私はこれまで、個人的な趣味の旅行や仕事などで、アジア・ヨーロッパを中心に60ヵ国を旅してきました。
命にかかわるようなトラブルや深刻なトラブルはなかったものの、60ヵ国も旅していると、相応のトラブルに見舞われることもあるもの。
安全第一で旅をしているので、わざわざ危険な場所を選んで旅しているバックパッカーの旅行記に比べたらスリルに欠けるかもしれませんが、これまでに遭遇した旅のトラブルをご紹介します。
トルコのホテルで足を捻挫
これまでに経験した旅行中の最大のトラブルのひとつが、トルコ・イスタンブールのホテルの階段で転び、足を捻挫したことです。階段の電気が消えていて、足元がよく見えず階段を踏み外してしまったのです。
当初は「捻っただけだから大丈夫だろう」と思ったのですが、時間の経過をとともに腫れてどんどん痛みがひどくなっていって、歩くどころではなくなりました。「ひょっとして折れてるんじゃ」・・・
どうしたかというと、現地でたまたま知り合った、ホテルの近くで雑貨店を経営している人が私の様子を見かねて病院へ連れていってくれました。車椅子に載せられた東洋人、トルコの病院では目立ちましたよ。
病院でレントゲンを撮った結果、骨は折れてはいませんでしたが、数日間冷やしながら安静にするよう言われたので、当初の旅の予定は狂ってしまいました。
トルコの病院で驚いたことが、私を病院に連れて行ってくれた人が病院のスタッフに何かを言ったら、そのときの診療費がとても安くなったことです。
一体何を言ったらそうなったのか、そのときは足のことが気になって聞きそびれましたが、その人が”Turkish government is so nice!”と言っていたので何か特別な計らいがあったようです。
ネパールでクレジットカードを紛失
結果的に大事に至りませんでしたが、ネパールでクレジットカードを紛失したこともあります。直前に泊まったホテルでフライトを予約したときにクレジットカードを使ったので、おそらくホテルの部屋に置き忘れたのでしょう。
カードがないことに気づいたのは、フライトのチェックインの際に予約時に使用したクレジットカードの提示を求められたときでした。「えっ、ない!!!」
このまま搭乗できなかったら・・・と不安になったのですが、結局一旦フライトの運賃を再度支払い、後日返金するという形で、無事飛行機には乗れました。ちなみに、紛失したことに気づいてすぐカード会社に停止の連絡をしたため、不正利用の被害もありませんでした。
ベトナムでシクロ詐欺
もう今から8年も前のことになりますが、この一件は今でもはっきり覚えています。それぐらい腹立たしかったんですよね。当時の私がバカだったせいもあるのですが・・・
ベトナムのホーチミンでシクロ(自転車タクシー)のドライバーに声をかけられ、提示された金額がとても安かったので乗ってみることにしました。向こうからわざわざ安い金額を提示してくることなんてありえないって、今ならわかるんですけどね・・・
どこに行きたいかと聞かれ、ホーチミンで最も有名な教会(聖マリア大聖堂)に行きたいと伝えました。ただしそのとき、教会の名前がうろ覚えだったので、シクロのドライバーが持っていたホーチミンの見どころの写真付きの地図を指さしながら”The church”と言ったのです。
「そんなに遠くないはずなのに、やけに時間がかかるなぁ」と思っていたら、私が行きたかった教会とは別の教会に到着。
私が「ここじゃない」と言ったら、ドライバーは「君が”The church” としか言わなかったからわからなかったんだよ~」としらばっくれますが、観光客がホーチミンで”The church”といえば、聖マリア大聖堂しか考えられません。
それに、写真を指さして場所を伝えたわけですから、ドライバーが意図的に違う教会に連れてきたのは明白。もうこの時点で不信感しかありません。(振り返ってみれば最初から怪しさ満点ですが)
トラブルの予感がしたので、本来の目的地である聖マリア大聖堂に着いたとき、すぐシクロから降りました。いくらシクロといえど、降ろしてくれないといったような強硬な態度を取られると、こちらが不利になるからです。
案の定、ドライバーは隠していた料金表を出してきて、「最初に伝えたのは1分あたりの料金だ。40分かかったんだから40ドルだ。」と言ってきました。
少々ドライバーとやりあって、最終的には5ドルで決着がつきました。私が怒り出すことを想定していなかったのが、ドライバーはちょっとひるんでいた様子。
こういうとき、「やりあうのも大変だし、大した金額じゃないから(この場合はぼったくりにもほどがありますが)」と、言われるままにお金を出してしまったら、ますます日本人がダーゲットにされますし、一人旅の女性を甘く見てほしくありませんからね。
残念ながら、ベトナムでのシクロのトラブルは本当に有名なので、トラブルを避けたいならシクロには乗らない、どうしても乗ってみたい場合はトラブル覚悟で乗る必要があります。
タイでタクシーメーター詐欺
タイ・バンコクでトゥクトゥク(三輪タクシー)に乗ろうとしたときのこと。場所が王宮近くという超観光地だったので、トゥクトゥクの言い値が法外に高く、交渉しても下がりそうにありません。
しかし、そのときたまたま通ったタクシーを停めて値段を聞いたら「メーターで行く」というのです。
「良心的なタクシーが現れてラッキー」と思っていたのも束の間、メーターの上がり方が異様に早い!メーターに細工してあるなと悟って、すぐにそのタクシーを降りました。メーターに細工がしてあるなら、「メーターで行く」というのも納得ですね。
タイ、特にバンコクはぼったくりトゥクトゥク、タクシーだらけなので、できる限り公共交通機関を使ったほうが無駄なエネルギーを使わずに済みます。
インドで宿の客引き詐欺
「リトル・ラサ」と呼ばれるインドのダラムサラに行ったときのこと。ダラムサラに向かうバスにたまたま日本人男性が乗っていたので、一緒に宿探しをすることにしました。(もちろん同じ部屋に泊まるつもりではありません)
宿の客引きなんて怪しいので、いつもなら無視するのですが、そのときは男性と一緒ということもあって、「どんな宿か見てみよう」という気に。それが大きな間違いでした、
そのときはわかっていなかったのですが、ダラムサラはびっくりするくらい急な階段がある町。客引きは、私の荷物を持ってその階段をぐんぐん下って行くのです。
「これ荷物もって自力で上れないよー!」と思いながら宿に到着。すると、事前に確認したWifiがある、お湯が出るなんて真っ赤な嘘で、シャワーすらありませんでした。一応シャワーらしきものはあるのですが壊れていて、シャワーを浴びようと思ったら、蛇口から桶で水を汲むしかありません。おまけに水回りはびっくりするほど不潔。
最初は「一晩ぐらいなら我慢しよう」と思ったのですが、私が耐えられる範囲を超えていたうえに、平気で騙すような人がやっている宿なんて恐ろしくて泊まれないと思いました。
部屋に着いて真っ先に払わされた宿泊費を返してもらおうと周囲を探し回るも、スタッフはどこかに消えていました。絶対わざとですね・・・
あの長い階段を降りてしまった以上、階段の下でしか宿を探すことができない、でもどこに他の宿があるかよくわからない、と途方に暮れていたとき、たまたま通りかかった人に助けを求めました。すると、その人はゲストハウスを運営しているというのです。
事情を説明すると、「2泊以上するなら1泊目は無料にしてあげる」と。騙された後だったので、「本当に大丈夫かな」と思ったのですが、「カルマだよ」とその人が言うのを聞いて、「この人は大丈夫そうだ」と感じました。カルマとは、「良い行いも悪い行いもいずれは自分に返ってくる」という考え方で、日本語でいえば「因果応報」ですね。
実際、彼は純粋にいい人で、私がダラムサラを去るときも、バス停まで私の重い荷物を運んでくれました。まさに捨てる神あれば拾う神あり。
この経験は、「誰かが一緒だから」なとどいう理由で流されず、何事も自分で判断しないといけないという教訓になりましたね。ちなみに、同じ宿に連れて行かれた日本人男性は、普通にそこに泊まったと思います。
エストニアのバスにkindle置き忘れ
これはかなり最近の話です。エストニアの首都タリンから大学都市タルトゥまでバスに乗りました。最初はkindleで読書をしていたのですが、途中から眠りに落ちてしまいました。結構本格的に寝てしまったので、起きた時にはすでにkindleのことは忘れ、おそらくバスの座席に置いたままバスを降りてしまったようなのです。
タルトゥの宿でkindleがないことに気付いて愕然。私が持っているkindleは日本版kindleなので、日本でしか買えないのです。私はかなりの本の虫なので、読書のない人生、読書の旅なんてありえません。「kindleなしにどうやってこの旅を続ければいいんだ!」と思ったほどです。
バスに置き忘れたんだろうと気付いた時点で、十中八九取り戻せないだろうと思いましたが、ダメ元で宿のスタッフに事情を話したら、バス会社のオフィスに連絡を取ってくれました。
その時点では「オフィスにはないからドライバーに連絡して、折り返し電話する」と言われたそうです。この時点で「ちゃんと探してくれるんだ。エストニアすごくない?」と思いました。
日本ならともかく、バスに忘れ物をしたのは私の過失であって、バス会社の責任ではないので、海外で乗客の忘れ物探しにバス会社が積極的に協力してくれなかったとしてもなんら不思議ではないからです。
海外では、探す気がないわけではなくても、関係者間の連絡に時間がかかったり、誰かが忘れてしまったりとかで、取り戻せないケースは少なくないと思うのですが、1~2時間後に本当に折り返し電話がかかってきました。
宿のスタッフが「同じバスが18:00にタルトゥに着くから、バスターミナルに行けば受け取れる」と教えてくれたときは奇跡かと思いました。そして本当に戻ってきました、私のkindle!一日に何回か往復しているタリン~タルトゥ間のバスで忘れたというのが、まさに不幸中の幸いでした。
頻繁に旅をしているとつい怠りがちになりますが、宿を去るとき、乗り物を降りるときは改めて所持品の点検をせねばと身が引き締まった経験でした。
搭乗前日にフライトキャンセル
これまた最近の話で、今年の3~4月にかけて一時国をしたときのことです。一時帰国を終えて「明日ドイツに戻るぞ」という日の午後、KLMオランダ航空から突然Eチケットが送られてきました。確かにドイツの自宅から最寄りのバーゼル空港に向かうチケットなのですが、ルートや所要時間がまったく違うのです。
乗り継ぎ回数が1回から2回に増えていて、予約していないはずの中国東方航空の便が入っているし、到着日が本来の翌日になっているしで、「なんじゃこりゃ!」と驚きました。メールの文面をよくよく見てみると、もともと乗るはずだった関空~アムステルダム間のフライトがキャンセルになったというではないですか。
勝手に割り振られた代替フライトは論外だったので、航空券を予約したエクスペディアのカスタマーサービスに問い合わせたところ、当初の予定の3日後であればもとのフライトと似た条件のフライトが取れるということに。
結局、当初より3日遅れでドイツに帰りました。おそらく、あのときKLMのカスタマーサービスはパンク状態だったと思うので、たまたまエクスペディアでチケットを予約していてよかったです。
ちなみに、この遅延に対する補償として後日600ユーロ相当の補償金を受けることができました。たまたま「こういう場合って補償とかあるのかなぁ」と思ってKLMのホームページを調べてみたら、あったんです。でも、航空会社は「あなたは補償金を受け取る権利があります」なんてわざわざ教えてくれないので、こちらから請求しないともらえません。
このときはドイツに戻ってすぐに大事な用事を控えていたわけではなく、実害はあまりなかったので、ある意味ラッキーな出来事でした。一緒に訪日していたダーリンはブリティッシュエアウェイズの別便を予約していたので、予定通り一人で先にドイツに帰ることになりましたが・・・
短時間の遅延では定額の補償金は出ませんし、フライトの距離によって金額は変わりますが、フライトに大幅な遅延が発生したときには、自分が補償金を受け取る権利があるかチェックしてみるといいと思います。
おわりに
旅しているとそれなりに色々ありますが、幸いこれまで盗難や強盗に遭ったり、身体に危害を加えられたりしたことは一度もありません。また多額の詐欺やぼったくりに遭ったこともありません。あってもせいぜい数百円です(笑)
たまたま運が良かったのもあるでしょうが、「安全第一」をモットーに旅をしているからでもあると思います。これから旅に出られる方はぜひ「海外女一人旅、経験者の私が安全のために気を付けている5つのこと」も参考にしていただければ幸いです。