の奥や2階、人のいないバー、公衆の目が届かない場所に誘われたり連れていかれそうになった場合は断固拒否しましょう。
土産物屋やバーなどで、他に数人の男性がいたとしても全員グルで、下手をすれば集団で襲われる可能性もあるため、とにかく外界から閉ざされた場所で1人または複数人の男性と密室状態になるのはとても危険です。
基本的にイスラム圏や文化的に保守的な国では、男性が見知らぬ女性に特別な理由なく声をかけるのは失礼にあたるため、まともな男性はそのようなことはしません。外国人だからという理由で気軽に女性に声をかけてくる現地の男性は、お金または身体、あるいはその両方に対する下心があることも多いのが事実。
旅先で出会った人とのコミュニケーションは楽しいものですが、あくまでも公衆の目が届く場所で会話するなど、無用なリスクを増やさないことを前提にしてくださいね。
一人旅の服装はカジュアルを基本に
日本人女性はおしゃれな人が多く、日ごろからヨーロッパ人が「パーティーに行くみたい」と評するようなファッションをしている人も珍しくありません。
ところが、旅行中はエレガントすぎる服装をしたり、ひと目でブランド物とわかるバッグや高そうな時計・アクセサリーなどを身に着けることはあまりおすすめできません。同行する男性がいる旅行ならそれもありですが、女性一人旅の場合は、できるだけカジュアルかつ質素に見えるほうが安全度が高まります。
ここでいう「カジュアル」の定義は、「スニーカーに合うファッション」のこと。必ずしもスニーカーを履く必要はありませんが、スニーカーに合うようなテイストのファッションです。
現地の事情によって異なりますが、世界的にはカジュアルなファッションをした人が多い国や都市のほうが主流。東京や神戸などではなんら違和感のない服装だったとしても、海外の旅先では浮いてしまうということがよくあります。
現地から浮いて目立っていれば、いかにも「事情を知らない旅行者」というふうに見えますし、「お金持ち旅行者」に見られてしまうと、スリや強盗のターゲットになる危険性も高まります。
反対に、現地の人と同じようなカジュアルなファッションをしていれば、現地の風景に溶け込みやすく、場合によっては「現地在住外国人」に見られることすらありますよ。
イスラムの国や保守的な国では特に服装に注意
特にインドやイスラム圏など女性の服装が保守的な国にいえることですが、現地の女性とかけ離れた服装をしないことはとても重要です。日本ではごく普通の服装だったとしても、国によっては「性に開放的」と受け止められ、無用なトラブルを招くことになりかねません。
インドやイスラムの国では極力肌は出さない(腕と首ぐらいならだいたいは問題ありませんが)、体の線を出さないのが基本。ただし「イスラムの国」といっても、外国人旅行者にもスカーフを義務付けるような国から、戒律のゆるい国まで事情はさまざまなので、ガイドブックなどであらかじめ確認しておきましょう。
欧米人女性は現地の事情なんておかまいなしにノースリーブ&ショートパンツで歩いている人も多いですが、それを見て「そんな服装で大丈夫なんだ」とは思わないほうが賢明です。
欧米人女性に比べて平均的に小柄で、押しに弱いと思われている日本人女性はセクハラ等のターゲットになりやすいからです。服装選びの基準は外国人旅行者ではなく、あくまでも現地の女性の服装を見てその国の感覚に合わせることが大切です。
そもそも治安の悪い場所には行かない
当たり前の話ではありますが、そもそも治安が悪いとされている国には行きません。同じ国でも都市によって治安状況が異なる場合も多いので、「治安がよくない」とされている都市やエリアはできるだけ避けます。
例えばルーマニアは地方都市の治安は比較的いいようですが、首都のブカレストの治安はよくないようです。日中街角でシンナーを吸っている子どもたちの姿を見たという旅ブログも読んだことがあります。
そのため、ルーマニアに興味はあるものの、実際に行くとすればブカレストを通らなくて済むルートが組める場合のみだと思っています。
旅先で安全面の心配をするのはとても神経を消耗するので、必要以上に心配になるような場所ははじめから避けるのが一番ですね。
【2018.02.07追記】
2017年の9月に一人でルーマニアを旅してきました。首都のブカレストはスルーし、トランシルヴァニア地方だけを旅したところ、予想以上に平和な雰囲気で身の危険を感じることはありませんでした。
女性旅行者にとって危険な国とは?
「そもそも治安が悪い場所には行かない」という当たり前すぎる話をしたので、Forbesの「20 Most Dangerous Places For Women Travelers」から、女性旅行者にとって最も危険な国ワースト20をご紹介します。
- 南アフリカ
- ブラジル
- ロシア
- メキシコ
- イラン
- ドミニカ共和国
- エジプト
- モロッコ
- インド
- タイ
- マレーシア
- サウジアラビア
- トルコ
- アルゼンチン
- チリ
- カンボジア
- バーレーン
- チュニジア
- アメリカ合衆国
- ウクライナ
そもそも日本人にとってはあまりメジャーではない旅先も含まれていますが、日本人にとって身近なタイやマレーシアがランクインしているのは意外なところかもしれません。
私自身、ワースト20にランクインしていても、問題なく女一人旅を楽しむことができた国もありますので、これらの国に行ったからといって危険な目に遭うとは限りません。それでも、女海外一人旅のリスクを極力減らしたいのであれば、「女性旅行者にとって危険とされている国には行かない」というのもひとつの選択肢ではないかと思います。
おわりに
女海外一人旅となると、やはりそれなりに神経を遣わなければならない部分が出てきます。とはいえ、以上のことに気をつけて旅をすれば「海外=危険」ということはありません。
「女一人旅は注意深くなるから、妙に気が大きくなる女2人旅よりむしろ安全」という意見を述べている方がいて、確かにそれは一理あるなぁと思いました。
身の安全あってこその楽しい旅行。あくまでも「安全第一」を肝に銘じつつ、一人の冒険を楽しんでくださいね。