ドイツで暮らす外国人が抱える共通の悩みや不満、それが「ドイツのお役所との闘い」。
日本の役所は親切で融通が利くので、ドイツに住んでみるまでは想像もできませんでしたが、ドイツのお役所と関わると「本当にそんなことがあるの!?」「まさか」と思うようなトラブルや壁にぶつかります。
そこで今回は、私が体験したドイツのお役所問題をシェアしたいと思います。ドイツに住んだことがある日本人なら、きっとひとつやふたつ、信じられないようなエピソードがあることでしょう。
ドイツ人との結婚手続きに半年以上!
ダーリンと私は今年の4月に結婚手続きを開始しましたが、半年たってもまだ進展がない状態です。というのも、私は過去に日本での結婚歴があるため、ドイツの裁判所で離婚の認定を受ける必要があり、それがいっこうに進まないのです。
今はワーホリビザで滞在していますが、ワーホリビザの期限が切れる11月半ばまでには認定がおりそうにもないので、しばらくドイツを離れ日本を含むアジアに滞在することにしたのは以前お伝えしたところです。
裁判所への申請をするときには「だいたい2、3か月かかる」と言われ、「そんなにかかるの!?」と驚いたのですが、実際にはすでに半年もかかっている結果に…
なぜそれだけのことにそんなに時間がかかるのかわかりませんし、そもそも他国での結婚・離婚をドイツの裁判所が認定する必要があるのか、まったくもって意味がわかりません。
ドイツの外国人局で何時間も待たされる
街にもよりますが、ドイツの外国人局は大混雑していることが少なくありません。私がドイツに入国してからワーホリビザを申請しようとしたときには、外国人局で4時間も待ちました。しかも、待ったうえで、そこは私の住んでいる地域の管轄でないことが判明したのです。
役所に申請に行く前に電話で問い合わせようとしたのですが、いくら電話しても出ない、メールしてもいっこうに返信がない(2週間後に返ってきました)という状態だったので、「もう行くしかない!」と思ったのです。
「窓口で聞けばいいか」と思っていたのですが、ちょっとした質問をしたいだけでも整理券をとって並ばなければならないので、いかに自分が甘かったかを思い知りました…
ドイツの市役所にすでに提出した書類を再度提出させられる
ドイツの市役所に住民登録に行ったとき、「○日以内にこの書類を提出してください」と言われたので、期日までに書類を持参して市役所に提出しました。
にもかかわらず、後日「あなたは○○の書類を提出していないので、出す必要があります」という旨の通知が届いたのです。「もう出した」と言ってもおそらくムダなので、素直に同じ書類を再提出しました…
28年間暮らした日本では、出した書類が出ていないなんて言われたことは一度もありません。ドイツのお役所はいいかげんです。
なくなったはずの就労制限がワーホリビザに印字される
ワーキングホリデー実施国のなかには、「期間中就労できるのは○日まで」という就労制限を設けているところがあります。ドイツのワーキングホリデーも以前は90日間の就労制限がありましたが、2010年に撤廃され、今では最大365日まで働けるようになっています。
なのに、私がドイツで取得したワーホリビザには、見事に「就労は90日まで」という文言が印字されているのです。私は結局ドイツでほとんど就労しなかったので特に問題はありませんでしたが、これががっつり働きたい人なら、また役所に問い合わせてひと悶着ありそうです。
ドイツの役所で「ワーキングホリデーって何ですか?」と言われる
これは私自身の話ではなく、ドイツで出会った日本人の友人の話です。彼女もドイツでワーホリビザを申請したため、ドイツの役所にビザ取得のための手続きについて電話で問い合わせたそう。
するとドイツの役所の担当者から、「ワーキングホリデーって何ですか?」という衝撃の一言が…友人が「大使館のホームページに制度の情報が載っています。」とワーキングホリデーについて説明したら、「そのホームページのURLを教えてください」と言われたそうです。
そもそもドイツでは高校を卒業したらカナダやオーストラリアなどにワーホリに行く若者がとても多いです。一般的知識としてワーキングホリデーを知っていても何らおかしくないのに、役所の担当者が制度自体を知らないとは…ドイツのお役所はなかなかやってくれます!
ドイツでは正しい情報を自ら収集し、早めに行動することが重要
「役所に問い合わせたのに聞いた情報が間違っていた」、とか「担当者によって言うことが違う」ということがしばしば起こるドイツでは、役所をアテにせず、自ら正しい知識を収集する必要があります。特にワーキングホリデーについては、ネットで検索すれば日本語の情報がいくらでも出てきます。
また、長時間待たされたり、手続きに時間がかかることも多いので、時間に余裕をもって行動することが重要ですね。
そして、役所に問い合わせるときは、質問の切り口を変えて念押ししながら聞く、自分を取り巻く状況における重要なポイント(「ワーホリビザで滞在してるんですけど」「私日本人なんですけど」など)を強調して質問することも大切です。
どうも、ドイツのお役人は何か質問を受けたら、勝手に一番よくあるパターンに当てはめて回答しているような気がするので、自分のケースがよくあるパターンに当てはまっていなければ間違った答えが返ってくることになるからです。
それが、「一旦結婚手続きを開始していれば、手続きが間に合わなくても滞在を延長できる」と聞いていたのに、再度確認したら「ワーホリビザはダメ」ということが判明した私たちの実体験からの教訓です。
おわりに
ダーリンは、今回の私たちの結婚手続きにまつわるいざこざを両親や親戚、友人などに話しているのですが、話を聞いた誰もが腹を立て、「自分も役所でこんな経験がある!」と自らのエピソードを語りはじめるそうです。
ドイツ人であっても、やはり役所との付き合いには体力・気力を消耗しているようです。まさに、ドイツ生活はお役所との闘いなのです。