元在住者が語るドイツの魅力・ドイツのいいところ13選

実際に住んでみたことで、普通の観光旅行ではわからない、ドイツの魅力やいいところに気付くことができました。

もちろん、日本と比べて「ここはちょっとな~」「ここは日本のほうがいいな」と思うところもありますが、日本の生活にもすっかり慣れ、ドイツに対しても日本に対してもフェアな目で見られるようになったこのタイミングで、改めてドイツのいいところをお話したいと思います。

旧市街が可愛い

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メルヘン街道の町アルスフェルト

個人的に、ドイツを旅先として見たときに最も魅力を感じるのが、数百年前の風景をそのままにとどめた旧市街の数々。

日本では「中世の宝石」と呼ばれるロマンティック街道のローテンブルクがあまりにも有名ですが、それ以外にもドイツ全土に絵本から飛び出してきたような旧市街がたくさんあります。

クヴェトリンブルク、レーゲンスブルク、バンベルクなど、旧市街がまるごと世界遺産に登録されている街も。

第2次世界大戦の被害が大きかっただけに、ドイツの旧市街は復元も多いのですが、特に地方の小さな町を中心に、戦災を免れ中世の町並みがそのまま残っている旧市街も案外たくさんあります。

私は通算2~3ヵ月ドイツを旅していますが、まだまだ行きたい町がありすぎて困ってしまうほどです。

歴史ロマンあふれる古城

旧市街と並ぶ旅先としてのドイツの魅力が、壮大な古城の数々。建設年が新しいため厳密には「古城」の範疇には入りませんが、日本でもよく知られたノイシュヴァンシュタイン城は世界で最も有名なお城といっても過言ではありませんね。

人気・知名度ともにナンバーワンのノイシュヴァンシュタイン城のほかにも、ドイツには無数のお城があります。そのなかでも特に訪れるべきは、難攻不落のエルツ城や、天空の城ホーエンツォレルン城、ドイツ文化の源流とも呼ばれる世界遺産ヴァルトブルク城などでしょう。

ライン渓谷中流上部の古城群も素晴らしいですよ。

壮大な大聖堂と教会

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ケルン大聖堂

ドイツの建築といえば、壮大な大聖堂や教会の数々も忘れてはなりませんね。日本で知名度の高いドイツの大聖堂は、世界遺産にも登録されているケルン大聖堂ですが、個人的おすすめナンバーワンはアーヘン大聖堂。

ケルン大聖堂同様、アーヘン大聖堂も世界遺産に登録されているのですが、アーヘン大聖堂は北部ヨーロッパ最古の大聖堂だけあって、黄金のモザイクやアーチなどにビサンティン文化の影響が色濃く見られます。

現在見られるドイツの聖堂や教会は、ゴシック様式やロマネスク様式が多いですが、アーヘン大聖堂は他のどの聖堂や教会にも似ていない印象を受け、一度見ると忘れられなくなること請け合いです。

ほかに、ロマンティック街道の世界遺産ヴィース教会やドレスデンのフラウエン教会、「キリスト教世界で最も美しい」といわれる塔をもつフライブルクの大聖堂などもおすすめです。

景観が美しい

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ハイデルベルク旧市街

見事に保存された旧市街の話とも関連するのですが、ドイツの街づくり(都市計画)は日本とは根本的に違います。

日本の都市は歴史的建造物や商業施設、オフィスビル、居住用アパートや民家などが混然一体となっており、色々な年代の色々な用途の建物がごちゃっと混ざり合っています。なかには「それが魅力」と言う人もいますが、一種のカオス状態です。

一方、ドイツのほとんどの街には旧市街があり、旧市街には教会やレストラン、カフェ、小~中規模の商業施設などがまとまっています。当然旧市街にも居住用アパートや民家はあるのですが、それらは古い木組みの建物などを利用した古いものがほとんどなので景観を乱すことはありません。

旧市街の外、新市街に鉄道駅や近代的なオフィスビルやアパート、大規模な商業施設などがあります。

さらに、ドイツのほとんどの地域では、郊外であっても、民家が集まる居住エリアと畑などが広がる自然のエリアがきれいに分かれています。そのため、ドイツの景観は非常に統一感があり、美しいのです。

地域色が豊か

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北ドイツの真珠ツェレ

ドイツはアメリカと同じ連邦制です。また、かつてはさまざまな領邦国家や自由都市の集まりでした。そんな背景から、ドイツは地域色が豊かで地域によって風景も街並みも人の気質も変わります。

見た目にもわかりやすい街並みを例に挙げると、南部のバイエルン州はパステルカラーの木組みの家が多いのに対し、北部のニーダーザクセン州には同じ木組みでも、深いグリーンや深いオレンジ色をしています。シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州などのハンザ都市では、北欧的なレンガ造りの建物が並んでいます。

ドイツというと、ついついロマンティック街道の風景が思い浮かぶかもしれませんが、実際のドイツはもっと多彩。地域ごとに異なるドイツの魅力に触れてみてください。

古いものや伝統を大切にする

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ミッヒェルシュタットの市庁舎

ドイツ人は古いものや伝統をとても大切にします。日本にも歴史的建造物はたくさんありますが、日本とドイツが違うのは、ドイツでは歴史的な景観が面として保存されていることです。

さきほどの景観の話とも関連しますが、日本では歴史的建造物のすぐ隣にオフィスビルや近代的な商業施設などがあり、ほとんどの場所で歴史的建造物が点でしか残っていない印象があります。それとは対照的に、ドイツではいたるところで、古い街並みがまるごと残っているのです。

ドレスデンをはじめ、戦後復興された旧市街も少なくなく、古いものや歴史あるものに価値を見出し、新しく造るよりも大変な「復元」という道を選んだドイツ人はすごいなぁと素直に思います。

また、ドイツ人は街づくりだけでなく、ものづくりにおいても昔ながらのマイスター精神を大切にします。

例えば日本で大人気のバウムクーヘン。ドイツでは国立ドイツ菓子協会が「バウムクーヘンの定義」を決めていて、昔ながらの材料と製法で作られたものしか「バウムクーヘン」と認められないのです。バウムクーヘン以外にも、法令で保護されているドイツの名物は枚挙にいとまがありません。

芸術が身近

ドイツを旅していると、音楽やアートなどの芸術を身近に感じることでしょう。バイロイト音楽祭をはじめ、各地で有名な音楽祭が開催されるのはもちろんですが、街角でもバイオリンの生演奏を見かけるなど、芸術のハードルが低いです。

日本で美術館に行こうとすると、高い入場料を払わなければなりませんが、ドイツには特定の曜日に入場料が無料になるミュージアムもあります。

ベートーヴェンやワーグナー、バッハなど偉大な音楽家を多数輩出したドイツ。音楽祭やオペラなどで本格的に楽しむ機会もあれば、街角で気軽に音楽を楽しむ機会もあるのです。

弱者にやさしい

日本人がドイツから最も見習うべきことのひとつが、「弱者にやさしい」ことではないでしょうか。

悲しいことに、日本では、自動車ドライバーが歩行者を優先しなかったり、電車に乗っているベビーカーを邪魔物扱いしたりと、「弱者にやさしい社会」とはほど遠い状況が散見されます。

しかしドイツでは、道路での歩行者優先が実践されていますし、ベビーカーをトラムや電車に乗せようとしている人がいれば、邪魔者扱いするどころが、率先して手伝ってくれる人がたくさんいます。

個人的に、「弱者にやさしいかどうか」はその国の成熟度の指標だと思っています。

日本人の弱者への冷たさ・厳しさには、ドイツに比べて公共交通機関が混んでいてストレスが多いとか、労働時間が長くて精神的にも肉体的にも疲れている人が多いといった要因もあるかとは思いますが、「精神的なゆとり」という面で日本人がドイツに学ぶことは多いように感じます。

ワインがおいしい

「ドイツといえばビール」というイメージが強いかと思いますが、ドイツはワインの国でもあります。実は、私が生まれて初めて「おいしい」と思ったワインはドイツのワイン。

「ドイツワインといえば甘口の白ワイン」という印象がある方もいるかもしれませんが、最近では世界的なトレンドに合わせて辛口のワインや赤ワインも増えてきています。

しかも、ドイツのワインは、現地のスーパーで 1本3ユーロ(約360円)程度で売っているワインであっても、その値段とは思えないほどおいしいです。

爽やかでフルーティーなモーゼルのリースリングに、産地に行かないとほとんど飲めない希少なザクセンワイン…ワイン好きがドイツを訪れると、昼夜ワイン三昧になることでしょう。

もちろん、ビール好きなら町ごと出会える多彩なローカルビールに歓喜するはず。

お茶の種類が豊富で安い

ドイツは、お茶(特にハーブティーやフルーツティー)の種類が豊富で安い国です。スーパーのお茶コーナーを覗けば、さまざまな趣向を凝らしたティーバッグがずらりと並んでいますし、あちこちでお茶専門店に出会えます。

近年日本でも流行したルイボスティーの種類は目を見張るほどで、アールグレイ、ピーチ、ストロベリー、パッションフルーツ、オレンジ、ルバーブなどなど、日本では出会えないものもたくさんあります。

値段も安く、ちゃんとしたお茶専門店で会っても、ルイボスティーであれば100gの茶葉が4~5ユーロ前後で手に入ります。なんと、日本の半分以下。

茶葉は比較的軽くてかさばらないので、ドイツに行ったらいつもお土産に購入しています。

コーヒーも高品質で低価格なので、コーヒー派ならダルマイヤー(Dallmayr)などのコーヒーを手に入れてみては。(スーパーで気軽に買えます)

オーガニックコスメが良質で安い

ナチュラルコスメ好きの女性に嬉しいのが、ドイツはオーガニックコスメが良質で安いこと。

近年、日本でも多種多様な「オーガニックコスメ」が出回るようになりましたが、日本では少しでもオーガニック原料が配合されていたら「オーガニックコスメ」を名乗れてしまうので、本当の意味で「オーガニックコスメ」とは呼べないようなものもたくさんあります。

しかし、ドイツのオーガニックコスメはちゃんと認証機関でオーガニック認証を受けているので安心。

アンネマリーボーリンドやラヴェラ、ヴェレダ(ヴェレダはもともとスイス発ですが、ドイツのいたるところで買えます)など、日本でも認知されているブランドのコスメも格安で手に入ります。

ヘルシーフードが手軽に手に入る

「ドイツ料理」といえば、ソーセージやヘビーな肉料理、ジャガイモなどが思い浮かび、あまりヘルシーなイメージはないと思います。

しかし、ドイツでは、オーガニック食材や、ラクトースフリーの乳製品、グルテンフリー製品、ヴィーガンおやつなどのヘルシーフードが日本よりはるかに手軽に手に入ります。

単に売っている場所が多いというだけでなく、値段も安く、庶民にも手が届く存在なのです。

自分のポリシーや体質に合わせて、さまざまな選択肢から安全な食べ物を選べる環境というのは、ドイツの素晴らしいところの一つだと感じます。

家族やプライベートを大切にする

日本では仕事を中心に生活が回っているような人も少なくありませんが、ドイツ人が最も大切にするのは、家族と自分自身のプライベートな時間、そしてリフレッシュするための休暇です。

ドイツは日本より残業が少なく、休暇も取りやすい(2週間程度の休暇は当たり前ですし、長期旅行をする際は1ヵ月以上休む人もいます)ので、日本人よりもずっと人間的な働き方をしています。

仕事に人生を支配されず、自分自身や家族を一番に考えられるのは羨ましい限り。

こればかりは個人の力だけでどうこうできるものではありませんが、無駄な残業や惰性の付き合いをやめるなど、時間と精神にゆとりを持つために、できることがあるのではないでしょうか。

おわりに

旅先としてのドイツの魅力からはじまって、ドイツ人の精神性や社会のあり方まで、私が思う13のドイツの良いところを挙げてみました。

もちろん、ドイツの良いところはまだまだありますし、それは個人の考え方や価値観によって違ってくるでしょう。

ぜひ、自分自身でドイツを歩いて、ドイツの空気に触れて自分なりの「ドイツの良いところ」を発見してみてください。