フランス・パリが「がっかりな旅先」だった7つの理由

  • 2016年7月1日
  • 2021年8月25日
  • travel

私はこれまでに、トラベルライターとして、あるいは個人的な趣味でアジア・ヨーロッパを中心に60ヵ国を訪れました。訪れた都市の数はカウントしきれませんが、数百の単位にのぼります。

これまでに訪れた60ヵ国・数百都市のなかでも、特に「がっかりした旅先」として印象に残っているがフランスのパリです。

パリといえば世界一の観光都市。フランスやパリに憧れを持つ日本人は少なくありませんし、私自身も文化的で洗練された良いイメージを持っていました。ところが、実際にパリを旅してみると、訪れるまでわからなかったパリのリアルな姿が見えてきたのです。

日本ではメディアが創り上げた「理想化されたパリ」のイメージが浸透していて、現実を反映していません。女性向け雑誌や大手の旅行サイトが決して書かない、ありのままのパリの印象をお伝えします。

パリの街は汚い

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ここははっきり言います!パリの街は日本人なら引いてしまうくらい汚いです。10メートル間隔でゴミ箱が設置されているにもかかわらず、路上はタバコの吸い殻やゴミがたくさん落ちていますし、下品な落書きも目立ちます。

パリ旅行中、おしゃれに装ったパリジェンヌが平気で路上にタバコをポイ捨てする瞬間も目撃しました。周囲にゴミ箱や灰皿がないなら百歩譲って理解できるとして、あちこちにゴミを捨てる場所があるのになぜわざわざ路上にポイ捨てするのか…理解に苦しみます。

パキスタン出身・アメリカ在住の友人に言わせれば、「ニューヨークよりははるかにキレイ」だそうですが、ゴミや落書きの少ない清潔な街に慣れた日本人にとって、「花の都パリ」がこんなにも汚いなんて衝撃以外の何物でもありません。

歴史的な建造物が並ぶ川沿いにも落書きがあったのは本当に残念でした。路上の写真は汚すぎてここには載せたくないので、落書きの写真にしておきます。

パリの街の汚さを目の当たりにすると、インドで会ったイギリス人男性の「日本は世界一清潔な国だ」というセリフがいっそう真実味を帯びてきました。

パリの地下鉄はひどい

写真だと普通に見えますが…
写真だと普通に見えますが…

パリに着いて最初に受けた衝撃は、「古い・汚い・揺れる」というメトロの三重苦でした。パリのメトロは「え、ここ先進国の首都じゃなかったっけ!?」と思ってしまうほど尋常ではない古さ。

車内もゴミが落ちていたり、全体的に薄汚れた感じで本当に驚きました。さらに他の国の地下鉄では経験したことがないほど揺れが激しいので、特に高架を通るときなどは「大丈夫かな」と少し不安になりました。

「ものを大切にする」といえば聞こえはいいですが、日本で首都の公共インフラがあそこまで老朽化するまで放っておくことはないでしょう

パリは人が高圧的

もちろんパリの人全員が高圧的というわけではありません。しかし、パリには、地下鉄の駅員をはじめ横柄な態度をとる人が今まで私が行ったどの街よりも多いように感じました

ドイツに住んでいる私はサービスに期待しない習慣がついていますし、そっけなくされても「海外なんてそんなもん」と特に気にならないのですが、さすがにパリでは「はぁ!?」と思うことが何度かありました

私にとって衝撃だったのは、通りすがりで入ったラーメン屋さんのスタッフ(日本人女性)の態度。私に対してはそっけない程度で済みましたが、旅行者と思われる日本人女性が自分が注文していたセットメニューの内容を勘違いしていたようで、それについて尋ねた際に「あなた何勘違いしてるの?」という雰囲気を感じる見下すような答え方をしていたのです。

「パリに住んだら日本人もこうなっちゃうの!?」とショックを受けたのですが、その後立ち寄ったギャラリー・ラファイエット(デパート)の日本人スタッフは普通だったのでちょっと安心しました。

パリジャン、パリジェンヌって、地方に住んでいるフランス人からも「とにかく気取っている」「高慢」「冷徹」と嫌われてるんですね。パリ在住の方のブログ(「マダムリリー」)で知りました。

パリは意外と不便

日本ほど便利な国はそうないので仕方ないですが…パリでは、日本ならコンビニで買えるようなちょっとしたものがなかなか買えずに探し回りました。

フランスにはコンビニはありませんし、パリ中心部ではスーパーもなかなか見つからず、水1本買うのも簡単にはいきません。メトロの駅には自販機がありますが、水1本が2ユーロもしてとても高いです。

パリはどこも混んでいる

長蛇の列のヴェルサイユ宮殿
長蛇の列のヴェルサイユ宮殿

これも人気の観光地である以上当然ではありますが、パリはどこに行っても人だらけで疲れます

もともと観光客が多いうえ、テロ対策に神経を尖らせているので、入場者の荷物検査などに時間を要し、さらに列が長くなってしまうのです。

私はルーブル美術館やヴェルサイユ宮殿といった特に人気の高いスポットには朝一番で行ったので、入場に長時間待つということはありませんでしたが、それでも人混みにいることに変わりはありません。

特にヴェルサイユ宮殿は団体ツアー客が多く、人の流れがつまってしまうのでかなりストレスでした。パリを観光するなら朝早くから行動するに限ります。

パリは街並みが地味

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これはかなり個人的な感覚かもしれませんが…パリの街ってもっと華やかなイメージがあったのに、実際にはかなり地味な印象を受けました
というのも、パリの建物ってほとんど全部同じような色(白またはベージュ+ネイビー)なんですよね。それも一つの個性であって、だから悪いというわけではありませんが。

ドイツやスイス、イタリア、フランスのアルザス地方などでカラフルな建物を見慣れているせいか、色のないパりの街は退屈に感じられました。
「おおっ!」と思うような素敵な建物もあるのですが、色も建築様式もどれも似た感じなのですぐに飽きてきます。

パリが私にとってはじめてのヨーロッパならもっと感動したかもしれませんね。パキスタン人の友人は「私にとってはパリが初めてのヨーロッパだけど全然感動しない」と言っていましたが…

パリは物価が高い

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これも「パリだからしょうがない」ということになるのかもしれませんが、とにかく物価が高いです。ドミトリーのホステルでも1泊39ユーロと宿泊費はもちろん、食費もとても高い…!

特にフレンチのお店だとカジュアルなところでもメインディッシュが15~25ユーロくらいします。ヨーロッパではレストランで飲み物を注文するのが暗黙の了解になっているので、ちょっとした食事でも3000円前後はする計算になります。

パリは物価が高いですし、そもそもバックパッカーにフレンチは似合わないので、フレンチのお店には入らず、ラーメン屋やカジュアルな中華、テイクアウトメインの中東料理、ガレットのお店などを利用しました。

やっぱりフランス、特にパリで食を楽しもうと思うとお金をかけないと難しいですね。エリアによっては手頃なお店を見つけるのが大変なこともあります。

旅先を選ぶときは自分の軸をもつことが大事

色々とマイナス面を挙げましたが、別にパリをけなしたり、パリを好きだという人の気持ちを否定するつもりはありません。ここで挙げたように、パリにはネガティブな要素もありますが、ルーブル美術館をはじめ各観光スポットの質は非常に高く、そういう意味では魅力的な観光都市だと思います。

問題なのはパリというよりも、極端に理想化したパリのイメージを流し続ける日本のメディアです。

「パリにがっかりする日本人は他にいないのだろうか」と思って検索してみたら、「パリ超期待外れ。2度と行きたくない」という声がありました。しかし、不思議と日本ではそういう意見って表には出てこないですよね。

パリは絶対的に素晴らしい!パリはけなしてはいけないというような暗黙の了解があるような…このコメントをされた方も「最高に素敵な街」という期待に胸を膨らませてパリを訪れたのだと思います。

先日、パリを「世界でもっともロマンチックな街」第一位に挙げている旅行サイトの記事を見ましたが、その記事を書いた方はパリに行ったことがないのではないかと思いました。世界にはパリよりロマンチックな街はたくさんあります。例えばパリと同様、「花の都」と呼ばれるイタリアのフィレンツェはパリよりもずっとロマンチックだし(主観ですが)、色んな意味でパリよりずっとキレイです。

パリは美術品に関しては世界の一級のものが揃っているので、アート好きには素晴らしい場所だと思います。でも、「ヨーロッパらしいキレイな街並みを見たい」といった動機ならパリでなくてもいいはず。

私個人としては、フランスのアルザス地方(ストラスブールやコルマール)はとても気に入っているし、ダーリンは南フランス(コート・ダジュール周辺)が好き。フランスの本当の魅力は地方にあるのではないかと感じています。

誤解しないでいただきたいのですが、決して「パリに行かないほうがいい」と言っているわけではありません。

あくまでも、旅先を選ぶときはメディアが流すイメージに影響されすぎないようにして、自分が何が好きが、何を見たいのか、何をしたいのかをはっきりさせて、それに合わせて選ぶといいのではないかと思うのです。