実はドイツは世界屈指のチョコレート大国。年間一人あたりのチョコレート消費量は世界2位の11.3キロにものぼります。一方の日本はわずか2.1キロ。単純にいえば、ドイツ人は実に日本人の5倍以上もチョコレートを食べていることになります。(出典:インフォグラフィック)
そんな世界トップクラスのチョコレート大国だけあって、チョコレートはドイツ土産としてもおすすめ。そこで、ドイツで買えるチョコレートブランド10を一挙にご紹介したいと思います。
日本でも知られる定番から、在住者だからこそ知っているようなブランドまで幅広くご紹介したいので、ドイツ発ではないブランドや、チョコレート専門ではないブランドも含めています。
ドイツのスーパーはチョコレート天国
チョコレート好きを自負する人がドイツのスーパーに足を踏み入れれば、きっと歓喜するはず。というのも、ドイツのスーパーはチョコレートの品揃えが半端ではないからです。
日本のコンビニを少し大きくしたくらいの小型スーパーでも「店の規模のわりにチョコレートの種類多すぎない?」と疑問に思うくらいチョコレートが充実していますし、中~大規模スーパーともなれば数百種類ものチョコレートがずらりと並んでいることも珍しくありません。
そんなドイツのスーパーのチョコレート売場を一枚に収めるのは至難の業で、この写真のスーパーのチョコレート売場もまったく収まりきっていません。写真に写っているだけでも十分たくさんのチョコレートが並んでいることがわかりますが、本当はこの3倍近くあります。
ドイツのスーパーでは、ドイツブランドのチョコレートはもちろんのこと、スイスやイタリアなど外国のチョコレートも充実していて、ヨーロッパのおいしいチョコレートがたくさん手に入りますよ。
リッタースポーツ(Ritter Sport)
まずは、ドイツを代表する大衆的チョコレートブランドからご紹介しましょう。
ドイツで最も有名なチョコレートブランドのひとつが、カラフルな正方形のパッケージが目を引く「リッタースポーツ(Ritter Sport)」。日本でも輸入食材店などで販売されていて、日本にもファンの多いブランドですね。
リッタースポーツは、1912年、ドイツ南西部のシュトゥットガルト近郊に設立されたチョコレートブランドで、100グラムの板チョコ部門でドイツトップシェアの人気を誇っています。
正方形をしているのは、「どんなスポーツジャケットのポケットにも収まり、かつポケットの中で割れないように」というアイデアがきっかけだったとか。正直、私にはスポーツジャケットのポケットにチョコレートを入れる必要性がよくわかりませんが、とにかく人気が出たのはよいことです。
リッタースポーツの魅力は味やサイズの種類が豊富なこと。常時販売されている定番商品が20種類ほどあり、さらに季節に応じ数種類が期間限定で発売されます。
形やサイズの面でも、スタンダードな100グラムの板チョコから、250グラムのビッグサイズの板チョコ、個包装のミニサイズが詰まった箱など、多彩なバリエーションが嬉しいところ。
100グラムの板チョコはひとつ1ユーロ程度なのでバラマキ土産にも最適です。ちなみに私のお気に入りは「ストロベリーヨーグルト(ERDBEER JOGHURT)」。中にフリーズドライの苺が入ったヨーグルト風味のストロベリーチョコが挟まっていて、これが甘酸っぱくておいしいんです。
ミルカ(Milka)
紫のパッケージでおなじみの「ミルカ(Milka)」も日本で人気のあるブランドですね。ドイツのみならずヨーロッパ各地のスーパーで見かけるミルカは、ヨーロッパで最も有名なチョコレートブランドのひとつです。
発祥はスイスなのですが、「ミルカ」というブランド名はドイツで特許を取得していること、またミルカ商品の多くがドイツで製造されていることから、ドイツのブランドとみなされています。
ミルカのチョコレートの特徴は、「ミルク」と「カカオ」をくっつけた「ミルカ」というブランド名の通り、アルペンミルクをたっぷりと使ったこっくりとした甘み。私にはちょっと甘すぎるのですが、日本でも甘党さんのあいだでは人気があります。
ミルカといえば、板チョコのイメージが強いかもしれませんが、実は箱入りのプラリネなどもあり、意外に形やサイズの種類が豊富。
小さな箱に入ったプラリネは、チョコレートが8粒入って1.4ユーロほどど、手ごろな値段のわりに見た目がしっかりしているのでお土産におすすめです。家族や職場へのお土産にするなら、さらにたくさんの量が入った大箱のプラリネもありますよ。
バルパライソ(ValParaiso)
何を隠そう、おそらく私がドイツで一番好きなチョコレートがこれ「バルパライソ(ValParaiso)」。
イタリアを代表するチョコレートブランド「フェレロ(Ferrero)」系列のようですが、このバルパライソシリーズはドイツ製。パッケージの表記はすべてドイツ語ですし、イタリアのフェレロのホームページには載っていないので、どうやらドイツのフェレロオリジナルの商品のようです。
このバルパライソは、ひとことで言えばグミチョコ。ただし、日本の子ども向けのグミチョコとは違い、上質感にこだわったグミチョコで、グミの原料の99パーセントが本物の果実由来の成分なんだそうです。
ほろ苦いチョコレートのなかにフルーティなグミが入っていて、一度食べ始まると止まらなくなる危険なおいしさ。
ゴジベリー&クランベリー、マキベリー&ブルーベリー、ほおずき&マンゴー、の3種類の味があり、いずれもリンゴがベースになっています。どれも本当においしいので、どの味がおすすめかなんて決められません。でも、あえていうなら赤いパッケージのゴジベリー&クランベリーでしょうか。
フルーツやグミが好きな方なら、一度食べて損はありません。
ヨグレッテ(yogurette)
苺風味の粒が入ったヨーグルトクリームをミルクチョコレートで包んだ「ヨグレッテ(yogurette)」。こちらもさきほどのバルパライソ同様、フェレロ系列ですがやはりドイツで製造されています。
一つひとつは細長い棒状のチョコレートで、箱の中で個包装されているのでちょっとずつ食べるのに便利。一見リッタースポーツのストロベリーヨーグルトに似ているのかなと思いましたが、食べてみるとけっこう違います。
言葉での説明には限界がありますが、ヨグレッテのほうが中のガナッシュが柔らかく、ヨーグルトの風味が強いです。苺風味の粒も酸味が強め。ミルクチョコレートと酸っぱいガナッシュのハーモニーがクセになる一品です。
ハッシェ(HACHEZ)
「ハシェ(HACHEZ)」は、1890年に北ドイツのブレーメンで創業された、ドイツ有数の老舗の高級チョコレートブランド。(日本では「ハッチェス」と呼ぶ場合もあります)
ブレーメンといえば「ブレーメンの音楽隊」で有名なだけあって、音楽隊のイラストをあしらったスペシャルパッケージの商品も販売しています。
ハシェのこだわりは、世界にわずか数パーセントしか存在しないという最高ランクのカカオ豆を自社で加工していること。精錬過程では、72時間もかけて丹念に練り上げることで、なめらかで香り高いチョコレートが出来上がるといいます。
それだけに、ハシェのチョコレートは本物の味。ちなみにドイツ人のダーリンは、ハシェのカカオ比率60パーセントチョコレートを「ちょうどいい、一番おいしいチョコレート」と絶賛しています。
カカオの比率が選べる板チョコや、フルーツ風味の板チョコ、スティック型の細長いチョコレート、ギフトにぴったりな箱入りのプラリネなど、商品ラインナップも豊富です。
ニーダーエッガー(NIEDEREGGER)
「ニーダーエッガー(NIEDEREGGER)」は、北ドイツの世界遺産の町、リューベックで1806年に創業されたマジパンの名店。
日本ではあまりなじみがないので「マジパン」と聞いてもピンとこない人も少なくないように思いますが、ケーキのデコレーションに使われるアレです。
マジパンが好きな人が多いドイツでは、ケーキなどのデコレーションだけでなく、そのまま食べたり、チョコレートの詰め物にしたりと、さまざまな用途に使われます。
マジパンを看板商品とするブランドだけあって、ニーダーエッガーのチョコレートはマジパンを使ったものや、洋酒を閉じ込めたものなど、中に詰め物をしたチョコレートが売り。
板チョコや、一口サイズのチョコレートを詰めたパック、小さなハート形の缶に入ったプラリネなど、形やパッケージデザインの種類が豊富で、ギフト向きの高級感あふれるチョコレートが充実しています。
日本のあっさりしたチョコレートとは一味ちがう、濃厚で後を引くようなヨーロッパらしいチョコレートを食べてみたい方はぜひお試しを。
ゲパ(GEPA)
「ゲパ(GEPA)」は、1975年にドイツで設立されたフェアトレードのパイオニア的存在のブランドです。
商品ラインナップは、チョコレートやコーヒー、紅茶、砂糖など。南米やアフリカなどのオーガニック原料やフェアトレード認証を取得した原料を用いて、発展途上国の生産者を尊重した商品づくりを行っています。
定評のあるチョコレートは、国際ココア機関が指定した、希少なファインフレーバーカカオのみを使って作られています。
日本でも買うことができるゲパの板チョコレートですが、日本での販売価格はなんと864円から(100グラムの場合)。ドイツでは、日本で1080円で販売されているチョコレートが2.5ユーロほどで買えます。板チョコで2.5ユーロは決して安いわけではありませんが、日本価格を知ってしまうととてもお得に感じてしまいます・・・
それはさておき、ゲパのチョコレートは洗練された香り高いココアの風味が広がる本格派。高品質なファインフレーバーカカオのみを使っているというだけあって、まじりっけなしの上質感漂うおいしさです。
リンツ(Lindt)
日本でもよく知られる「リンツ(Lindt)」は、1845年にスイスで創業した老舗チョコレートブランド。
あえてスイスブランドのリンツをここで紹介する理由、それはリンツがドイツで超メジャーな存在であるからというだけでなく、ドイツでは値段も比較的安いからです。
日本ではやや高級なイメージのあるリンツですが、ドイツではごく普通のスーパーでも置いてある身近な存在。とはいえ、リッタースポーツやミルカなどに比べると高級なので、ドイツではよくちょっとした贈り物としてリンツのチョコレートが選ばれます。
板チョコやプラリネなど、種類はさまざまですが、私のおすすめはやはりリンツの看板商品「リンドール(LINDOR)」。丸いチョコレートの中になめらかなガナッシュが入った、トリュフのようなちょっと贅沢なチョコレートです。
ドイツでの販売価格は、137グラムで4ユーロほど。リンツのチョコレートは、私にはちょっと甘みが強いと感じられるので、甘すぎるチョコレートが苦手な人はダークチョコレートを選ぶといいと思います。
ダークブラウンのパッケージの「LINDOR EXTRA DUNKEL」は、本当においしいです。
アルナチュラ(Alnatura)
「アルナチュラ(Alnatura)」は、ドイツ初のオーガニックスーパー。ドイツ各地に直営店を展開しているだけでなく、一般のスーパーやドラッグストアにも自社の商品を卸しています。
BIO(オーガニック)専門ブランドだけあって、アルナチュラのチョコレートはもちろんオーガニックです。日本では「オーガニックは高い」というイメージがありますが、オーガニック商品が普及しているドイツでは、庶民にも手が届くお手ごろ価格。
特にアルナチュラは商品ラインナップが豊富なうえ、高品質なのに値段が安いことで人気を集めています。アルナチュラの板チョコは1ユーロ20セントほど。
板チョコ以外にも乾燥ベリーをチョコでコーティングしたものや、プレッツェルのスナックをチョコでコーティングしたものなど、さまざまなチョコレート菓子がありますよ。
ミカド(MIKADO)
こちらはちょっとしたおまけ。見てわかる通り、日本でいうポッキーです。
「ミカド」という日本人からするとややうさん臭い名前が付いていますが、1982年にグリコがフランスで立ち上げた合弁会社から発売されている本物。「ミカド」という商品名は、「MIKADO」というゲームで使う竹ひごに形が似ていることからそう名付けられたそうです。
このミカドはドイツでもなかなかメジャーな存在で、小規模なスーパーでも必ずといっていいほどその姿を見かけます。
現在ドイツではダークチョコレート、ミルクチョコレート、、ホワイトチョコレート、キングチョコの4種類が発売されていますが、ヨーロッパ人の好みに合わせて日本のポッキーよりも全体的に甘め。ミカドを見つけたら、日本バージョンとはどう違うか、食べ比べてみてはいかがでしょうか。
おわりに
この記事でご紹介したのは、すべてドイツのスーパーで買えるチョコレートです。ただし、お店によって当然品揃えが異なるので、店によってはすべて揃わないこともあるのをご了承ください。
とはいえ、リッタースポーツやミルカ、リンツなどはほとんどどのスーパーでも置いていますし、ちょっと高級なチョコレートなら「ガレリア・カウフホフ(Galeria Kaufhof)」などのデパートも狙い目です。
ぜひドイツでお気に入りのチョコレートを見つけてくださいね。