気づけばなんと大晦日。2018年も今年で終わりですね。
年末の話題としてふさわしいのかどうかわかりませんが、今日は「国境なき医師団」に関するエピソードを。国境なき医師団の看護師として紛争地に派遣されている看護師、白川優子さんの著書「紛争地の看護師」を読んで、「ほんの少しでも自分にできることを」と考え、寄付をはじめました。
「国境なき医師団」とは?
「国境なき医師団」とは、災害や貧困、紛争などの諸事情によって、十分な医療が行きわたっていない地域に医師や看護師を派遣し、医療活動を行う国際的なNPO(非営利団体)です。1971年に設立され、1992年に日本事務所が発足しました。国際NPOとしては非常に有名な存在なので、一度はその名を耳にしたことがあるという人も多いことでしょう。
国境なき医師団の特徴は、緊急性の高い医療活動を行うこと。加えて、政治的立場や人種、国籍、宗教などによって患者を差別することなく、紛争への政治的介入等も行わない、あくまでも中立な立場で医療支援を行っています。
世界各地に約4万5000人のスタッフを抱えており、2017年には70ヵ国以上で緊急医療支援を行いました。
白川優子さんの著書「紛争地の看護師」
白川優子さんは、2010年から国境なき医師団に参加し、イエメン、シリア、南スーダン、イラクなどの紛争地などで医療活動に携わってきた看護師です。
「紛争地の看護師」は、2018年7月に出版された白川優子さんの著書。アマゾンで「おすすめの本」として紹介され、気になったのでKindle版を購入しました。
そこに記されていたのは、あまりにも生々しい緊急医療支援の現場。国境なき医師団は、戦闘の真っただ中にある場所では活動しないことになっていますが、活動地で突然戦闘がはじまることもあります。
時には、国境なき医師団が活動する病院自体が攻撃の標的になることも。病院のすぐそばに爆弾が落とされたにもかかわらず、平然と患者の手術を続ける国境なき医師団の医師たち・・・・彼らの使命感にはすさまじいものがあります。
白川優子さん自身も、自らの身が危険にさらされかねない環境で、何度も医療活動を行ってきました。
時には電気や水といった基本的なインフラへのアクセスすら絶たれることもあり、日中に患者の手当てをしたときの服のままでシャワーも浴びられず、きれいな水を飲むこともできないという、現代の日本人には想像を絶するような過酷な環境でも、「人々の痛みや苦しみを見過ごすことは、私にはできない」と、紛争地での活動を続けてきました。
『白川優子:「国境なき医師団」の看護師として伝えたいこと』(nippon.com)
白川優子さんの真似はできないから
そんな白川優子さんをはじめ、紛争地で活動する医師や看護師に対して抱いた思いは、「敬服」。「尊敬」という表現では、あまりに軽く感じられてしまうほどです。
そもそも私には、看護師のような人の生命や健康にかかわる仕事には向いていないと思いますし、ましてや自分の身を危険にさらしながら人道支援をすることはできません。
ですが、安全で曲がりなりにも豊かな日本に生まれた自分には、「なにか」をする責任があると感じました。そこで、今すぐできることとしてはじめたことが、単純ではありますが、国境なき医師団に寄付すること。
国境なき医師団への寄付
国境なき医師団は、その活動経費のほとんどすべてを民間からの寄付でまかなっています。いくら高邁な思想をもつ優秀な医師や看護師が集まったとしても、先立つものがなければ活動はできません。
だからこそ、寄付は国境なき医師団にとっての貴重な収入源。寄付は、国境なき医師団のホームページからクレジットカードなどで簡単に行えます。
寄付の種類は、「今回の寄付」と「毎月の寄付」の2種類。「今回の寄付」は単発の寄付で「毎月の寄付」は、毎月決まった金額(同額)を支援するシステムです。基本的に「今回の寄付」は3000円から、「毎月の寄付」はひと月1000円からとなっていますが、任意の金額を指定して寄付することもできるようです。
私は、なかなか報道されない世界の現実に継続的に目を向けるためにも、「毎月の寄付」を選びました。
ほんの少しでも自分にできること
「個人が少額の寄付をしたところで何になる」と思う人もいるかもしれません。「それで世界が大きく変わるわけではない」という点において、そう思う気持ちはわからなくもありません。
ですが、みんながそう考えて、誰も寄付をしなければ、国境なき医師団のようなNPOの活動は立ちいかなくなってしまいます。
実際、国境なき医師団では、3000円あれば120人がはしかの予防接種を受けることができ、先進国では考えられないような病気で命を落とす人を一人でも救うことができます。たかだか数千円の寄付でも、決して意味がないわけではありません。
国境なき医師団に寄付したからといって、「私はいいことをしている」という気持ちはまったくありません。むしろ、紛争地の現場で医療に携わる人に比べれば、何もしていないも同然。
みんなが直接人の命を救う活動ができるわけではないにせよ、ほんの少しでも今の自分にできることをしたいと思っただけです。
おわりに
私は、これを読んでくださっているみなさんに「ぜひ国境なき医師団に寄付を」と呼びかけるつもりはありません。
寄付する・しないは個人の選択ですし、国境なき医師団以外にも、有意義な活動を行っているNGOやNPOはたくさんあるので、ほかの団体に寄付するというのもひとつの手です。
私が願うのは、この記事を読んで少しでも紛争地の医療や国境なき医師団の活動に興味をもった方が、白川優子さんの著書を読む、国境なき医師団のホームページを見るなどして、小さなアクションを起こすこと。一人ひとりの小さな一歩は、決してバカにはできません。
最後になりますが、2018年も応援してくださったみなさま、本当にありがとうございます。みなさまが良き新年を迎えられますように。