今日は、ドイツにおける結婚しないカップル、いわゆる「事実婚」夫婦についてお話したいと思います。というのも、「ドイツでは、離婚も日本のように紙一枚ではいかない」で書いたように、ドイツでの離婚は本当に大変!
これだけ離婚にかかる負担が大きいとなると、夫婦のように連れ添ってはいるけど結婚はしていない「事実婚」カップルが多いのも納得できるなぁと思ったからです。
事実婚が多いドイツ
日本では、「事実婚」ってあまり一般的ではないですよね。古風な表現だと「内縁関係」とも呼びますが、「結婚できない理由があるワケありなのね」などと思われてしまうような風潮も根強く残っています。
しかしドイツでは、事実婚はもっと一般的。何歳だろうが結婚する・しないは当人たちの自由であり、他人がそれをとやかく言ったり色眼鏡で見たりするようことはありません。法的には結婚していない「パートナーシップ」が社会的に認められているのです。
私たちが住んでいるアパートの大家さんも恐らく50代で事実婚ですし、ダーリンのお父さんの妹も40代で事実婚です。
ドイツに来たばかりのころは、ダーリンのお父さんの妹が何年も連れ添ったパートナーがいるのに結婚していないと知って、「何で結婚しないんだろう」と思いましたが、今では「ドイツではよくあることだ」と理解しています。
結婚しないことが「合理的」?
結婚しない理由は人それぞれあるでしょうが、やはり離婚のリスクを考えてのケースが多いのではないかと思います。
ドイツの離婚率は50%。日本の離婚率は37%ですから、日本より13%も高いことになります。(2013年度数値)(GigaZiNEに主要国の結婚持久値をグラフ化したランキングがありました。興味のある方はご参照を)
そういった現状を踏まえると、合理的なドイツ人が莫大なお金とエネルギーのかかる離婚のリスクをあえて犯さないのは理解できますね。
婚外子も多いドイツ
ドイツでは2011年に生まれた子どものうち、婚外子の割合が34%にのぼったそう。事実婚カップルが多ければ、婚外子(結婚していないカップルから生まれた子ども)も増えるのは当然のことです。
ただしドイツの婚外子の割合はヨーロッパの国としては特別多いほうではなく、フランスやスウェーデン、ノルウェーでは5割以上、オランダやイギリスも4割を超えています。
「婚外子」というと日本ではネガティブな響きがありますが、ドイツを含む西欧や北欧においては「単に結婚していないカップルから生まれた子ども」というだけの話です。
それは出産費用や子ども手当といった、社会福祉制度面でもそうで、カップルが既婚でも未婚でも、生まれた子どもに対する補助に差別はありません。生まれてくる子どもには罪はないわけで、子どもの権利は一律に保障されるべきだからです。
となると、子どもが生まれるからといって法律婚をする必要性もなく、事実婚のまま家族をもつというカップルも少なくないのです。
婚外子が極端に少ない日本
一方、日本における婚外子の割合は、2013年の数値でわずか2%にすぎません。
それは、日本では結婚せずに子どもをもつこと自体が周囲から受け入れられにくいことに加え、非嫡出子(結婚していないカップルから生まれた子ども)に対する、社会的・制度的差別がまだまだ残っているためです。
「非嫡出子」という呼称自体が差別語っぽく聞こえるのは私だけでしょうか・・・日本では、「非嫡出子=愛人の子?」という偏見も根強いですし、ドイツのようなカラッとしたイメージには程遠いのが現状です。
おわりに
個人的には「家族になるからには結婚したい」という思いがありますし、国籍の違う私たち2人が結婚せずに家庭をもつのは相当な困難が伴うので、結婚という選択がむしろ自然です。
とはいえ、「特定のパートナーはいるけど結婚しない」、さらには「結婚せずに子どもをもつ」という選択肢を特別な不都合なしにとれるドイツ社会はとても自由だと感じます。もちろん、子どもをもつ場合は、カップルが結婚していなくても子どもの成長と幸せに責任をもつことが前提ですが。
結婚する・しないを問わず、自分たちが望み、納得できるパートナーシップのかたちを実現できるのはステキなことではないでしょうか。