むしろ気楽?姑がドイツ人(ヨーロッパ人)でよかった5つのこと

義理の親、とくに嫁・姑との関係は、いつの時代もなかなか気を遣うもの。

「国際結婚をすると、姑との付き合いが難しそうだなぁ」と思いませんか。あるいは、実際に国際結婚をしていて、その難しさを実感している人もいるかもしれません。確かに、言葉の壁や文化の違いなど、国際結婚ならではの難しさがあるのは事実です。

でも、「姑がドイツ人でむしろ良かったかも」と思うことも案外あるんです。今回はそんな「姑がドイツ人(ヨーロッパ人)で良かったと思う5つのこと」をご紹介したいと思います。

結婚前から家族の一員として受け入れられる

結婚していることが前提の「姑がドイツ人でよかったこと」にこの項目を入れるのはちょっと変なのですが、これは私がダーリンママとの付き合いで一番初めに感じたことです。

ダーリンが日本でのワーホリ中に出会った私たち。ダーリンのワーホリ期間が終了したら、ダーリンはドイツの大学に通い、私もドイツに移住することを考え始めていたころのことです。ダーリンのご両親は、その時点では会ったこともない私に対し「ドイツに来るなら、うちで一緒に暮らしてもいいよ」と言ってくれたのです。

日本では、結婚あるいは正式に婚約でもしていないと、家族や親せきに紹介したり、ましてや実家で一緒に暮らすことはあまりありませんが、ドイツでは、結婚している・していないを問わず、付き合っているだけでも相手とかなり近しい関係になることが多々あります

ダーリンのおじいちゃんの80歳の誕生日パーティーにも、ダーリンのいとこが付き合い始めたばかりの彼女を連れてきていました。

結婚していなくても、付き合ったばかりでも、子どもや孫の彼氏・彼女をオープンに受け入れるのは、日本とは大きく違うところではないでしょうか。

息子にふさわしい相手か、品定めされることが少ない

昔に比べるとずいぶんフラットになってきたとはいえ、ドイツに比べ、日本では「息子の嫁(彼女)」としてふさわしいか、品定めするような感覚がまだまだ残っているように思います。

しかし、ドイツでは、結婚は家と家のつながりというよりも、あくまで一組の男女の結びつきという要素が強く、よほどのことがない限り、「息子の選んだ相手」として自然に受け入れられます

そもそも、ドイツにおけるカップルという単位は強力で、社会的に「尊重すべきものである」と思われているふしがあります。(関連:「ヨーロッパのカップル文化はめんどくさいけどやっぱり嬉しい」)

ドイツに移住した当初、私はダーリンの実家で暮らしていましたが、「3人家族に私が加わった」というよりも、「2組のカップルが共同生活を送っている」という感じでした。

「嫁」としての役割を期待されることがあまりない

ドイツでは、親戚の集まりでお茶を淹れたり食事の用意をしたりするなど、日本ではありがちな「嫁」としての役割を期待されることもほとんどありません

ダーリンの実家で暮らしていたとき、私が毎日のように料理をしていたら、「料理をしないといけないと気を遣って料理をしているなら、しなくてもいいよ」と言われたほどです。

「タダで住まわせてもらっているのだから、料理ぐらい」という意識は確かにありましたが、そもそも私が自分の体に合ったものを食べるには自炊が不可欠だったからなのですが・・・

今ダーリンの実家に招かれても、食器を下げたりくらいのことはしますが、それ以上のことをしようとすると「いいから放っておいて」と言われます。「こんなに何もしなくていいのかしら」と思ってしまうくらいです。

やることに口出しされない

これまでのところ、私、あるいは私たちのやることに、姑から口出しされるということがありません

たとえば、私たちは今ドイツで暮らしているにもかかわらず、日本で結婚式を挙げることに決めました。「ドイツに住んでいるんだから、なんでドイツで式を挙げないの?」なんて、言われていないかなと思ってダーリンに聞いたら、「そんなことはまったく言われない」というのです。

また、私はトラベルライターという仕事柄、よく一人で旅に出ます。旅は仕事の一部なので、むやみに遊びまわっているわけではないのですが、人によっては「私の息子をほったらかして、ふらふらして」なんて思うかもしれません。でも、ダーリンママがそう思っているふしはまったくありません。

私の今のライフスタイル(ワークスタイル)に対し、ダーリン自身が不満に思っているなら問題ですが、そうだったとしてもそれは2人で話し合うべきことで、親が口出しすることではないという感覚なのでしょう。

まだ子どもがいないこともあって、「息子の嫁」というよりも、私個人の生き方を最大限尊重してくれているような気がします

「日本だって今どきあれこれ口出しする姑なんて少ないんじゃないの」と思いきや、私と同年代の友人から日本人の姑に色々と口出しされるという話を聞くことがあるので、「姑が日本人だったらむしろ大変だったかも」と思っています。

相手のふるまいが予想外でも「文化が違うから」で済む

これは、ダーリンママから見た私、私から見たダーリンママ、お互いに言えることなのですが、相手の言動が予想外だったとしても、「文化が違うから」で特に問題にならず、水に流せることが多々あります。

日本人どうしなら、「こういうときはこうふるまうのが常識」という社会的規範をあてはめられがちですが、そもそも日本人とドイツ人では、それが成立しません

そのため、相手に対しもともと大きな期待を抱くことがありませんし、相手の言動が自分の予想(期待)と違ったとしても、多少がっかりすることはあるかもしれませんが、怒りを感じるようなことはほぼなく、ほとんどのことは「文化が違うからね」で片付いてしまいます

反対に、相手の言葉を覚えて使ってみるといったちょっとした歩み寄りをするだけでも、お互いを喜ばせることができます。ある意味「ハードルが低い(いい意味で相手に対する期待値が低い)」ことがプラスに働いているといえるでしょう

ダーリンママと私の場合、大げさに言えば、初めて会ったときは、お互い「宇宙人」のような感じだったので、その後は徐々に歩み寄っていくしかありませんでした。でも、摩擦が起きるほど相手の領域に踏み込むこともないので、適度な距離を保ちつつ、良い関係を築いていると思います。

おわりに

もちろん、一口にドイツ人といっても家によって、また個人によって考え方も価値観も違うので、ドイツ人の姑に品定めされたり、口出しされたりといったことがないとはいえません。また日本人の姑をもつ人のなかにも、私と同じくらいフラットな関係を築いている人もいることでしょう。

「100パーセントこうだ」というわけではありませんが、国際結婚の嫁姑関係には、日本人どうしの嫁・姑関係にはない難しさがあると当時に、日本人どうしの嫁・姑関係とは違った気楽さがあるといえます。

私が嫁・姑関係に恵まれたのは、単にダーリンママがドイツ人(ヨーロッパ人)であるというだけでなく、オープンで寛大な人柄もあってのことなので、それには常々感謝しています。