トルコは私が旅先として最も好きな国のひとつ。2019年7月、3度目のトルコ旅行にいってきました。
今回のトルコ旅行に関して特筆すべきが、「今トルコの物価が安い」ということ。以前は、特別物価が安い国ではなかったトルコですが、リラ暴落によって外国人から見た物価が相当安くなっているのです。今トルコ旅行がどのくらいお得なのか、2019年最新のトルコの物価事情をレポートします。
※2021年3月現在のトルコリラの相場は「1リラ=14円」。この記事を書いた時点よりもさらにリラ安が進んでいます。
今トルコの物価が安い!
現在のトルコの物価は、ずばり安い!というのも、トルコの通貨であるトルコリラが暴落したからです。2019年7月現在のレートでは、1トルコリラが約19円。
※2021年3月現在のトルコリラの相場は「1リラ=14円」。この記事を書いた時点よりもさらにリラ安が進んでいます。
過去のトルコリラの推移を知らない人からすれば「あっそう」という感じでしょうが、私が初めてトルコを訪れた8年前は約55円。2度目の4年前は約50円でした。8年前に比べると、なんと3分の1程度に下がっているのです。
1リラ100円の時期もあったことを考えると、現在の19円という水準がいかに低いかがわかります。まさに「暴落」という表現がぴったりですね。
続いて、実際に2019年最新のトルコの物価事情を具体的にお伝えしていきたいと思います。
宿泊費
海外旅行をするうえで、出費の多くを占めるのが、宿泊費。トルコリラの暴落により、外国人から見たトルコの物価全般が下がり、宿泊費も手頃になっています。
トルコ最大の都市であるイスタンブールはやや高めですが、観光の中心地(スルタンアフメット地区やタクシム広場周辺)でも、5000円ほど出せば、小ぎれいでちょっとおしゃれなプチホテルに泊まれます。アジア側やヨーロッパ側の南西部(アクサライ周辺)などはさらに安く、3000~4000円で、そこそこ快適な宿に泊まることも可能。
今回のトルコ旅行で出会ったエジプト人男性は、アクサライ周辺で1泊10米ドルのAirbnb物件に泊まったと言っていました。4年前は簡素なドミトリーでも10ユーロはしましたが、今は個室でもずいぶん安く泊まれるのでありがたいですね。
地方に行けばさらに安く、4000~5000円前後で4つ星ホテルに泊まれます。世界遺産のモスクがあるエディルネで泊まった4つ星ホテルは、広々とした部屋で40ユーロ(約4900円)。首都のアンカラで泊まった4ツ星ホテルは35ユーロ(約4260円)ほどでした。
トルコはヨーロッパに近いことから、宿泊費はユーロ建てで設定されていることも多いですが、さすがにトルコリラの暴落に伴って宿泊費も全体的に下がっているように感じます。
ちなみに、トルコのホテルは朝食込が基本。しかも一人あたりではなく、一部屋あたりの料金なので、1人で泊まっても2人で泊まっても料金はほとんど変わりません。複数人で泊まると、さらにお得感があります。
交通費
市内交通
トルコの交通費はもともと物価全般に対して安めに設定されていますが、リラが下がった今、日本人にとってはびっくりするほど安く感じられます。
市内バスや地下鉄などの市内交通費は、3リラ(約60円)前後。日本と違って、トルコの市内バスや地下鉄は、乗車区間にかかわらず一律料金が基本なので、一度に長い区間を乗車すればかなり割安です。
イスタンブールの公共交通機関は、「イスタンブールカード」というICカードを利用する仕組みになっており、トラム→地下鉄、地下鉄→バスなど、異なる種類の交通機関を乗り継ぐと、乗り継ぎ割引が受けられます。
割引の結果、地下鉄の運賃が30円ほどになったり、船の運賃が35円ほどになったりと、めちゃくちゃお得!出費を気にすることなく、ガンガン公共交通機関が利用できますよ。
長距離バス
トルコの国内交通の主役である長距離バスも安く、3時間半乗って55リラ(約1045円)、5時間乗って70リラ(約1330円)など。ちなみにトルコの長距離バスはサービスが良く、専任のアテンダントが付いて、飲み物などを無料でサービスしてくれます。機内エンターテイメントが備わっている車両も多いですよ。
タクシー
タクシーもやはり安く、エディルネで11km乗って30リラ(約570円)、ブルサで11km乗って40リラ(約760円)など。しかしカッパドキアは若干高く、ネヴシェヒルのオトガル(バスターミナル)からギョレメのホテルまで、20kmで90リラ(約1710円)でした。
日本では、コストパフォーマンスを考えるとなかなかタクシーに乗る気にはなりません。しかし、トルコのタクシーはとても安いので、大きな荷物を持って満員のローカルバスに乗り、さらにバス停からホテルまで歩くことを考えると、お金で解決してしまったほうがいいように感じます。
外食費
外食が基本となる旅行中は、外食費もバカにならない出費。都市によっても、店によっても、注文するメニューによっても千差万別なので一般化するのは難しいですが、イスタンブールでもロカンタ(トルコの大衆食堂のことで、ショーケースに出来上がった料理が並んでいる)なら、15リラ(約285円)前後から食事ができます。
トルコのロカンタはパンが食べ放題なので、節約しようと思えばもっと安くあげることも可能。イスタンブールのアジア側にあるレストランでは、「キョフテ(小ぶりのハンバーグのようなもの)とアイラン(トルコのヨーグルトドリンク)がセットで15リラ(約285円)」といった看板も目にしました。
しかし、イスタンブールのスルタンアフメット地区やカッパドキアのギョレメ村などは完全なツーリストプライスなので、注文を受けてから作るレストランであれば、野菜料理でも1品40リラ(約760円)を超えることはザラで、肉や魚のメインであれば、60リラ(約1140円)、70リラ(約1330円)以上することも珍しくありません。
日本は経済水準のわりに外食費が安いので、外国人観光客向けのレストランは、日本と同じかトルコのほうが若干安い程度で、さほどの割安感はありません。
イスタンブール旧市街の中心・スルタンアフメット地区のレストランでは、薄いパンで覆われた野菜のオーブン焼きと、レンズ豆のスープ、フレッシュオレンジジュースで70リラ(約1330円)ほど。日本より若干安いかなぁという気はしますが、量を考えると大差ありません。
トルコで最も一般的なメニューのひとつであるレンズ豆のスープを例に挙げると、安い店なら2リラ(約40円)。高い店なら13リラ(約250円)。同じようなものでも、どこで食べるかによってかなりの開きがあります。
カフェ代
カフェといってもトルコのおじさんが集まるチャイハネのようなところから、若者に人気のおしゃれカフェまで色々ありますが、ここでは観光中に立ち寄りたくなるようなおしゃれなカフェや、景色の良いカフェの値段を紹介します。
カフェで飲むチャイ(トルコ紅茶)は、だいたい2~6リラ(約40~115円)。トルコのチャイは小さなグラスで飲むものなので、値段が安いのは当たり前ですが、50円未満~100円程度で一休みできるのは嬉しいですね。トルコの物価に慣れてくると、チャイが5リラ以上すると「高いな!」と思うようになりますが、それでも100円ですからね。
カフェラテなどのコーヒー系(トルココーヒーを除く)や、チャイ以外のお茶系は、13~15リラ(約250~285円)が多く、フレッシュフルーツジュースやスムージーは15~20リラ程度(約285~380円)が中心でした。
イスタンブールのカラキョイ地区のおしゃれカフェで飲んだラテは、13リラ(約250円)。今のトルコでは、飲み物が一杯15リラを超えていると高く感じます。
イスタンブールに複数店舗を構える老舗のスイーツショップ&カフェ「Hafız Mustafa」では、ミルクプリンが16リラ(約305円)。日本のカフェで食べるスイーツの2~3倍の巨大サイズなので、日本人にはかなり安く感じられます。(いや、こんなに量いらないんですけどね・・・)
アイスクリームで有名なチェーンカフェ「MADO」のアイスは、2スクープで11リラ(約210円)。素材の味が際立つ上質なアイスにしては、かなりお手頃!
観光地の入場料
トルコの物価全般に比べると、極端に高く感じられるのが、有名観光地の入場料。特にイスタンブールの主要観光スポットの入場料はとても高く、アヤソフィアが60リラ(約1140円)、トプカプ宮殿が60リラ(約1140円)、ハレムは別料金でさらに35リラ(約665リラ)です。
アヤソフィアの入場料で、ロカンタで何回食事ができるかという話ですよね!
日本の世界遺産・姫路城の入場料が1000円で、それでも「高い」と騒がれたぐらいですから、トルコでこの料金は「法外」といってもいいくらいです。でも、わざわざトルコまで行って主要観光地に入らないという選択肢はありませんから、「高いな」と思いつつ払いますが・・・
なお、アヤソフィアやトプカプ宮殿を含め、イスタンブールの主要博物館に入場できる5日間のミュージアムパスの料金は、185リラ(約3515円)。2016~2017年版の「地球の歩き方」には85リラと書かれていますから、倍以上の大幅値上げです。
ちなみにトルコのモスクは入場無料なので、モスクめぐりを楽しんでいる限りはほぼ出費がありません。
ツアー代
今回のトルコ旅行は、個人での一人旅でしたが、カッパドキアでは一部現地発のツアーを利用しました。
ギョレメをスタートして、地下都市やウフララ渓谷などをめぐる日帰りツアー、通称「レッドツアー」の料金は、各施設の入場料や昼食込で215リラ(約4085円)。ピックアップ込みの2時間の乗馬体験は、240リラ(約4560円)でした。
日本でも日帰りバスツアーは、5000円代からあるので、215リラというのは「格安!」というほどでもないですが、2時間の乗馬が240リラというのはとても安く感じました。現地で知り合ったエジプト人に言わせれば「240リラはとても高い」そうですが、日本なら確実に万単位になるでしょうから・・・
カッパドキアといえば、気球を思い浮かべる人も多いことでしょう。一人旅で気球に乗る気がしなかったのと、朝の天気が微妙だったので、私自身は乗りませんでしたが、レッドツアーで一緒だったエジプト人男性が気球に乗りたいというので、興味本位で料金をリサーチしたところ、複数の旅行会社で、200ユーロ(約24335円)という回答が返ってきました。
気球ツアーはもともとユーロ建てで、リラが暴落しても料金を下げた気配がないのでめちゃくちゃ高く感じますね!結局、そのエジプト人男性は自分が泊まっているペンションで交渉し、160ユーロ(約19470円)で体験したそうです。後で感想を聞いてみると・・・「最高!だけど、1回のライドにしてはやっぱり高すぎる」といっていました。
有名観光地の入場料もそうですが、トルコ庶民も利用する公共交通機関やロカンタなどに比べ、旅行者しか支払うことのない費用は高めに設定されています。「取れるところ(観光旅行ができるくらい経済的に余裕がある人)から取ろう」という感じなのでしょうね。
雑貨(お土産)
特に女性は、お土産ショッピングにかかる費用も気になるのではないでしょうか。観光客向けの物価は全般的に高めに設定されているとはいえ、お土産になりそうな雑貨などはかなり値ごろ感があります。
カッパドキアで買ったオヤ(トルコのレース編み)のピアスは、25リラ(約475円)。前からオヤが好きだった私は、「あんなに手間のかかるものがこんな値段でいいんですか!」といくつか購入しました。
イスタンブール新市街で買った缶入り石鹸は、ひとつ5リラ(約95円)、大きめのモザイクランプは60リラ(約1140円)、イスタンブールのアジア側で買った絵入りの小鉢は、ひとつ4リラ(約80円)でした。日本で同じようなものを買うことに比べると、かなり安いです。
ただし、お土産調達の場として、イスタンブールのグランドバザールはおすすめしません。ほかと比べるととにかく値段が高い!カッパドキアで25リラ(約475円)で売られていたオヤのピアスはグランドバザールでは55リラ(約1045円)で売られていましたし、イスタンブール新市街で5リラ(約95円)で売られていた石鹸は、グランドバザールでは10リラ(約190円)で売られていました。
イスタンブールで雑貨を買うなら、グランドバザールより新市街のガラタ塔周辺などのほうが安いです。陶器などは、アジア側のカドゥキョイあたりで探してもいいですね。「グランドバザールで買うという体験自体を楽しみたい」というなら話は別ですが、安く買いたいならグランドバザールは見るだけで十分です。
食料品
旅行者が最もお世話になるペットボトル入りの水は、500mlで1~1.5リラ(約19~28円)。1000mlで2リラ(約38円)程度。ただしこれは街なかのキオスクなどで買った場合で、安いスーパーなら500mlで0.5リラなんてこともありました。
お土産に、お茶やドライフルーツ、スパイスなどの乾物を購入することもあるでしょう。スーパーで買ったハーブティーのティーバッグ(20個入り)は8リラ(約150円)。イスタンブールのアジア側で購入したハーブティー「LOVE TEA」は70gで12リラ(約230円)、月桂樹の葉(ローリエ)は一袋(日本のスーパーで売っている一袋の倍量ほど)4リラ(約80円)、クコの実は150gで12.5リラ(約240円)と、日本に比べると激安でした。
さきほどと同じような話になりますが、イスタンブールで乾物類を買うなら有名なスパイスバザールはおすすめしません。理由はやはり高いから。アジア側のカドゥキョイやユスキュダル、あるいはスパイスバザールの周辺に広がるマーケットなどのほうが安いです。距離にすると20mほどしか離れていなくても、有名観光地になってしまうと、値段が跳ね上がるんですよね。
トルコの物価安は為替のマジック
イスタンブールの有名観光地やカッパドキアの気球ツアーなど、一部例外はありますが、各種の出費を紹介して、今のトルコの物価がかなり安いということがおわかりいただけたと思います。特に、公共交通機関を利用し、地元の人が行くようなところで食事をし、地元の人が行くようなところで買い物をすると、「こんなに安くていいの!?」と思うことが多々あります。
しかし、トルコはもともとそれほど物価の安い国ではありません。私が初めてトルコを訪れた8年前に購入したガイドブックは、トルコの物価について「日本より少し安い」と紹介していましたし、2014~2015年版の「地球の歩き方aruco」には「日本と同等、ものにより少し安い」と書かれています。
インフレが進む近年のトルコでは、物価(額面)がどんどん上がっているのが現状ですが、インフレ幅よりもリラの下落幅が大きいため、外国人(自国の通貨が強い国から来た人々)から見た物価が安く感じられるのです。
現地生活者の体感は「1リラ100円!?」
トルコ人男性と結婚し、イスタンブールで暮らす友人(日本人)に、「トルコで生活してると、1リラ何円ぐらいに感じる?50~60円ぐらい?」と聞いてみると、「60円どころか、1リラ100円くらいに感じる」という答えが返ってきました。
「1リラ100円って、何もかも高すぎない!?」と思ったのですが、体感的な物価というのは、収入とのバランスで決まります。1リラが100円ぐらいに感じるということは、収入に比べ、生活コストが高いということなのでしょう。
日本人には「安い!」と感じられる現在のトルコの物価ですが、リラで収入を得て生活する現地の人々にとっては、決して安くはないのです。
おわりに
現在のトルコの物価安には色々な背景があって、旅行者が「物価が安くて嬉しい~!」と大声でいえる状況ではありませんが、「現地の物価が安く感じられる」というのは、旅行者にとってありがたいことに違いはありません。同じ予算ならより豪華な旅行が楽しめますし、以前より少ない予算で旅することも可能。
現在のトルコ旅行が、今までにないほどコストパフォーマンスが高いのは確か。これを機会に、トルコ旅行はいかがですか?
※カッコ内に記載したトルコリラの日本円換算は、5円単位で四捨五入しています。