トラベルライターになるには?必要な7つの能力・スキルとやるべきこと

このサイトでも特に読まれている記事のひとつが、「旅を仕事に!現役トラベルライターが教える、旅行ライターになる方法」。

当初私が予想していた以上の反響があり、「トラベルライター(旅行ライター)という仕事に興味がある人が多いんだな」ということを実感しています。

その一方で、トラベルライターという仕事は、謎のベールに包まれていて、どうやったらなれるのか、なるためにどんな能力やスキルがあればいいのか、よくわからない人も多いのではないでしょうか。

そこで、トラベルライターになりたい人や、トラベルライターに興味がある人に向けて、トラベルライターに必要な能力・スキルと、トラベルライターになるためにすべきことをお伝えしたい思います

文章力

当たり前ですが、どんな形であれ文章を書くことを仕事にする以上、一定の文章力は必須です。とはいえ、一般的に、トラベルライターになるうえで特別な文章の才能や、誰もがうなるような表現力が必要なわけではありません。

これからトラベルライターを目指す場合、ウェブ媒体が入口になるケースが多いと思うので、それを前提にお話しすると、トラベルライターにとって重要なのは、わかりやすくテンポのよい文章を書くことです

「わかりやすい文章」というのは、文法や語法のミスがなく、読者にストレスを与えない文章、複数の意味に解釈する余地のない明確な文章のことです

わかりやすくテンポのよい文章が書けることは、ジャンルを問わずライターの必須要件。その基礎さえできていれば、特別な才能がなくても、トレーニングしだいでプラスアルファの文章力はいくらでも身につきます。

ときどきトラベルライター志望の方から、「旅行サイトに応募しても採用されない」といった相談を受けることがありますが、いつも不採用になるという方は、メールの文面からして何を言いたいのかがわかりにくいことがあります。

何度かトライしているのに思うように採用されないという方は、自分がわかりやすくテンポのよい文章が書けているのかどうかを見直してみてください。

それができていない、あるいはできているかどうか自信がないとき、最も手っ取り早い方法が、文章の書き方の本を読むなどして、基本的な理論を学ぶことです


この手の本には、一定レベルの文章力がある人にとっては当たり前のことも書かれていますが、中盤~終盤にかけては「なるほど」「知らなかった!」と思える内容もきっとあるはず。文章を書くことを生業にするなら、一度は読んでみて損はないと思います。

表現力

文章力と関連する部分ではありますが、いくらわかりやすくテンポのよい文章が書けたとしても、単なる事実の羅列では旅行記事として面白くありません。

質の高い旅行記事には、読者に「ここに行けばこんな気持ちになれる」と想起させるような記述や、筆者ならではの独自の視点での解釈など、読者をワクワクさせたり、一歩立ち止まって考えさせたりする要素がなくてはなりません。

そういった要素を盛り込むためには、文章力のみならず、感受性も重要です。感受性には個人差がありますが、これも意識的にトレーニングすることで磨くことができます。

とある観光スポットを訪れたとき、単なる観光客なら「すごい!きれい!」で終わってしまうかもしれません。

観光するだけが目的ならそれでもまったく問題ありませんが、まさかプロのライターとして書く旅行記事に「きれいですごかった」と記すわけにはいきませんよね。「きれい」と一口にいっても、優雅、華やか、繊細、神秘的など、さまざまな美しさの種類があります。

トラベルライターとしての表現力を磨くためには、「すごい」「きれい」などといった感想を抱いたときに、「すごい」=「歴史の重みを感じさせる存在感に圧倒される」など、「何がどうすごいのか」「どのようにきれいなのか」を自分なりに言葉にするよう意識すること

そのうえで、独自の着眼点やみずみずしい感性をお持ちの角田光代さんやたかのてるこさんのエッセイはとても勉強になります。純粋に読み物としても面白いので、読んだことのない方はぜひご一読を。

写真技術

トラベルライターというと、「書く」ことばかりが取り沙汰されがちですが、実はめちゃくちゃ大切なのが「写真」です

なかには、ストックフォトの写真を使用できる旅行サイトもありますが、ストックフォトには色んな意味で限界があるので、本格的にトラベルライターとして活動するなら、自分が撮影した写真をサイトに掲載することが必須になりますその意味で、トラベルライターは、ライターでありフォトグラファーでもあるんですね

トラベルライターに求められる写真技術は、どのような形で活動するのかによってまちまちですが、一般的な旅行記事であれば、プロの写真家ほどのクオリティは必要ありません。

とはいえ、写真がブレていたり、暗すぎたりするのは論外。記事を読んでくれた人が、「ここに行ってみたい」と思えるような魅力的な写真でなければなりません

これを読んで「私、写真の技術なんて全然ないよ!」と思った方、心配はいりません。今は色々といいカメラが出ていますから、特別な知識や技術がなくても旅行サイトに掲載できる程度の写真を撮るのはそう難しくありません。

現時点で一眼レフやミラーレス一眼を持っていないという人は、ぜひミラーレス一眼を購入してはいかがでしょうか

一眼レフよりミラーレス一眼をすすめる理由は、第一に軽いこと。体力に自信のある人は別として、ほかの持ち物もあるなか、旅先で常に一眼レフを持って歩き回るのは大変です。トラベルライターにとってのカメラは「持ち歩けてナンボ」ですから、より携帯性にすぐれたミラーレス一眼のほうが使いやすいのです。

また、一眼レフよりもミラーレス一眼のほうが、カメラ初心者にとっては使いやすく、オートを基本にして多少設定をいじるだけでも簡単にキレイな写真を撮ることができます。

私が使用しているのは、FUJIFILMの「X-T30」と、オリンパスの「OM-D E-M10 Mark III」。オリンパスの「OM-D E-M10 Mark III」は軽くかさばらないので、こちらは近場の旅行などで気軽に持ち歩きたいとき用、FUJIFILMの「X-T30」は本気で写真を撮りたいとき用と使い分けています。

オリンパスの「OM-D E-M10 Mark III」には、「OM-D E-M10 Mark IV」という後継機もあるのですが、「OM-D E-M10 Mark III」に比べ「OM-D E-M10 Mark IV」は倍ぐらいの値段がします。そこまで性能差があるとは思えないので、気軽に使えるコスパの良いミラーレス一眼を手に入れたいなら、5万円以下で買える「OM-D E-M10 Mark III」はかなりおすすめです。

FUJIFILMの「X-T30」は、透明感のある色合いが最高。FUJIFILMファンは「FUJIの色がたまらない」という人が多いです。



もちろん、体力に自信があって「写真を極めたい!」という人は、上級者向けの一眼レフを購入してもいいでしょう。

外国語力

日本国内を専門にするならともかく、海外の旅行記事も書くというのであれば、ある程度の外国語力があったほうが便利です。どの言語がいいかは行き先にもよりますが、やはり英語ができたほうがいいのは間違いありません。

日本人旅行者が多い場所であれば日本語の情報も豊富ですが、日本語の解説やパンフレットがない観光スポットも多いですし、英語ができれば、現地の人にその国や街について質問することもできますね。

そもそも、英語がろくにできないと個人で海外を旅行すること自体が大変です。

「外国語ができないとトラベルライターになれない」とは言いませんが、一定レベルの外国語力は、海外を旅しつつさまざまな情報を集めるための基本スキル。英語すらできないと、集められる情報が限られ、トラベルライターとしては不利になる可能性が高いでしょう。

体力

私が実際にトラベルライターになって痛感したのが、「体力」の重要性です

トラベルライターといっても活動の方法は色々で、どのくらいの頻度で旅行をするかは個人差があると思いますが、私は夏の旅行シーズン(5~9月ごろ)は、合計2ヵ月以上旅をしていました。月の半分以上は旅行をしている計算です。

そのような状況では、一回の旅行が終わってからわずか数日後に次の旅行が始まるというケースもしばしば。当然、旅のスケジュールを組むときには、「元気で旅行ができる」ことを前提にしているので、その前提が崩れるとスケジュール通りの旅行をこなせなくなります

幸い、今のところ体調不良で旅行を中止したことはありませんが、危うかったことはありますし、病気にはならなかったとしても、頻繁に旅行を繰り返すことは心身への負荷になります。

いくら旅好きでも、慣れない環境に身を置くのは疲れるもの環境が変わることが好きで、健康であることは、トラベルライターとして活躍し続ける条件のひとつだと感じています

情報収集力・企画力

トラベルライターとして活動するためには、情報収集力と企画力が重要になります

ここでいう情報収集力とは、「世界にどんな面白いスポットや現象があるかをキャッチするアンテナ」のこと

これに特別な才能は必要なく、自らインターネットで気になるスポットを検索したり、旅行関連サイトを定期的にチェックしたり、旅行関連の書籍や雑誌で穴場の情報を見つけたり・・・つまりは積極的にアンテナを張ってさまざまな情報を集めればいいだけで、「できるかどうか」というよりは、「やるかやらないか」の世界です。

企画力というのは、「仕入れたネタをどのように料理するか」あるいは「どのような切り口でネタを集めるか」ということです

旅行記事というのはさまざまな書き方ができるもので、ライター自身の主観や経験をたっぷり盛り込んだ「旅行記」や、「〇〇(都市や国名)のおすすめ観光スポット〇選」といったまとめ記事、「ミャンマーのタナカとは?」といった現地の文化や習慣に焦点を当てた記事など、さまざまなパターンが考えられます。

自分が手に入れたネタをどう生かすか、より魅力的な記事を書くためにどんな形で取材するかを考える。ここがライターとしての腕の見せ所でもあります

「〇〇のおすすめ観光スポット〇選」のような記事は需要が大きいので、テッパンネタとして重要ですが、せっかくならほかのライターがあまり書かないようなディープな記事も書いてみたいものですね。

世界の常識・基礎知識

トラベルライターの仕事は、歴史、地理、文化・風俗、宗教、グルメなど、かなり幅広いトピックを扱います

数多くの記事を執筆していくなかで、それらの知識が身についていく側面もありますが、世界史のおもな出来事や世界のおもな宗教などに関する基本的な知識を身につけていれば、さまざまなストーリーや現象が理解しやすくなり、執筆もスムーズになります

特定の国に旅行する際には、その前にその国の歴史や文化に関する本を読んでおけば、現地でより有意義にネタの収集ができるはずです。

自身のブログを運営する

トラベルライターになりたいという人におすすめするのが、個人ブログの開設です

これまでにライターとしての経験がない方の場合、まだ文章力に十分な自信がないことも多いと思いますが、文章力のトレーニングには実践が欠かせません。

公序良俗に反しなければ、なんでも自由に好きなことを書ける個人ブログは、文章力のトレーニングに最適ですし、アクセス数や検索ワードなど、ユーザーの反応や動向も確認できます

ブログは積み重ね型のビジネスなので、短期間で稼ぐことは難しいですが、地道に記事のストックを増やし、アクセスを伸ばしていけば、広告料などの収入も期待できます

それに加え、ブログが果たしてくれる「窓口」の役割も侮れません。個人ブログを運営していれば、旅行サイトなどなんらかの形であなたの記事を読んで興味を持ってくれた人が、直接コンタクトをとる窓口として機能してくれるのです。

仕事の依頼が舞い込んでくることも珍しくないので、本格的に「書く」ことを生業にしたいなら、個人ブログは必須といってもいいでしょう

旅行メディアに寄稿する

トラベルライターとしての活動にはさまざまな道がありますが、特別なスキルやコネがない人にも門戸が開かれているのが旅行サイトへの寄稿です

オープンにライターを募集している旅行サイトの報酬は、一記事あたり1000~5000円程度。なかには「一記事いくら」という定額制ではなく、アクセス数に応じた従量報酬制をとっているサイトもあります。

なんらかのメディアでの執筆経験が前提となっているサイトもありますが、初心者でも応募できるサイトも少なくありません。個人ブログを運営していれば、それも実績として提示することができます。

旅行メディアに寄稿するメリットは、収入がある程度安定すること。それだけで十分な収入を得ることは難しいかもしれませんが、一定の原稿料がもらえる寄稿は、駆け出しトラベルライターにとっては大きな進歩です。

サイトによっては、取材費を負担してもらえたり、観光局やホテルなどが主催するプレスツアーへの募集がかかったりする場合もあり、無料で旅行ができるチャンスも

それに加え、旅行サイトで執筆している記事が誰かの目に留まり、より条件の良い個人的な仕事の依頼につながる可能性もあります。

おわりに

トラベルライターになるための方法には色々あって、旅行メディアを運営している会社でインターンをするなどもひとつの可能性ですが、インターンには年齢制限が設けられていることも多いので、ここでは誰にでも挑戦できる方法をご紹介しました。

はるぼぼ
トラベルライターになるための具体的なステップやライターを募集している旅行サイトについては、「旅を仕事に!現役トラベルライターが教える、旅行ライターになる方法」でより詳しくご紹介しています。あわせてどうぞ。