先日、ドイツ人ダーリンの在留資格認定証明書が届いた(配偶者ビザの申請が許可された)ことをお話しました。
しかし、ダーリンが日本人の配偶者として日本に滞在するための手続きはそれで終わりではなく、さらなる手続きをして、在留カードの交付を受けなければなりません。
本来、その手続きは外国人配偶者の本国(私たちの場合ドイツ)で済ませなければならないのですが、イレギュラー対応で、日本にいながらにして在留資格の切り替えを済ませることができました。
在留資格の切り替えって?
ドイツ人の場合、観光目的であれば日本入国にビザは必要なく、ビザなしで90日間(延長手続きをとればさらに90日間)日本に滞在することができます。ドイツ以外にも、こうしたビザなしでの滞在が認められている国はたくさんあります。
こうして、観光目的で短期間滞在することが「短期滞在」と呼ばれる一方で、俗に「配偶者ビザ」と呼ばれるものは、「日本人の配偶者等」という長期滞在の在留資格にあたります。
短期滞在あるいは留学など、とある在留資格から、「日本人の配偶者等」など別の在留資格に変更することを、「在留資格の切り替え」といいます。
短期滞在から配偶者ビザへの切り替えは原則できない
外国人配偶者が、ビザなしで日本に入国できるパスポートを持っている場合、まずは観光客としてビザなしで日本に入国して、そのあいだに配偶者ビザなどの手続きを済ませようと考える人は少なくないと思います。
しかし、日本では原則として、短期滞在からほかの在留資格に変更することは認められていません。
留学ビザから就労ビザへなど、長期滞在から長期滞在への変更は可でも、観光客として日本に入国し、そのまま配偶者ビザに切り替えることはできないとされているのです。
入管法にも次のように書かれています。「短期滞在の在留資格(つまり観光ビザ)を持って在留する者の申請については、やむを得ない特別な事情に基づくものでなければ、許可しないものとする。」
じゃあ配偶者ビザで日本に滞在したい外国人配偶者はどうすればいいのかというと、日本人の夫または妻に代理で申請をしてもらい、在留資格認定(配偶者ビザの申請)が許可されてから来日する、あるいは一旦自国に帰るという方法をとらなければなりません。面倒ですね・・・
原則できないはずが、できた
私たちの場合、短期滞在から配偶者ビザへの切り替えができないことは事前に知っていたものの、知るタイミングが遅かったこともあり、まずはダーリンがビザなしで観光客として入国して、必要に応じて一旦ドイツに帰省してまた日本に戻ってくるという方法を考えていました。
ドイツ人の場合、途中で延長手続きをとれば最長180日間まで日本に滞在することができるので、そのあいだに配偶者ビザ申請の結果もわかりますし、さまざまな用事も済ませることができます。
配偶者ビザは申請から認可まで3ヵ月ほどかかるので、近いうちに日本で重要な用事が控えている場合、「ビザ申請の結果が出てから日本に」と悠長なことは言っていられません。
このように、もともとドイツに帰る覚悟はしていたのですが、いざ入国管理局に行ってみると、「在留資格の変更ができると思いますので、申請が許可されたらまた来てください」といわれたのです。
特に「やむをえない事情があるから、短期滞在から配偶者ビザへの切り替えを認めてほしい」などと、お願いしたわけではないのですが・・・
実際に、在留資格認定証明書(配偶者ビザ発行の許可)が届いてからそれをもって再度入国管理局に行ったところ、在留資格の変更ができ、その場で在留カードがもらえました。
まず「在留資格認定申請」をしたのがよかった?
私たちのケースで在留資格の変更ができた理由はよくわかりません。
が、色々調べてみると、いきなり在留資格変更申請をしたのではなく、まず在留資格認定申請をして、在留資格認定証明書をもって入国管理局を再訪したのがよかったのかもしれません。
実は、必要書類はほとんど同じなのですが、「在留資格変更申請」と「在留資格認定申請」という二種類の異なる申請があり、いずれも日本人の配偶者として日本に滞在するための申請であることに変わりはありませんが、「在留資格変更申請」は、すでに何らかの形で日本に滞在している外国人が、別の滞在資格で引き続き日本に滞在するための申請です。
私たちの場合は、在留資格認定申請を行って、2か月半後に在留資格認定証明書が届き、それを入国管理局に持って行き、その場で在留資格変更申請を行いました。在留資格認定申請と在留資格変更申請という2つの手続きを続けて行ったというわけですね。
行政書士事務所のホームページ等を見る限り、在留資格認定申請をすっとばしていきなり在留資格変更申請を行った場合、許可されるためのハードルが上がるようです。
短期滞在→配偶者ビザの変更には時間がかかる
結果的に、日本にいながらにして配偶者ビザの手続きが完了できたわけですが、短期滞在から配偶者ビザへの切り替えにトライするときは、外国人配偶者の滞在期間に気を付けなければなりません。
というのも、在留資格認定申請(配偶者ビザの交付申請)は、申請を行ってから結果が出るまで3ヵ月ほどかかります。私たちの場合は2ヵ月半で結果が出ましたが、申請が混み合っているときは4ヵ月ほどかかる場合もあるそうです。
「ビザなしで滞在できる90日間のあいだに在留資格認定申請(配偶者ビザの交付申請)を行って在留資格認定証明書が届いたら在留資格変更申請を行えばいい」と書いてあるサイトもありますが、期間を考えるとかなりリスクが高いです。
ドイツなど一部の国の国民は、延長手続きをとれば180日まで滞在できますし、日本の場合一度日本を出国して再入国すれば新たな滞在期間が付与されるので、短期海外旅行をしてしのぐという方法もあります。
そこはパートナーの国籍や個別の事情に応じて、どう対応するか考える必要がありますね。
私たちの場合、配偶者ビザがとれないまま90日間が過ぎたら滞在期間の延長を申請しようと思っていたのですが、台湾に旅行したことでダーリンの滞在期間がリセットされ、その必要もなくなりました。そのために台湾に出かけたのではなく、たまたまに過ぎませんが。
在留資格変更にはリスクがあることを理解してトライを
今回の体験から、病気などの特殊事情がなくても、まず短期滞在資格(ビザなし)で日本に入国した後、一度も日本を離れることなく配偶者ビザに切り替えができる場合があることが判明しました。
なんらかの事情で同じようにしたいけれど、「短期滞在から配偶者ビザへの切り替えは原則できない」と知って、困っている人の参考になればと、今回の情報を共有させていただきました。
けれども、ビザの許可や滞在資格の切り替えにはさまざまな要素が絡んでくるので、今回の私たちと同じステップを踏んだからといって必ずうまくいくとは限りません。
絶対に成功するとはいえませんが、リスクもあることを理解して、うまくいかなかった場合の対応策を考えておけば、じゅうぶんトライする価値があるのではないかと思います。
個別の手続きの結果には責任を負いかねますので、入国管理局に事前に問い合わせるなどして、慎重に申請を進めることをおすすめします。