こんにちは、はるぼぼ(@harubobo_nikki)です。普段読んでくださっている方はご存じかと思いますが、私の婚約者・ダーリンは日本が大好き。将来日本で暮らすことを励みに現在ドイツで頑張っているといっても過言ではありません。
将来日本人になる、かもしれないドイツ人のダーリン
そんなダーリン、最近「将来日本に帰化するかもしれない」と言い出しました。ドイツ国籍を放棄して日本国籍を取得する、法的に「日本人になる」ということです。タレントのボビー・オロゴンさんや、サッカー選手の三都主アレサンドロさんなど、帰化して日本国籍者となった元外国人は案外少なくありません。
それでも私は驚きました。「え、何で!?」
日本人と結婚している限り制限なく日本に滞在できるし就労もできます。ダーリン人がドイツ人として日本に滞在することに特に問題があるとは思えませんでした。ダーリン曰く、日本国籍を持っていたほうが不動産の購入やビジネスなどに制約がなく、権利が広がるのだそう。
現時点ではそういった可能性を視野に入れているというレベルにすぎませんが、先日は日本に帰化したアメリカ人男性のブログを楽しそうに読んでいました。
ダーリンはあくまでも合理的に考えているようですが、日本人の私からすると「祖国の国籍ってそんなに簡単に捨てられるもの…?」と思ってしまいます。
ドイツ人は「国籍とアイデンティティは別物」と考える!?
自分の両親にも「将来日本に帰化するかもしれない」と話したそうなので、「一体どんな反応だったの!?」と聞いたら、「真剣に受け止めてなかったからかもしれないけど、これといって強い反応はなかった」そうです。「大事な一人息子がドイツ国籍を捨てて日本人になることを考えているなんて、さぞショックではないか」と思ったのですが、ダーリンの話を聞く限りはそうでもなさそうです。
個人差があるので一括りにはできませんが、ドイツ人は国籍とアイデンティティをさほど強固には結びつけていないようです。ドイツ人を対象にしたアンケート調査でも、「自分をドイツ人だと思っている」人よりも、「自分をヨーロッパ人だと思っている」人のほうが多かったそうなのです。
日本もアジアの一部なのに、「アジア」といえば日本以外のアジア諸国を指し、「アジア料理」といえば日本食以外のアジア料理を指すことが多い日本人とは大違いですね。やはり日本人は「自分が日本人である」というアイデンティティを強く持っている気がします。
日本人の私からすると、「帰化する=祖国を捨てて他国を選ぶ」という「祖国に背を向ける」ような感覚があるのですが、ドイツ人は日本人ほど国籍に対してエモーショナルな感覚を持ち合わせていないのかもしれません。
ドイツ人が国籍にさほど執着しないわけ
日本人は国籍を「アイデンティティ」ととらえるエモーショナルな感覚がありますが、ドイツ人はどちらかというと「法的なステイタス」と割り切っている傾向があるよう。それはなぜなのでしょうか。
私が思うに、これにはいくつかの理由があります。一つは他国と陸続きで、古くから他民族との交流が盛んであったこと。そんな環境であれば島国でほぼ単一民族の日本ほど、国家や国籍にこだわらないのはわかる気がします。しかも近年ではヨーロッパ統合が進んでいて、EU圏内では国境や国籍の意味合いが薄れてきているので尚更といえるでしょう。
また移民大国ドイツには、民族的にはドイツ人でなくても国籍はドイツという人々がたくさんいます。小さい頃から人種や宗教が異なる「ドイツ人」に囲まれて育っていれば、「国籍は民族や文化を規定しない法的ステイタス」だと感じるようになるのは自然なことのように思えます。
さらにナチス政権下で犯した人道に対する罪への猛烈な反省から、ドイツでは「ドイツ民族のアイデンティティ」を強調するような思想はあまり好まれません。
こういった要因が組み合わさって、国籍をアイデンティティというよりも「法的ステイタス」としてとらえる感覚が生まれているのではないかと思います。
おわりに
国籍って生まれたときから持っているもので、それを当たり前のように一生維持するような感覚がありますが、変えることも可能なんですよね。(もちろん簡単ではありませんが)
国籍をどうとらえるかについては一つの「正解」なんてなくて、「国籍はアイデンティティと切り離せない」と考えるのも、「国籍は法的ステイタスであってアイデンティティとは別物だ」と考えるのも、その人にとっての正解なのだと思います。