法律上の結婚からおよそ1年、桜が咲き始めた2018年3月末に、京都の吉田神社で小さな結婚式を挙げました。
ダーリンはドイツ人で、現在ドイツに住んでいながら挙式は日本の神社。ちょっと意外な選択に思えるかもしれませんが、私たちにとってはこれが一番自然な選択でした。
実際に結婚式を挙げてみた感想は・・・ひとことでいえば、京都での神前式は「最高」です。
日本での神前式を決めた理由
私たちは、現在ドイツに住んでいながら日本での結婚式を挙げました。
国際結婚夫婦の場合、2人の居住国で結婚式を挙げる、2人が居住していないほうの国で結婚式を挙げる、双方の国で結婚式を挙げる、結婚式は挙げず食事会などで済ませるという4つの選択肢があり、一番ポピュラーなのは2人の居住国で結婚式を挙げるパターンなのではないかと思います。
しかし、私たちはドイツでの挙式は行わず、日本だけで結婚式を挙げることにしました。
「住んでいるドイツで結婚式を挙げたほうが準備などが楽なのに、なぜわざわざ日本で?」と聞かれたら、最大の理由は私たち2人が心情的に日本寄りだからです。私たち2人のあいだには、「ドイツで結婚式を挙げる」という発想はほとんどありませんでした。
日本人である私の場合はある種当然としても、なぜかドイツ人のダーリンも気持ちのうえでは日本寄りで、日本を「心のふるさと」と考えています。
加えて、私たち2人がドレスやタキシードよりも和装のほうが似合う(であろう)ことが挙げられます。
結婚式で白いウェディングドレスを着ることに憧れる女性は多いですが、私にはなんだか自分がウェディングドレスを着ているイメージがうまく描けないのです。想像しようとしても、「自分にはドレスより色打掛のほうが似合うだろうなぁ」と思ってしまって、そこで想像終了となってしまいます。
また先ほどの話が繰り返されることになりますが、ドイツ人のダーリンもタキシードよりも紋付き袴が似合いそうです。実際にダーリンのタキシード姿を見たことがないので断言はできませんが、ダーリンの物腰やドイツ人にしては小柄な体型にはスーツより着物のほうがしっくりくる気がします。
ダーリン自身も、タキシードよりも袴のほうを積極的に着たがっていたので、日本での神前式はやる価値があると思いました。
さらに、ダーリンは無宗教。宗教的な信仰心がないどころか、一神教であるキリスト教にはあまり良い感情を抱いていません。だから、「ドイツの教会で結婚式」という選択肢はありえず、私たちにとっては日本での神前式を挙げることはごく自然な成り行きでした。
ちなみに、ドイツの教会で結婚式を挙げられるのは、正式なキリスト教徒として教会税を払っている人だけ。ドイツ人に「日本ではキリスト教徒ではないけれど、結婚式のために用意されたチャペルで結婚式を挙げる人が多い」と言うと驚かれます。
京都・吉田神社を選んだ理由
私たちが挙式会場として選んだのは、京都にある吉田神社。そもそも京都という場所を選んだのは、私たち2人が一番好きな街だから。私の実家のある和歌山からもそう遠くないので、参列者にもあまり無理がありません。
吉田神社は、世界遺産に登録されている上賀茂神社や下鴨神社などと違い、通常のガイドブックには載っていないため、一般の観光客にはほとんど知られる機会がありません。関西出身で京都には20回以上行っている私も、式場の検討を始めるまでは吉田神社の存在を知りませんでした。
実際、当初式場候補として有力だったのは上賀茂神社、下鴨神社、貴船神社と、観光地としても有名な神社。
今からもう3年以上も前の2015年の5月、ダーリンと2人で京都を旅行したときに、下見として挙式会場の候補となっていた神社をいくつか周りました。
あまり有名でないこともあって、吉田神社は「ついで」という感覚でしかなかったのですが、吉田神社に行って式場を見せてもらったときに「ここだ!」と直感したのです。口にするまでもなく、ダーリンも同じように感じていることがわかりました。
もっと有名な神社を訪ねたときはピンとこなかったのに、吉田神社のたたずまいは私たちの感覚にぴったりフィットしていました。
吉田神社を見て「ここだ!」と思った理由は、観光客が多くなく静謐な雰囲気があること。緑に囲まれた朱色の社殿が美しいこと。そして、突然の来訪にもかかわらず、神職の方が「式場見ますか」と、普段は公開されていない本殿の中を見せてくれ、親切に対応してくれたこと。
厳かでありながらアットホームな雰囲気が魅力的で、「ここなら、私たちがしたい結婚式ができる」と思いました。
披露宴なし・親族だけの小さな結婚式
もともと「結婚式に何百万円も遣うくらいなら、2人で世界を旅するなどもっと別のことにお金を遣いたい」という考えの私たち。豪華な披露宴などを行うつもりはありませんでした。
そこで、吉田神社で結婚式を挙げた後、レストランで会食という流れにしました。
当初は友人を招くことも考えなくはありませんでしたが、ダーリン側の参列者が両親のみであること、友人を招いて参列者の人数が増えると食事会の際に司会を立てざるを得ず、大げさになっていくのではと思ったので、近しい親族だけの小さな結婚式にしました。
結婚式の後に食事会などを開催する場合、親族だけにするか友人も招くかによって規模の大小や準備の大変さが大きく変わってくるので、誰を招待するかは結婚式の要素を決めるひとつの大きなポイントですね。
衣装は白無垢ではなく色打掛
神前式の場合、新郎の衣装は紋付き袴と決まっていてそれ以外の選択肢はないも同然ですが、新婦の衣装は大きく分けて白無垢と色打掛があります。
お色直しありの場合、結婚式は白無垢で、その後の披露宴または食事会には色打掛を着るという花嫁さんも多いようですが、私の場合お色直しはしなかったため色打掛一本に絞りました。
理由は、個人的に白無垢にあまり魅力を感じず、色打掛のほうが華やかで写真映えすると思ったからです。このあたりは個人の好みや感覚になってくるので、自分が好きなものを着ればいいと思います。
色打掛を着るにあたって、私がこだわったのは髪飾り。色打掛を着る際には、着物の華やかさに負けないよう、かなりボリュームのある髪飾りを着けることが多いですが、私は髪飾りをすべて生花にしました。
しかも、業者に任せず自分で用意することにしたので、これが思いのほか大変でしたが、たっぷりの生花を髪に飾るなんてほかにない経験。挙式の特別感がさらに増しました。
「大いなるものに祝福されている」という感覚
結婚式が近づくにつれて、気になっていたのが当日の天気。「天気ばかりはどうすることもできないから、あまり考えないようにしよう」と思っていたのですが、当日の天気は見事に晴れ。
挙式会場である本殿に腰を下ろすと、青空から光が降り注ぎ、神々しい雰囲気を感じました。
そのとき感じたのは、「大いなるものが祝福してくれているみたい・・・」。
私は「神道の信者である」という自覚もなければ、宗教的な人間でもありませんが、森に囲まれてひっそりとたたずむ朱色の本殿のなか、清浄で新鮮な空気を感じれば、ごく自然な感想だったのではないと思います。
実際に神社で挙式をしてみて、「神前式の魅力といのは、たとえ日本人であっても、挙げてみるまで、あるいは参列してみるまでわからないものだ」と感じています。
自然に神秘を見出す感覚、「無宗教」といいつつどこか超自然的なものを信じる感覚・・・神社というのは日本人が古来から受け継いできたそんな感覚を呼び起こしてくれる場所で、普通の参拝者は入れない本殿の奥では尚更です。
神前式は私たちにとっても新鮮な体験でしたが、参列者にとっても同じだったようで、私の母は「とても面白かった」、叔父は「(結婚式専用)の式場より10倍よかった」と言い、ダーリンの両親も「とてもユニークで特別な体験だった」と喜んでくれました。
こういった感想は、「親や身内だから余計にそう思った」という要素はありますが、場所が神社であったことがより感動を強めたのは間違いありません。
おわりに
近頃は、私たちのような地味婚が増えているだけでなく、記念写真だけ、食事会だけなど、結婚式を挙げないカップルが増えています。
従来の慣習に縛られず、カップルが自分たちが好きな形で結婚をお披露目できる選択肢が増えているのはとてもいいことだと思います。
正直、私は結婚式に夢を抱いているほうではありませんでしたし、面倒なことは避けたかったので、「結婚式をしない」という選択肢もありました。
でも、ダーリンが「日本の神社での挙式」に対してかなり乗り気であったこと、私自身「面倒だという理由でしなかったら、後悔するだろう」という気がしたので、やはり結婚式を挙げることに。
いくら地味婚とはいえ、結婚式を挙げる以上それなりのお金がかかりましたし、準備も意外に大変でしたが、結婚式を挙げて本当によかったです。
挙式当日の写真を見返していると、「私たち、新郎新婦になったんだなぁ」となんだか不思議な気分に。気持ちを新たに、これからも2人力を合わせて歩んで行こうと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします。
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