裁判必須!ドイツでの離婚は日本のように紙一枚ではいかない

こんにちは、雨続きのドイツからはるぼぼ(@harubobo_nikki)です。

昨日の記事、「ドイツでの結婚は日本と比べものにならないほど重い!!」で、ドイツでの結婚はシビアだという話をしました。そこで今日はドイツの離婚制度についてお伝えします。

紙一枚で離婚できる日本

離婚届

まずはじめに、日本の離婚制度をおさらいしておきましょう。

夫婦が離婚に合意していて、特に争点がなければ離婚届を提出するだけ。それで終わりです。夫婦間の話し合いで離婚と離婚に際しての取り決めをするので、「協議離婚」と呼ばれます。2人の間で慰謝料などの取り決めを交わし、誓約書を作成するような場合もこれにあたります。

夫婦2人の話し合いでは埒が明かない場合、次のステップが調停離婚。「調停員」と呼ばれる人があいだに入って夫婦間の交渉を調整します。ただし、この調停員は法律の専門家というわけではなく、調停結果にも法的拘束力はありません。

調停でも決着がつかなければ裁判離婚になります。こうなると場合によっては何年もかかる長期戦になりますが、日本では、夫婦の話し合いによる協議離婚が離婚件数の9割近くを占めているので、裁判にまで発展するのはレアケースといえます。(出典:厚生労働省HP

ドイツでの離婚は裁判が必須!

reichstag

世界的に見ると、日本のように紙一枚で簡単に離婚できる国はそう多くないのだとか。すでにお察しかと思いますが、ドイツでの離婚はそう簡単にはいきません。

ドイツでは夫婦が離婚したい場合、まず離婚を前提とした別居期間を1年以上設けることが必要になります。ただし家庭内暴力やパートナーのアルコール・麻薬中毒などがある場合はこの限りではありません。

別居期間を経たら、弁護士を立てて離婚申請、離婚裁判となります。さらにドイツでは、(元)配偶者に経済力がない場合、相手が自立できるようになるまで援助する義務も生じます。

ドイツでの離婚は時間もお金もたっぷりかかるのです。なんだか制度自体が「よほどのことがないと離婚なんてしちゃいけないよ。覚悟がないならはじめから結婚なんてするんじゃないよ。」と言ってるようではありませんか。

なぜ日本とドイツでこうも結婚制度が違うのか

「ドイツで結婚・離婚(特に離婚)が大変なのはキリスト教の影響なのかなぁ?」とダーリンに聞いてみたら、「そうだと思うよ。結婚は「神聖なもの」でなくちゃいけないから」との答え。(ダーリンは無宗教なのでちょっと皮肉がこもっています)

いわゆる「敬虔なクリスチャン」は現代ドイツでは少数派ですが、それでも社会制度や価値観においてはキリスト教の影響が根深く残っています。日本では頻繁に行われている人口妊娠中絶もドイツでは基本的に禁止されており、12週を過ぎてからの中絶は殺人行為とみなされています。

ドイツにおいては「結婚は一生守るべき誓いであり、簡単に破られてはならない」という価値観がベースにあるのですね。

一方の日本では、かつての「通い婚」が示しているように、昔から結婚に対しておおらかな感覚があるように思います。

日本にもクリスチャンはいますが、キリスト教的な価値観が一般に広まることはなかったので、その結婚制度に対するおおらかな感覚が現代まで踏襲されてきているのではないでしょうか。

おわりに

日本とドイツ、どちらの制度がいい、悪いということもありませんが、結婚・離婚を経験する当事者にとっては日本のほうが「ラク」なのは間違いありません。離婚を前提に結婚する人なんていないわけですからね。

やっぱり結婚したからにはずっとハッピーな二人でいたいもの。私自身の苦い経験からいうと、結婚前に一定期間同居生活をしてお互いの相性や相手の本性を確認するのがいいと思います。

健全な努力や歩み寄りは大切ですが、そのなかで埋めようのない不和や解決不能な問題が出てきたら結婚しない。これで離婚という結末になるリスクを大幅に減らせるのでは、と思っています。

ロマンのない話で恐縮ですが、結婚を検討している方は相手が何人であれ、「お試し期間としての共同生活」を一度考えてみてはいかがでしょう?