ドイツは世界でも有数のオーガニックコスメ大国「アンネマリーボーリンド」や「ロゴナ」など、日本でも販売されているオーガニックコスメブランドを多々輩出しています。
そんなオーガニックコスメ大国・ドイツでは、良質なコスメが手ごろな価格で手に入ります。ドイツで暮らしているうちに、「日本の化粧品の値段っておかしいんじゃないの?」と思うようになってきました。
ズバリ、日本のオーガニックコスメは高すぎるんです!
世界一スキンケアにお金をかける日本人女性
美意識の高い人が多い日本人女性は、化粧品にとってもお金をかけますよね。実際、日本人女性は世界一化粧品にお金を遣っているといわれています。
日本女性は世界のどの国の女性よりもスキンケアにお金をかけています。フランス人の2倍…アメリカ人の4倍。平均一人7種類もの化粧品を使っています。(日本でも著書を出版しているオーストラリアの栄養士、エリカ・アンギャルさんの言葉:dacapoより)
日本の女性は美容に関心が高く、月間の美容専門雑誌だって何冊もありますし、何万円もする高級クリームがバカ売れしたりもします。私自身、日本にいるときは何万円とまではいかなくても、結構高い化粧品を使っていました。
だって、日本の美容雑誌で「優秀」と紹介されているコスメはそれなりの値段がするものばかり。私も日本にいる頃は「やっぱりいい化粧品は高いんだ」と思っていたのです。
ドイツに来てわかった、「いい化粧品」でも高くない!
ところがドイツに来てみると、あれれ・・・
ドイツのオーガニックコスメブランド「ラヴェーラ(lavera)」のフェイスクリームは10ユーロ(約1300円)くらいですし、日本でもファンの多いスイスのオーガニックコスメブランド「ヴェレダ(WELEDA)」のクリームも、ものによって8~15ユーロ(約1000~2000円)ほど。
「ぇ、オーガニックコスメでもこんな値段で買えちゃうの!?」という世界なんです。(ここで挙げている値段は一例で、もちろん同じブランドでもアイテムによって価格が異なります)
私が知る限り最高級の部類に入るドイツのオーガニックブランド、「アンネマリー・ボーリンド(Annemarie Borlind)」の美容液でも47ユーロ(約6100円)くらいです。
ドイツのドラッグストアでその商品を見て、「47ユーロ、高っ!」と思ったのですが、日本ではもっと高い化粧品を使っていたこともある私。考えてみれば美容液で6000円というのは、日本では「高い」うちに入らないのではないでしょうか。
アイテムにもよりますが、高価な化粧品の少ないドイツでは20ユーロ超えると「ちょっといいお値段」、30ユーロ超えると「ちょっと高い」と感じてしまうんですよね。それだけ、ドイツの化粧品が安いということです。
ここで挙げているドイツの化粧品の価格は、オーガニックコスメの価格で、オーガニックでなければもっと安いものはいくらでもあります。
日本の化粧品は価格と中身が釣り合わないものが多い?
日本にいるときは「いい化粧品は高い」と洗脳されていた私でしたが、ドイツに住んでみてわかりました。いい化粧品を作るのにそこまでのコストはかからないということが。
今になってみれば、「日本の化粧品業界のいいカモになってんじゃ・・・」と思います。日本では、同じようなクオリティの商品がドイツの倍かそれ以上の値段で売られていて、美しくなりたいと願う女性たちが、価格設定を疑うことなくその商品を買っています。
もちろん日本にも質の高い化粧品を低価格で世に送り出している良心的な化粧品メーカーもたくさんあると思います。
でも、雑誌で紹介されていたり、「美容家」と呼ばれる人たちがおすすめしている化粧品はほとんど高いものばかりで、低価格の化粧品にスポットが当たることはあまりありません。
高価な化粧品を作っているメーカーは、宣伝広告費にお金をかけているのでメディアで紹介してもらいやすいという背景があるんでしょうね。実際、女性誌の編集部には、自社製品を紹介してもらおうと、大量の化粧品が「献上」されるようです。
悲しいことに、日本では必要以上に高価な(中身と価格の釣り合わない)化粧品が氾濫しているような気がします。
私がそれに気づいたのは、化粧品の中身に対し(少なくとも日本に比べて)まっとうな値段がついているドイツで暮らしているからこそ。あのまま日本にいたら「いい化粧品は高いんだ」と信じてせっせと高いものを使い続けていたと思います。
もちろん、値段が高いからといって必ずしも法外な価格設定をしているとは限りませんが、一般に日本の化粧品の原価はとても低く、販売価格の5%程度なのだとか。(出典:http://www.reviews-tower.jp/omosiro/1270)
広告宣伝費をかけていない場合原価はもっと上がるはずなので一律には言えませんが、中身よりも広告宣伝費やパッケージ、人件費(カウンターでのコンサルティング販売)などにより多くのお金がかかっていることが多いようです。
おわりに
ドイツ人は「高いならいいものなのだろう」と自動的に考えることはあまりなく、値段が高い商品があれば、なぜ高いのか理由を探そうとし、その理由に納得できなければ買いません。
そういった合理的な(ケチとも呼ばれますが)ドイツ人の消費行動ゆえ、ドイツでは品質のわりに手頃な化粧品が出回っているのではないかと思います。
日本人女性の美意識が高いのは素晴らしいことですし、もっとキレイになろうと努力するのも素敵なことです。それ自体は同じ日本人女性として誇りに思います。
でも、その美意識の高さが化粧品のパッケージや広告に多額のお金を費やす結果になっているとしたらなんともやりきれないものがあります。
今後化粧品を買うときは、「この商品はどこにお金がかかっているんだろう?本当にこの価格に見合うんだろうか?」と考えてみるようにしたいものです。