なぜ電柱が埋まってないの?ドイツ人義父母が日本で抱いた疑問と発見

私たちが京都で結婚式を挙げたのを機に、2018年3月、ドイツ人のダーリンの両親が初来日しました。

日本はもちろん、アジア自体が初めてだった2人。初めての日本旅行では、さまざまな疑問や発見があったようでした。

今回は、ドイツ人の義父母が日本で疑問に思ったことや驚いたことなどをご紹介したいと思います。

なぜ電柱が地中に埋まってないの?

京都で電線の工事現場を通りかかったとき、ダーリンが「ちょっと待って、お父さんが聞きたいことがある」と言うのです。

「なぜ日本では電柱が地中に埋まっていないのか、工事をしている人に聞いてほしい」と。

私は「外国人なのでこういう風景が珍しいようで…」と前置きしつつ、遠慮がちに聞いてみました。

すると、「地面に埋め込みたいのはやまやまだけれど、歩道の下はすでにインターネットやガスなど、ほかの設備で混み合っている。かといって車道の下に埋めてしまうと、なにかあったときに復旧に時間がかかる」とのこと。

私自身、景観を重視するヨーロッパでは(特に街なかでは)電柱をほとんど見かけることがないことは認識していましたが、なぜ日本では電柱が埋まっていないのか、はっきりと聞いたことはなかったので、私にとっても「へぇ!」という答えでした。

その質問を受けた工事現場の方々は、「そうか、ヨーロッパでは電柱がないからそんなことを聞くのか」と言い合っていて、彼らにとってもある種新鮮な経験だったようです。

日本人はあまりハイキングシューズを履かない

京都郊外の貴船・鞍馬を山越えハイキングしたときのこと。このハイキングコースは山越えといっても比較的高低差が少なく、初心者でもチャレンジしやすいコースです。

とはいえ、未舗装の部分も多いですし、地面がごつごつしていたり、滑りやすかったりする場所もあります。にもかかわらず、このコースをハイキングしている日本人は、ハイキングシューズではなく、街なかで履く靴と変わらない靴を履いている人が目立ちました

天気の良い週末はしょっちゅうマウンテンバイクで出かけるアウトドア系ドイツ人の義父母にとって、ハイキングシューズというのは必須アイテム。

旅行中は、いつでも山歩きできるような格好をしている2人にとって、ハイキングシューズどころか、スニーカーさえ履かずに山道を歩く日本人の姿はちょっと驚きだったようです。

一時の「山ガール」ブームもあって、日本でもひと昔前に比べればハイキングシューズを持っている若者が増えたとは思いますが、日本人(特に若い世代の)はハイキングシューズなんて持っていない人が多いのではないでしょうか。私自身、「ハイキングシューズがないなんてダメ!」と義母にプレゼントされるまで、持っていませんでした。

一般的に、「ハイキング」や「ハイキングシューズ」への距離感が、日本とドイツではまったく違うような気がします。

これはいったいどうやって使うんだ!?

ダーリンの両親が使い方がわからずに失敗したのが、インスタントのドリップコーヒー。カップにセットしてお湯を注ぐと、少しずつコーヒーが垂れてくるというアレです。

インスタントのドリップコーヒーを日本で初めて目にした義父母は、ティーバッグのように使うのだろうと思って、お湯を注いだカップにそのまま入れてしまったそうです。残念な結果が想像できますね・・・

日本では非常にポピュラーなドリップコーヒーですが、私自身海外で目にした記憶はありません。

「記憶にない=存在しない」とは限りませんが、少なくともドイツのスーパーでは、意識的に探しても見つからないので、ドイツ人の義母が失敗してしまったのも致し方ないですね。

海外に出ると、「日本には本当にかゆいところに手が届く便利な商品が多いなあ」と思います。

日本では日曜日にも買い物できるの?

日本人にとっては「当たり前ではないか!」と思うこの質問ですが、ドイツではそうはいきません。ヨーロッパでは、日曜・祝日はスーパーも含め休業するお店が多いからです。

「日曜休業」は、かつてはキリスト教に根差した習慣、現在ではむしろ労働者保護の意味合いが強いですが、ドイツはヨーロッパのなかでも愚直にこの伝統を守っている国の一つだと思います。

ほかのヨーロッパ諸国では、小さなお店は閉まっているけど、大きなショッピングセンターは開いている、逆にチェーンのスーパーは閉まっているけど、小さな個人商店は開いている、あるいは午前中だけ開いているというケースもあり、日曜でも生活必需品が何らかの形で手に入る国は多いです。

でも、ドイツでは主要駅に入っている割高なスーパーや、ガソリンスタンド併設の割高なショップくらいしか開いておらず、日曜・祝日に普通の価格で日用品を買うのはきわめて困難です。

それに比べると、日本では日曜日は書き入れ時。この点に関して、日本とドイツは正反対といってもいいくらい違います。

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日本のレストランのお会計は合理的!

日本のレストランやカフェでは、お客さんがレジまで歩いていって、そこでお会計をするのが主流ですね。ところが、ドイツを含めヨーロッパ諸国では、セルフサービスの店舗を除き、テーブル会計が主流

これは「サービス」という観点からすると良いように思えますが、場合によってはお会計をお願いしたのに何度も忘れられてなかなか来てくれないとか、店内が忙しいときはそもそも声をかけるタイミングが見つからないなんてこともあります。

ドイツの飲食店では、テーブルごとに担当者が決まっていて、その人にお願いしなければならないので、さらにハードルが上がるのです。

その点、日本のようなレジ会計なら、「さあ行こう」と思ったときにすぐ支払いを済ませて店を出られるので合理的

お客さんが自らレジに行かないといけないことに対して、ひょっとすると「サービス精神が欠けている」と感じる外国人もいるかもしれませんが、少なくとも義父母には「気楽で合理的で良い」と映ったようです。

日本人にとって「食」はとても大切なものなの?

これも日本人からすると、当たり前すぎて、質問の意味がよくわからないと思ってしまうくらいですが、ダーリンの両親は「日本とドイツの食文化は根本的に違うらしい」と気づいたようです。

日本とドイツの食の違いについては、私も何度か書いてきましたが、日本人とドイツ人の「食」の位置づけにはかなり違いがあります。

一般的に、ドイツ人は日常的に手間をかけて料理をしたり、並んでまでおいしいと評判のレストランに行ったりするよりは、短時間で準備と食事を済ませ、リラックスタイムなど、ほかのことに時間とエネルギーを使うことを好みます。

また、昔のドイツは日本のように多彩な食材が手に入る土地ではなかったので、伝統的なドイツ料理では食材のバリエーションも限られます。さらに、「目で料理を楽しむ」という感覚も薄く、日本ほど繊細に美しく、彩り豊かに盛り付けられた料理を見る機会は多くありません。

そういった違いを目の当たりにして、義母は「ドイツ人が日本に来るのはいいけれど、日本人がドイツに行くとこの違いは辛いと思う」と言っていました。

私がドイツに移住して、日独の食習慣の違いに四苦八苦していたころ、「この違いは日本に行かない限り、義父母にはなかなかわかってもらえないだろう」と思っていたので、わかってもらえてなんだか報われたような気になったものです。

異文化に関しては、誰が悪いわけでなくても、実際に体験してみないとピンとこないことは少なくありません

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ゴミ箱が少ないのに街がキレイ

義父母のみならず、ダーリンにも言われたことがあるのが「日本の街にはゴミ箱がない」です。確かに、日本の街にはヨーロッパの街に比べて極端にゴミ箱が少ないように感じます。

駅やコンビニにはゴミ箱がありますが、街を歩いていて通りにゴミ箱があることはほとんどありません。

それを考えると、日本の街の清潔さは驚異的といってもいいかもしれません。世界には、10メートル間隔でゴミ箱が設置されているにもかかわらず、路上にも大量のゴミが落ちている街もあるわけですから・・・

日本人は、ゴミ箱がなければごく当たり前に持って帰る、あるいはゴミ箱が見つかるまで持ち歩くという選択をする人が多いと思いますが、世界的には「ゴミ箱がなかったら路上などに捨てる」という人が多いと思います。

日本の場合は、「ゴミ箱が少ないのに街がキレイ」というよりは、「ポイ捨てをする人が少ないから、いたるところにゴミ箱を設置する必要がない」というのが適切かもしれません。

日本のようなトイレは他の国にもあるの?

初めて日本に来た外国人が驚くもののひとつに、「トイレ」があります。自動で開閉したり、ウォシュレットやドライ機能が付いたりした日本式のトイレは、海外ではほとんど見かけることがありません。

私の経験では、シンガポールの高級ショッピングセンターのトイレで見かけたくらいでしょうか。もちろん日本メーカーのものです。

おそらく、日本人は世界で最もトイレにこだわる民族ではないでしょうか。しかし、中には日本のウォシュレットを気に入って、「持って帰りたい」という外国人や、実際に買って帰る外国人もいるようです。

おわりに

日本人が当たり前だと思っている風景や習慣、商品でも、外国人から見ると非常に珍しいものであったり、驚きに値するものであったりすることがあります。

私もドイツでもそういった経験をたくさんしてきました。当人同士はもちろん、家族も含めて異文化を交換し合えるのは、国際結婚の醍醐味の一つだと感じています。

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